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カナダでのリタイアメント: Registered Retirement Income Fund (RRIF)

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

RRIFとは

Registered Retirement Income Fund (RRIF) とは、リタイア後のために貯蓄/運用してきたRRSP (Registered Retirement Savings Plan) の資金を、リタイア後の収入として活用するために利用される制度です。リタイアをする (RRSPから資金を収入として引き出し始める) と決めた時点で、RRSPからRRIFへとその資金を「変換」することでRRIFを「開設」することとなり、RRIFのルールに基づき税制の優遇を受けながら効率的な資金の引き出し/取り崩しを行うことが出来ます。
一般的なシナリオを例に挙げつつ、手順を追って理解していきましょう。

1. 「RRSP」から「RRIF」への変換

「RRSPから資金を収入として引き出し始める」と決めた時点においてまず行うことは、その資金を「RRSP」から「RRIF」に「変換」させることです。これは、RRSPを保持している金融機関に対しその旨を伝えることだけで実行することが出来ます。
あえて「変換」という言葉が使われるのには理由があります。この「変換」とはまさにただその「箱の名前を換える」だけの手続き。資金を実際に移動させることもなければ、投資内容を変更する必要も (つまり売却や利益確定をする必要も) ありません。
また、この「変換」はいつでも行うことが出来ます。唯一のルールは「71歳の誕生日を迎えるその年の終わりまでに RRSP内の資金からの『変換』を完了しなければけない」ということだけ。

2. 「RRIF」からの引き出し

RRIFへと変換された資金は、自由な頻度で引き出しを行うことを設定できます。ここで言う「引き出し」とは、RRIFの口座から例えばChequing口座に資金を移動させること。つまりまさに「自分自身に給与を与えるかの様に、資金を移動させること」。細かなルールは金融機関によりますが、例えば毎月/毎四半期/年一回..等、その頻度を選択することが出来ます。
また、引き出す金額についても自分自身で設定できます。例えば CPP (退職者年金) やOAS (老齢年金) 等を既に受け取っている場合などは、それらの支給額も踏まえた生活費を鑑み、RRIFからの引き出し額を自身で決めることが出来ます。

3. 最低引き出し額

引き出し額に上限はありません。ただし下限、つまり「最低引き出し額 (minimum withdrawal)」があります。
最低引き出し額は、年齢を元に定義された最低引き出し率を元に計算されます。

年齢 | 最低引き出し率 (%)
[ 計算式: 1 ÷ (90 - 年齢) = 最低引き出し率 ]
55歳2.86%65歳4.00%75歳5.85%85歳8.51%95歳+20.00%
56歳2.94%66歳4.17%76歳5.98%86歳8.99% 
57歳3.03%67歳4.35%77歳6.17%87歳9.55%
58歳3.13%68歳4.55%78歳6.36%88歳10.21%
59歳3.23%69歳4.76%79歳6.58%89歳10.99%
60歳3.33%70歳5.00%80歳6.82%90歳11.92%
61歳3.45%71歳5.28%81歳7.08%91歳13.06%
62歳3.57%72歳5.40%82歳7.38%92歳14.49%
63歳3.70%73歳5.53%83歳7.71%93歳16.34%
64歳3.85%74歳5.67%84歳8.08%94歳18.79%

当該年における1月1日時点でのRRIFの残高に対し、当該年齢の最低引き出し率を掛けた値が、その年の最低引き出し額となります。

例.
66歳となる年の1月1日の時点でのRRIFの残高が $750,000
66歳の年に対して適用される最低引き出し率 (%) = 4.17%
よってこの年の最低引き出し額は

$750,000 x 4.17 % = $31,275

引き出し頻度の設定に関わらず、一年においてこの最低引き出し額分の額は必ず引き出しを行わなくてはいけません。

4. Withholding Tax

最低引き出し額ピッタリの額を引き出したとすれば、実際に受け取る額はピッタリそのままその額です。ただし、もしこの最低引き出し額よりも多くの額を引き出した場合は、その超過分に応じて設定された Withholding Tax が適用され、その分が引かれた額を受け取ることになります。

最低引き出し額超過分へのWithholding Tax
超過額Withholding Tax率 (%)
$5,000以下10%
(ケベック州 5%)
$5,001~$15,00020%
(ケベック州 10%)
$15,001以上30%
(ケベック州 15%)

例.
66歳での年初の残高 ($750,000) と最低引き出し率 (4.17%) をもとに計算された最低引き出し額が $31,275 とする
対して、実際の引き出し額を $40,000 とすると
超過額: $40,000 - $31,275 = $8,725

$8,725 の内、最初の $5,000 の超過分への Withholding Tax: $5,000 x 10% = $500
$8,725 の内、$5,001~$15,000 の超過分への Withholding Tax: ($8,725 - $5,000) x 20% = $745
Withholding Tax 合計: $500 + $745 = $1,245

よって実際の受け取り額: $40,000 - $1,245 = $38,755

このWithholding Taxの徴収は、金融機関が引き出しを行う時点で「Withholding Taxが引かれた額だけしか渡さない (金融機関が直接Taxを納める)」という形で行われます。

Withholding Taxはあくまで「前払いのTax」です。タックスファイリングの際に、RRIFからの受け取りを含めたその年の最終的な所得額を申告しそれに応じた税額が確定し、リターン額が計算される過程において、このWithholding Taxが支払い済み税額の一部として加味されることとなります。

5. 課税対象所得

繰り返しますが、忘れてはいけないのは、超過額の有無に関わらず、最低引き出し額と超過額を含めた受け取り額全てが最終的に課税対象の所得となるということ。



大まかなルールとしては以上の通り。しかしこれだけのルールだけでも、毎年..
  • 十分な生活資金となる額を、
  • 節税をしながら、
  • 資金が尽きないように、
  • 自分がいつ亡くなるかはわからないという条件の中で
..中長期に渡りうまくやりくりをするためには、しっかりとした計画が必要だということがわかるのではないでしょうか。 
実質的にはさらにここに...
  • RRIF内の資金は (変換前のRRSPの状態の時と同様に) 非課税で運用し続けられる
  • RRSP内の資金全てを一度にRRIFに変換する必要はない (RRSPとRRIFを同時に保持できる)
  • 71歳までの間であれば、RRIFからRRSPに資金を戻すことも可能
といった要素も加わり、やりくりの複雑さ (または柔軟さ) はさらに増していきます。

リタイアメント全般、またはRRSP資金に関するプランや考え方は人それぞれ。RRSPの資金額によっては65歳よりも早い時点でのリタイアを考える人もいるでしょうし、仕事や生活の状況を踏まえてできる限りリタイアは先延ばしにしてRRSP資金を最大限増やし続けたいと考える方もいることでしょう。
RRIFの制度と、次に取り上げるAnnuity、それぞれのルールと利点等をしっかり理解し、自分に合った「リタイア後の収入」のやりくりを行うようにしましょう。


カナダでのリタイアメント: 引き出し

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

リタイア後の収入

RRSP (Registered Retirement Savings Plan) の制度を利用し、毎年のタックスファイリング時の控除利用と、非課税での運用という点を最大限に活用しながら長年に渡ってリタイアメント資金を育ててきたとしましょう。
年齢も重ね、ある時点 (一般的には65歳) においてリタイア (引退、または定年) を考えることでしょう。その時点から、長年に渡って貯めてきたリタイアメント資金から今度は「引き出し」を開始し、それを日々の収入とする生活が始まります。

この時点からは、「自分の資産から自分の収入 (生活費) を捻出する」という図式となるため、その「引き出し」をどの様に行うか、どの様な制度を利用してどう効率よくやりくりするか..、というのは大きなテーマとなります。
  • 十分な生活資金となる額を、
  • 節税をしながら、
  • 資金が尽きないように、
  • 自分がいつ亡くなるかはわからないという条件の中で
..うまくやりくりをする必要があるわけです。
これらの目標を達成するために、どの様な制度があり、どの様に利用するのが良いのか、まとめてみましょう。

リタイア後の収入に向けた制度/商品

RRSPの資金を「リタイア後の収入源」とする場合、一般的には主に以下の2つのオプションがあります。

  • Registered Retirement Income Fund (RRIF)
  • Annuity

RRIF (通称「リフ」) は、TFSA/RRSP/RESP/FHSA等と同じ様にいわゆるRegistered Accountの一つ。つまり政府が管轄する制度/システムであり、その制度/システムの名称のこと。
Annuity (アニュイティ) とは、一般名詞としての「年金 (個人年金保険)」を意味する言葉で、金融機関や保険会社が提供する商品の種類の一つのこと。
..と理解しましょう。

RRSPの資金の引き出しを始めるとした時点から、その資金をこれらのオプションに「変換」または「購入」し、それぞれのルールと中長期的計画に基づき資金の引き出し/取り崩しを行いリタイア後の収入源とする、という考え方です。

重要:
個々の事情によっては、3つ目のオプションとして..
  • RRSPからそのまま引き出す
というケースを考慮することもあるでしょう。様々な理由により、リタイア後の中長期的な収入源としての活用ではなく、やむを得ずRRSPから直接、短期的に一括または分割で引き出しを行わなければいけない状況になることもあるでしょう。そうなった時点でこれはいわゆる一般的な効率的な「リタイアメントプランニング」を外れるケースと考えられます。「効率的な制度/商品の利用」を優先する視点、また「節税」という観点から言えば、この3つ目のオプションはできる限り避けられるべきであると言えるでしょう。
重要:
RRSP口座は71歳を超えて保持することは出来ません。71歳の誕生日を迎えるその年の終わりまでに、上記2つのオプションへの変換/購入か、または完全な引き出しを行い、RRSP口座そのものは閉鎖する必要があります。
ちなみにもちろん、RRSPの資金全てをどれか一つのオプションのみに使わなければいけないということではありません。例えば、早急に必要な資金のためにまずRRSPから直接少額を引き出し、残りの内半分をRRIFへの変換へ、別の半分をAnnuityの購入へ、..といった具合にやりくりすることも当然出来ます。ルールはあくまで、71歳の年の終わりまでにすべてのRRSP資金をそれ以外のオプションに振り分け、RRSPそのものは閉鎖する必要があるということ。

引き出し分への課税

上記2つのオプションの詳細を見ていく前に、大前提となる根本的な税金への理解をおさらいしておきましょう。

どちらのオプションを利用するかに関わらず、元の資金がRRSPから変換された資金である限り、収入として引き出される資金は単純に「所得」であり、課税対象となります。

RRSPの利点であった「タックスファイリング時の控除」と「運用益が非課税」という2点をたっぷりと活用し、人によっては何十年とかけて今まで「税引き前の資金を、非課税で」運用し増やしてきました。晴れて引き出す時点となり、その引き出し額が (ある意味では当然のごとく、ここで初めて) 課税対象となるわけです。

しかしながら、ここでの引き出しによる所得は、働いている間に得ていたいわゆる給与所得よりは少ない額となるであろうという想定 (少ない所得であるから、それにかかる所得税の額も結果的に少ない) に基づき、ここで晴れてRRSPの3つ目の利点である「所得税の先延ばし」が発揮されるわけです。

これらの理解を踏襲しつつ、引き続き節税を意識しながら「引き出し」を行うことが重要です。RRIFとAnnuity、2つのオプションそれぞれに利点や特徴がありますが、節税という観点も含め、自分に合った選択をすることを心がけましょう。


カナダでのリタイアメント: Annuity

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

Annuityとは

Annuityとは、リタイア後のために貯蓄/運用してきたまとまった資金を、リタイア後の収入として活用するために利用される商品です。また、「Annuity」は、RRIF (Registered Retirement Income Fund) の様な「制度」ではなく、あくまで一般名詞としての「年金 (個人年金保険)」を意味する言葉で、各種金融機関や保険会社が提供する商品の種類の名称であると理解しましょう。
リタイアをすると決めた時点で、まとまった資金 (例えばRRSP資金) でAnnuityを「購入」し、その資金を元に商品のルールにしたがって、保証された決まった額を決まった期間あるいは生涯に渡って「収入」として受け取り続けることが出来ます。

金融機関や保険会社では複数のタイプや種類のAnnuity商品が用意されていて、その中から自分にあったものを選択することが出来ます。「商品」であるが故に、各商品の内部の細かなルール等はトレンドやニーズによって移り変わりがあるとも言えるので、本項ではあくまでAnnuityの大まかな仕組みと考え方を説明することのみに留めます。

Annuityの額

Annuityを購入するにあたってまず最初に考慮することは、その予算 (金額)。購入に当てられた資金が、自分がその後受け取り続ける収入の根本的な元本額になるわけですから、当然ながらその受け取り額を左右する最大の要素となります。RRSP資金を使ったリタイアメントというシナリオにおいては、RRSP資金の残高を最大額として、そこからいくらをAnnuityの購入に当てるかということを考慮することになります。
Annuityの購入は多くの場合一括支払いで行われますが、商品によっては、複数回に渡る支払いによる購入をすることも出来ます。

Annuityの期間

次に考慮されるべき大きな要素は、収入の受け取りの期間に関するもの。大きく分けて2つの選択があります。
  • Life Annuity
  • Term-certain Annuity
前者は、その名の通り一生涯受け取りが保証されるタイプのAnnuity
後者は、受け取り期間を指定して、その間だけ受け取りが保証されるタイプのAnnuity (例: 5年、10年、20年..)。
Life Annuityの利点は..
  • 一生涯受け取りが保証される
  • つまり、どれだけ長生きしたとしても、亡くなるまで受け取りが保証され続ける
  • 商品によっては、自分が亡くなった後に配偶者が受け取りを続けられるオプションも付けられる ..等々
不利な点は..
  • 購入資金分を受け取り切る前に、早く亡くなることもある
  • 配偶者が受け取る等のオプションを付ければつけるだけ、受け取り額は減る ..等々
対して、
Term-certain Annuityの利点は..
  • 指定した期間内の受け取りが保証される
  • 期間終了前に自分が亡くなった場合、配偶者等に対して期間終了まで受け取りが続けられる ..等々
不利な点は..
  • 指定した期間より長生きすれば、指定した期間後は受け取りがない状態となる ..等々
自分が想定するリタイア後の収入プランに合ったAnnuityの期間/種類を選択します。

その他の要素

購入資金 (元本) の額と、期間が選択された上で、それ以降に受け取り額を左右する要素には以下のようなものがあります
  • 性別
  • 年齢と健康状態
  • 亡くなった後の、配偶者等への受け取りオプションの有無
  • 想定運用利回り
  • 商品を提供する金融機関/保険会社そのもの
これらの点は、「Annuityは結局のところいわゆる『保険商品』である」という事実に立ち返ると、幾分理解しやすくなると思います。各種金融機関や保険会社は、様々な目的に合った複数の商品を各種オプションと共に提供しており、購入する側はそれらをよく吟味して自分にあった商品を選ぶ必要があります。



大まかなルールとしては以上の通り。
前項で示した、リタイアメント後の収入に関して考慮すべき以下の4点をAnnuityに当てはめた考えた場合、いくつかの点は単純化することが出来ます。
  • 十分な生活資金となる額を、
  • 節税をしながら、
  • 資金が尽きないように、
  • 自分がいつ亡くなるかはわからないという条件の中で..やりくりする
金額は確定させた上で購入するわけですから、「資金が尽きる」ことはありませんし、「Life Annuity」を選択したのであれば「自分がいつ亡くなるか..」を心配する必要もなくなります。また、運用益を気にして自分でやりくりする必要もなくなりますし、節税を気にしながら受け取り額コントロールする様な手間もなくなります。

ただし改めて、Annuityは結局のところ「保険商品」です。RRIFに比べて不利になる点や不自由となる点を受け入れる代わりに、「生涯 (または一定期間) に渡って収入が尽きない様にするための 安心を買う」為の商品であるということを、常に念頭に置く様にしましょう。


カナダでの投資: Tax-Free First Home Savings Account

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

Tax-Free First Home Savings Accountとは

Tax-Free First Home Savings Account (TFFHSA または FHSA) とは、「初めての住居購入に向けての頭金を貯めることを支援する」という名目で、カナダ政府が2023年よりその制度の施行を始めた、課税の免除を柱とした貯蓄支援制度です。
18歳以上でカナダ在住であり、住居購入を経験していない (詳細は後述) 全ての人にアカウント開設の資格があり、一年間につき最大$8,000、生涯合計$40,000の拠出が可能で、そのアカウント内で運用している限り運用利益に対しての課税を免除し、さらに引き出しの際にも課税がないとする制度です。

  • (RRSPのように) アカウントへの拠出はそのまま該当年のタックスファイリングの際に所得からの控除として利用することができる
  • (TFSAやRRSP/RESPのように) 運用利益に対しての課税が免除される
  • 「初めての住居購入のために利用する」限りにおいては、(TFSAのように) 完全に非課税で引き出すことができる

つまり、RRSPとTFSAのそれぞれの利点を両方同時に持った、とても強力な非課税アカウントと言える制度です。

* FHSAの様な非課税アカウント(Registered Account)の基本と、RRSP/TFSAと比較した際の利点等を理解するためには、そもそもTFSAとRRSPに関する理解は必須と言えます。TFSARRSPの詳細に関しては、それぞれの解説ページを参照してください。

アカウント開設資格

アカウントを開設するための資格は3つ。
  • 18歳以上であること*
  • (税制上の定義において) カナダ居住者であること
  • アカウントを開設しようとするその年、または現時点から遡った4年の間、自らが購入した住居に住んでいたことがないこと。
    (つまり厳密には、過去に住居を購入したことがあっても、それが4年より前であり、さらに4年より前の時点からすでのそこには居住していないのであれば、アカウントを新規に開設することは可能であるということになります)
注意
BC州、NB州、NL州、NS州、NT準州、NU準州、YT準州では、各州個別の「legal age」の定義に関する法律により、FHSA口座を開設できる年齢は18歳ではなく19歳となっています。

拠出

一年間につき$8,000が拠出限度額として設定され、生涯合計$40,000の拠出が可能です。
アカウントを開設した後に、ある年において$8,000に満たない拠出しかしなかった場合は、(TFSAのシステムと同様に) 未使用の分が翌年に繰り越されます。ただし、繰り越しができるのは一年分の最大額に相当する$8,000のみ。つまり、複数年にわたって未使用の分がありそれが$8,000を上回る額だとしても、翌年分に繰り越しができるのは$8,000までです。そして生涯の拠出額合計が$40,000に至った時点で、それ以上の拠出はできなくなります (年間の拠出額合計を上回る拠出をしたり、生涯拠出額合計を超える拠出をすれば、ペナルティが発生することとなります)。
つまり、最速で5年間 ($8,000 x 5年 = $40,000) で生涯限度額に到達するような拠出をすることもできますし、あるいはもっとゆっくりと、例えば10年間かけて ($4,000 x 10年 = $40,000) でゆっくりと拠出をするというようなこともできるわけです。
また、TFSAと同様に、複数の金融機関においてFHSAアカウントを開設することができますが、年間及び生涯の拠出限度額は当然そのままです。TFSAと同様、自分自身で拠出額の記録等を管理する必要があります。

拠出をした分の額は、その年のタックスファイリングにおいて、「控除」として利用できます。つまり、RRSPへの拠出と同様に、その年の課税対象所得額そのものを減らすために、総所得額から引き算 (deduct) することのできる項目として利用できるということになります。
重要:
RRSPに既に入っている資金からFHSAへ資金を移動 (transfer) させるすることで、FHSAへの拠出とすることも可能です。
この場合、RRSPからの移動は「引き出し」とはみなされないため、非課税で行うことができます。
  • ただしこの場合でも、FHSAの拠出限度額はそのまま適用されます。RRSPからの移動であれ、通常の拠出であれ、年間$8,000、生涯$40,000の限度額ルールはそのままです。
  • また、この引き出しによってRRSP側の年間拠出額が影響をうけることはありません。引き出しを行ったことによって、翌年のRRSPの年間拠出限度額が増えるようなことはありません。

運用

TFSAやRRSP/RESP等と同じく、拠出先によって様々な投資商品を通して運用をすることができます。そして、運用によって得た利益は完全に非課税です。「FHSAという箱」の中で運用をしている限り、利子利益やキャピタルゲインをタックスファイリングの際に所得として申告する必要は一切ありません (そもそもT5フォーム等も発行されません)。

引き出し

考え方として、TFSAと違い、頻繁な「引き出し」という概念は意識するべきでないとも言えます。「FHSAからの引き出し」とは、まさに「住居購入」の時が来た時に行う一括引き出し。それがこの制度の目的として想定されているメインの「引き出し」のシナリオとなります。「住居購入」の機会が訪れた際に、その目的 (主に頭金) に利用される限りにおいて、運用益分も含めFHSAから非課税で引き出しを行うことができます。
重要:
初めての住居購入の為の資金調達のもう一つの手段として、RRSPから $60,000 を非課税で引き出す (2024年4月より、それまでの $35,000 から増額) ことのできる「Home Buyers’ Plan (HBP)」という制度が既に存在します。FHSAとHBPは、ともに同一の住居購入の為の資金として併用する (両方とも利用する) ことができます。つまり、住居購入の為の資金として、一人に付きFHSAから $40,000 (プラス運用益)とHBPから $60,000 で、合計 $100,000+ が利用できる (二人分ならば$200,000+) ということになります。

様々な理由により「住居購入」の機会が訪れない/訪れなかった場合に際しては、以下のような「救済」的ルールが用意されています。
  • 71歳に至るまでの間で、いつでも自由にFHSAからRRSP (またはRRIF) に資金を移動させることが可能。また、この移動は非課税で行うことができ、さらにRRSPの拠出限度額に影響を与えない/影響を受けない
    (つまり、移動させることによって当該年のRRSPの拠出限度額が減ることはないし、また、移動させようとする時点で、当該年のRRSPの拠出限度額に空きがあるかどうかも関係ない)。

    >> この場合は、結果的にその分を将来RRSPから引き出す際には所得となり課税対象となるため、FHSAの「非課税で引き出せる」という利点を失うという点が、ペナルティ的要素となります

  • FHSAアカウント開設から15年たった時点で、FHSA内の資金を使用する機会がなかった場合、アカウントを閉じる必要がある。その際は、上記のようにRRSP (またはRRIF) に資金を移動させるか、単純に課税対象の収入としてその時点で引き出す必要がある。

    >> 上の場合と同じく、RRSPに移した場合は未来の時点で、即時に引き出した場合は即時に、所得となり課税対象となるため、FHSAの「非課税で引き出せる」という利点を失うという点が、ペナルティ的要素となります



Tax-Free First Home Savings Accountを始めるべきか

これまで、住居購入の頭金を貯蓄するために利用できるRegistered Account (つまり、目的を指定されずに利用できる非課税貯蓄アカウント) はTFSAしかなかったわけですが、FHSAの登場により、住居購入資金貯蓄に特化したRegistered Account枠ができたわけです。将来カナダで住居購入を考えている方は、間違いなく利用すべき制度であると言えるでしょう。
例えば最初の5年間で毎年最大の$8,000を拠出し続け、その後投資利回り5%を毎年実践できたとするならば、15年後の残高は$75,600程。パートナーとの合計であれば$151,200。もう少し頑張って利回り7.3%が実現できれば、1人$100,500、二人で$201,000程。それだけの資金を生み出す可能性のあるアカウントを、TFSAとは別の枠として持つことができるということです。

また、そこまで先の未来はまだ見据えておらず、「将来家を買わないかもしれない...」という懸念がある方も多いことでしょう。ただ、上記の2点の「救済」的ルールは、結果的に家を買わなかったとしても (あるいはもっと極端に「そもそも家を買うつもりはない...」のだとしても)、結果的に少なくとも損をすることは無いようにデザインされたルールと言えます。

これらの点を鑑みても、少なくとも10年以上の単位で今後もカナダに住み続ける予定であるのであれば、Tax-Free First Home Savings Accountは、ぜひとも利用すべき制度であると言えるでしょう。


カナダでのリタイアメント: RRSP: Spousal RRSP

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

Spousal (配偶者) RRSP とは

RRSPは、根本的には個人単位で管理をするもので、「自分のリタイア/老後資金を自分で貯めていく」というコンセプトに基づいて、自分名義のプランへ拠出をしていくものです。
したがって、例えばリタイア/老後を迎えた夫婦やコモンローパートナーカップルは、それぞれが自分名義のプランからその後の老後生活資金を「所得」として捻出することになり、その資金額がカップル間で大きく違うということも十分にありえます。さらに、その際に所得としてプランから引き出していく額が多ければ多いほど、その分にかかる所得税の額も増えるわけで、これもまたカップル間で大きく差が出るということも十分にありえます。
差があるだけならよいのですが、例えばこの差により、所得税額に関して結果的に大きく損をすることもありえます。

シンプル (かつ極端) な例を示してみましょう。
とある夫婦間において..
  • フルタイムでのフルキャリアを終えてリタイアをした 夫側のプランには $1,000,000 の資金があるとする
  • 主婦として過ごしていた時期があり、それ以外でのフルタイム職とパートタイム職を持っていた間の拠出のみで貯めた 妻側のプランには $200,000 の資金があるとする
= 夫婦の合計RRSP資金は $1,000,000 + $200,000 = $1,200,000

リタイア後、それぞれが年間 5% 相当を老後の所得として引き出すとすると
  • 夫側の年間所得が $1,000,000 x 5% = $50,000
  • 妻側の年間所得が $200,000 x 5% = $10,000
  • その時点での、夫側の所得 $50,000 にかかる税率が 20% だとすると、夫側の税額は $50,000 x 20% = $10,000
  • その時点での、妻側の所得 $10,000 にかかる税金が (各種控除等の結果) $0 だとする
結果、この夫婦の合計所得 $60,000 に対する税額は $10,000 + $0 = $10,000 となります。

対して、例えば夫婦の合計RRSP資金が同じ $1,200,000 だったとしても、夫婦それぞれのプラン内に、半分づつ同額の $600,000 の資金があるとしたらどうでしょう。
= 夫婦の合計RRSP資金は $600,000 + $600,000 = $1,200,000

リタイア後、それぞれが年間 5% 相当を老後の所得として引き出すとすると
  • 夫側の年間所得が $600,000 x 5% = $30,000
  • 妻側の年間所得が $600,000 x 5% = $30,000
  • その時点での、夫側の所得 $30,000 にかかる税率が 10% だとすると、夫側の税額は $30,000 x 10% = $3,000
  • その時点での、妻側の所得 $30,000 にかかる税率が 10% だとすると、妻側の税額は $30,000 x 10% = $3,000
したがって、この夫婦の合計所得 $60,000 に対する税額は $3,000 + $3,000 = $6,000 となり、最初の例に比べて、全く同じ合計RRSP資金額、全く同じ年間引き出し額、全く同じ合計年間所得額なのにもかかわらず、年間 $4,000 (=40%) もの節税が出来ているということになります (あくまで例)。
このように、カップル (夫婦、コモンローパートナーカップル、同性カップルを含む) 間でのRRSP資金の差、及び引き出し額 (=所得) の差を縮め、上記の例のような節税を実現させてくれるのが「Spousal RRSP (配偶者 RRSP)」というシステムです。

基礎ルール

  • Spousal RRSP とは、配偶者 (上記の例だと妻側) を「annuitant (受給者)」として定義できるRRSPプラン。
  • 自分 (上記の例だと夫) のRRSPプランとは別のプラン扱いとして、各種金融機関で配偶者名義の元 (上記の例だと妻)、開設することができる。
  • 拠出をする (拠出ができる) のはあくまで自分 (上記の例だと夫) 。配偶者側 (上記の例だと妻) はこの Spousal RRSP プランへは拠出はできない。
    ただし、もちろん配偶者自身 (上記の例だと妻) が、この Spousal RRSP プランとは別の、自分自身のRRSPプランを持ち、そこへ自身で拠出することは問題なし。
  • 年間拠出制限額は自分 (上記の例だと夫) の制限額が適用される。つまり、自分のRRSPへの拠出と、Spousal RRSPへの拠出の合計が、自分の拠出制限額を超えてはいけない。

利点と目的

  • Spousal RRSP は、リタイア以前の段階で、カップル間の所得額の差が大きい場合 (つまり、そのままではリタイア時のRRSP資金に大きな差ができてしまうことが予想される場合) にこそ利用されるべきシステムです。
  • 最終的な目的は、リタイア時の両者それぞれのRRSP資金額を出来る限り同程度にすること、ひいては、リタイア後に同程度の割合いで引き出しを行うことで得られる所得に関して、一方だけに対し高い所得税率区分が適用されることを避けることです。
  • 通常のRRSPは、自分が71才になった年以降は拠出をすることが出来ませんが、例えば配偶者が自分より年下の場合 (かつ自分の拠出限度額に空きがある場合)、配偶者が71才になる年が終わるまで、Spousal RRSP に対しての拠出をすることができます。
  • Attribution Rules
    少なくとも拠出に関しては比較的簡単なシステムですが、一点だけ注意すべき点として、以下の「Attribution Rules」と呼ばれるものがあります。
    • Spousal RRSP に拠出を行ってから3年以内に引き出しを行うと、その引き出し額の全てもしくは一部は、拠出を行った側 (上記の例だと夫) の所得として申告しなければならない
    これは、多額の駆け込み拠出によって極端な税金逃れができてしまう..という盲点を制限するためのルールとして設定されています。例えば、Spousal RRSP からの引き出しを始めようとする3年前からは Spousal RRSP への拠出を停止する...など、このルール/制限を踏まえた拠出を計画するのが賢明と言えるでしょう。
もう一つの隠れ(?)利点と言えるのは、「Home Buyers' Plan (HBP)」関するものです。RRSPのページでも触れている通り、本来リタイア後資金としてのみ利用されるべきRRSP資産ですが、例外として、一人のRRSPプランにつき $60,000 (2024年4月より、それまでの $35,000 から増額) まで、「初めて住宅を購入する際の資金 = Home Buyers' Plan (HBP)」への利用が許されています。つまり、(収入が少ない側の名義となるSpousal RRSPを含めた) カップルそれぞれの側の名義において $60,000 以上のRRSP資産があれば、カップル合同で $120,000 まで HBP への利用ができるということになります。

まとめ

カップルの形は様々で、こと家計及びそれぞれの資産管理に関しては、一括または共同口座などでまとめて管理している場合や、意識的に完全に分けている、という場合もあることでしょう。Spousal RRSP は、基本的にはそのカップルがそのままの関係を維持しているという前提のもと、リタイア後にそこから引き出しを行う際 (つまり比較的遠く不確定な未来) におけるやりくりにおいて、その時点での節税を実現出来るようにするための制度です。したがって、様々な理由から「この制度はあえて利用しない」という選択をする場合もあることでしょう。
個々の環境/事情をよく考慮し、カップル間でしっかりと話し合いを持った上で、この制度を利用するか否かを吟味するようにしましょう。


カナダ生活: CRA / My Account

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

CRA とは

日本語では「カナダ国税庁」「カナダ歳入庁」等と訳され、カナダにおいて、タックスファイリング手続き諸々、TFSA (Tax-Free Savings Account) に関する管理諸々、RRSP (Registered Retirement Savings Plan) の拠出限度額裁定、CCB (Canada Child Benefit) の管理等々..、パーソナルファイナンスに関わる多く事項を管理/管轄しているのが、カナダ連邦政府の機関、

Canada Revenue Agency (カナダ・レベニュー・エージェンシー)
略称「CRA」(シー・アール・エー)
となります。
カナダで生活する上で、特にパーソナルファイナンスに関する事項においては、必ず何らかの形で直接あるいは間接的にお世話になっている機関です。当サイトにおいてカバーしている情報も、その多くはCRAがオフィシャルに発表/提示している情報を元としています。
そのウェブサイト上で網羅されている各種情報は、非常に整理されていて、また説明もわかりやすく、(あくまで主観ですが) アメリカの国税局 (IRS: Internal Revenue Service) や日本の国税局の姿勢と比べて、政府機関らしからぬ親しみやすさと信頼性が醸し出されています (笑
当サイトでカバーしきれていない情報、あるいは各種トピックにおいて正式な政府発表の文言や数字等を回覧したい場合などは、是非ともCRAのウェブサイトを訪れて、確認をしてください。

My Account

CRAのサイト上にて、「サービス」として提供されている機能として「My Account」というものがあります。これは、SIN (Social Insurance Number) を持つ個人各々がCRA上にアカウント (「My Account」という名のアカウント) を作成することができ、個人の情報の回覧、CRAからの通知のやり取り、あるいは支払い手続きなどをサイトを通して行えるという、いわゆるCRAのポータルサービスです。
各種発行物の受領など、郵便での手続きを好む方もいるかもしれませんが、少なくとも各種情報の迅速な回覧という一点においても、このサービスを利用しない手はありません。

「My Account」で利用できる機能 (一部)
  (個人用アカウントにおいては、正確には「My Account for Individuals」)
  • タックスリターンの進捗状況の回覧
  • 「Notice of Assessment」の回覧
  • RRSPの拠出限度額の回覧
  • TFSAの拠出限度額及び拠出履歴の回覧
  • 雇用主より発行されCRAにリポートされたT4フォーム上の数字の回覧
  • 各種金融機関より発行されCRAにリポートされたT5フォーム上の数字の回覧
  • 「Direct Deposit」用銀行口座の登録/管理
  • 住所/電話番号/家族構成情報等の登録/管理
  • Child Benefitsへの申し込み
  • 連邦/州政府からの各種支給金の詳細の回覧

アカウント作成/登録

「My Account」アカウントの作成手順の詳細を記したいところですが、細かな手順は比較的頻繁に変更/更新されるため、ここでは大まかな手続きに関する情報のみに留めておきます。 最新の情報、及び手続きの詳細については、CRAサイト上の「My Account」のメインページから参照することができます。
  • アカウントの作成の際には、「My Account」専用のユーザーIDとパスワードを新規に設定することもできますし、またはCRAが提携している各種金融機関 (Sign-In Partners) にすでにオンラインアカウントを持っている場合には、その既存のアカウントのユーザーIDとパスワードでログインできるように設定することもできます。

    Sign-In Partnersとして登録されている金融機関 (2026年1月時点)

  • アカウントの作成に必要な情報は、SIN、生年月日、住所などの一般的なものと、前年のタックスリターンに関する情報 (総所得額として申告された金額の詳細など)。
  • (Sign-In Partnersでのログインではない方法を選択した場合) オンライン上でアカウントを作成しただけの時点では、「Limited Service」(制限つきサービス) のアカウント扱いとなり、利用できるサービスも限られます。オンライン上でアカウントを作成する手順の中で、「security code」の郵送をリクエストする手順があり、数日後にそれを郵送にて受け取り、再度オンライン上でこの「security code」を入力することで、晴れて「Full Service」のアカウント扱いとなり、全てのサービスが利用できるようになります。



「Notice of Assessment」など、しっかりと手元に印刷物として保管することで管理しておきたいものもあるでしょう。しかし、やはり情報そのものの正確性、及びその回覧における利便性。あるいは、Direct Depositによるタックスリターンの受け取りなどの実質的な即効性という意味においても、やはりオンラインサービスに勝るものはありません。カナダでの生活が始まり、SINを取得した時点で、しっかりと「My Account」アカウントを即時に作成し、パーソナルファイナンスに関わる情報の把握と管理をしっかりと自ら行えるようにしましょう。


カナダでのリタイアメント: RRSP: 拠出

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

RRSP への拠出

自分の拠出限度額も理解できたところで、実際の拠出額あるいは拠出のサイクル等について考えてみましょう。

RRSPの様な積み立て型の貯蓄では、毎給与から自動的に天引きする、あるいはスケジュールを決めて自動的に振込みを行うなどの方法で、家計のやりくりに組み込んでしまうのが最も有効な方法です。家計に影響のない範囲で、出来る限りの拠出をすることが理想です。もちろん、家計が許すのであれば、年間拠出限度額いっぱいまでの拠出が出来ることが理想です。

前述の通り、RRSPのメリットのひとつは、タックスファイリング時にその拠出額をそのまま控除として利用できるという点です。この点を鑑みると、長期的に見ても短期的に見ても、できる限り毎年拠出限度額いっぱいまでの拠出を目指すということは、非常にメリットの大きい努力目標であると言えます。RRSPの制度もまた、拠出限度額いっぱいまでの拠出を促すような形で、各種期限日等が設定されているといっても過言ではありません。
暗に、
1. 年間を通じて一定額を拠出し続ける
その上で、タックスファイリング直前の時点で、
2. 拠出限度額に満たない分を追加で拠出をする
という方法を取れるように期日が設定されています。これらの点を踏まえ、RRSPの拠出のサイクル/スケジュールに関して考察してみましょう。



RRSPでは、「年間」拠出額と謳っていながら、実際の一年のサイクルはいわゆるカレンダーイヤー (1月~12月) とはなりません。該当年に対する拠出期間は、3月初めから翌年2月末までの一年となります。
*実際は、当該年の2月最終週の曜日の構成によって数日ほど伸ばされることがあります。大まかに、毎年2月最終日が拠出締切り日であると覚えておけば問題ありません。

例 (直近3カ年):
2024年分のRRSPの拠出期間: 2024年3月1日~2025年3月3日
2025年分のRRSPの拠出期間: 2025年3月4日~2026年3月2日
2026年分のRRSPの拠出期間: 2026年3月3日~2027年3月1日
これは、4月末日に設定されているタックスファイリングの締め切り日との兼ね合い等を踏まえ、理にかなっているスケジュール設定であると言えます。
例に沿って考察してみましょう。
  1. 年間所得額が$85,000程のAさん。2025年分のタックスファイリングを早めに終え、2026年3月半ばに届いた「Notice of Assessment」によると、2026年分のRRSP拠出限度額は「$15,000」となりました。

    RRSP(2026年)年間拠出限度額 = $15,000

  2. グループRRSPを提供しているAさんの勤務先では、月二度(毎15日と月末日、年合計24回)給与が振り込まれる形態です。Aさんは毎給料日に、$400をRRSPに拠出するように設定しています。

    2026年3月3日から2027年3月1日までの自身の拠出額 = $400 x 24 = $9,600

  3. Aさんの勤務先のグループRRSPでは、年収の5%を自動的にMatchしてくれるというベネフィットがあり、毎給与に分けてその額がRRSPに拠出されるようになっています。

    2026年3月2日から2027年3月1日までの雇用先からの拠出額
    = ($85,000 x 5%) / 24 x 24 = $4,250
したがって、Aさんのこの時点での2026年分の拠出合計額は、
$9,600 + $4,250 = $13,850

となり、拠出限度額に達するまであと
$15,000 - $13,850 = $1,150

が余っているということがわかります。

さて、上記のような拠出を行っている設定で、2027年2月頃 (2026年分の) タックスシーズンを迎えるとしましょう。

2026年分の所得税計算にあたり、課税対象所得額を少なく抑えるためにRRSPによる控除を最大限に利用しようとするAさんは、上記の計算により、拠出限度額にまだ$1,150の空きがあることを知っています。
そこでAさんは、毎給料日からの拠出とは別に、$1,150を Savings Account から工面しRRSPへ追加拠出することにしました。

合計拠出額 = $9,600 + $4,250 + $1,150 = $15,000
考察
Aさんが Savings Account から捻出してでも追加拠出をしようと決めたのには当然理由があります。利用しているタックスファイリングのソフトウェアによる計算によると、$1,150の追加拠出をすると、その結果タックスリターン額が$2,500から$3,200 (あくまで例) にまで増えることがわかりました。その金額差を鑑み、Savings Account を切り崩してでも追加拠出をする価値があると判断したわけです。Aさんは、リターン額が振り込まれた際には、その中から$1,150を Savings Account に戻しておくつもりでいます。
また、当然ですがこの$1,150の追加拠出分は「支出」されたわけではありません。RRSPに拠出されたわけですから、あくまで自分のお金です。
つまりこの例では、結果的に一時的に$1,150を移動させただけで、$700もの単純な利益が生まれているということが言えるのです。

注意点

タックスファイリングの期限が4月末日であるのに対し、RRSPの拠出期限は上記の通り2月末(または3月初平日)です。したがって上記の様なシナリオを踏襲する場合には、タックス計算の作業を出来るだけ早く開始し、追加拠出の金額を割り出した上でRRSPの拠出期限の前までに追加拠出を完了させる必要があります。

まとめ

上記の例で示した$700という差益は、決して極端な例ではありません。RRSPへの拠出による控除というのは、リターン額に最も大きな影響を与えるファクターのひとつです。したがって、予算が許す限り多くの、また拠出限度額に出来るだけ近い拠出を達成することは、短期長期両方の視点からも、大変メリットのあるやりくりであると言えるのです。


カナダでのリタイアメント: RRSP: 拠出限度額

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RRSP の拠出限度額

晴れてRRSPへの拠出ができる環境が整ったとして、次に熟慮するべきはその拠出額です。自分の将来のための貯蓄ですから、現在の家計に影響のない範囲でできる限りの額を拠出するに越したことはありません。しかし税制優遇措置があることに伴って、RRSPの拠出には年間限度額が設定されています。
1. あなたの前年の所得額の18%の額

2. 毎年CRAによって設定される年間拠出限度額 (下記参照)
を比べて
少ない方の額
= あなたのその年のRRSP拠出限度額

設定年間拠出限度額 (間近5年)
2022年2023年2024年2025年2026年
$29,210$30,780$31,560$32,490$33,810
(年毎にインフレ率等に応じて調整)

少し掘り下げてみましょう。
2026年の分のRRSPへの拠出限度額を例にとってみるとします。
  • 前年2025年の所得額が例えば$100,000だったとすると、その18%は$18,000
  • 2026年の設定限度額は$33,810
  • $18,000の方が断然少なくなりますので、結果2026年分の拠出限度額は、$18,000となります。
もう少し掘り下げてみましょう。
CRAが示す毎年の設定限度額というのは、かなり高めに設定されていることがわかると思います。例えば同じ2026年を例にとると、前年2025年の所得額が$187,833.33以上となって初めて、その18% (=$33,810) が設定限度額を上回るということになります。つまり、結構な高額所得者 (年収 $187,833.33以上) となって初めて、設定限度額の方が適用されるケースがみられるということになるので、おそらく多くの人にとっては「前年の所得額の18%」の方が適用される場合がほとんどでしょう。

未使用限度額の繰り越し
ある年において、その年の年間拠出限度額いっぱいまでの拠出をしなかった場合 (つまり拠出額にまだ空きがあった状態でその年の分への拠出期限が終わった場合)、その使われなかった分の額は、翌年以降へと繰り越しすることができます。

拠出限度額の確認

さて、上記の通り拠出限度額の割り出し方 (割り出され方) を示してきましたが、ことRRSPに関しては、それらはあくまで知識として理解しておく程度で済ませて問題ありません。なぜなら、最終的かつ正確な拠出限度額は、毎年CRA側が「Notice of Assessment」を通じて、それを示してくれるからです。
タックスファイリング」の項でも示されている様に、ある年においてタックスファイリングを適切に行いそれが無事終了した時点で、CRAから「Notice of Assessment」という書類が発行されます。その書類下部にはRRSPのセクションがあり、当該年分の拠出限度額、合計拠出額および未使用額等の計算が示され、翌年のRRSPへの拠出限度額がはっきりと明記されます。
*CRAサイトのMyAccountページを通じても、この額は常に簡単に確認することができます。

当該年の拠出限度額を常に正確に把握し、限度額を超えて拠出をすることのないようにしましょう。またこの額の変動にも毎年注意を払い、拠出額 (Group RRSPなら毎給与からの捻出額) の調整などに利用しましょう。


カナダでのリタイアメント: RRSP: 口座開設

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RRSP 口座

RRSP の口座の種類、口座を開設する際の考え方等についてまとめてみましょう。

Group RRSP (グループRRSP)

ある程度の規模の雇用主の元で働いている場合は、雇用主がいわゆる「Group RRSP」を福利厚生の一部として提供している場合があります。これは、雇用主が特定の金融機関と提携していて、会社を通じて社員にRRSPの口座を持たせ、給与の一部から希望の額を自動的にRRSPに拠出することができるという仕組みです。
この場合は、特に個人で口座を開設する必要はなく、全てが人事部 (HR) を通して行われるのが一般的でしょう。毎月/隔週の給与から何ドルあるいは何%をRRSPに拠出するように設定するのか、またその提携先の金融機関が提供する運用方法 (主に投資信託など) の中から何をどう選択するのかなどは、もちろん自らが設定することができます。
雇用主からのMatch (積み増し)
Group RRSPでは、雇用主がRRSPへの拠出の積み増し (Match) をしてくれることが多くあるということが、最大の利点です。例えば、自らが毎給与時に拠出する額と同額を雇用主が拠出してくれる (100% Match)、あるいは年収に対して決まったパーセント分を、雇用主が毎給与時に拠出してくれる...など、Matchのルールは様々ですので、まずは雇用先のHRに、「Matchは提供されているのか」だとしたら「どのようなルールとなっているのか」という点を確認しましょう。
確実に言えることは、もし雇用先がMatchを提供している場合には、絶対にこれを利用するべきであるという点です。Matchとは、リタイアメントの資金を雇用主が給与とは個別に援助してくれているシステムであると理解することができます。ルールを理解し、最大限のMatchを受け取れるよう努力をしましょう。

Individual RRSP (個人RRSP)

雇用主が提供するGroup RRSPとは別に (雇用主を通してGroup RRSPをすでに所持しているとしても)、Individual RRSPとして各種金融機関に個人RRSP口座を開設することはいつでも可能です。各種金融機関は、TFSAやRESPなどと同様に、口座の種類のひとつとしてRRSPを扱っていますので、新規口座を開くのと似たような手続きで、RRSPの口座を開設することができます。
個人RRSPの運用は、各種金融機関が提供する投資商品を通して行うことになります。したがって、投資商品そのもの好みを元に、金融機関を選択することも出来るでしょう。また、日々すでに取引をしている銀行にRRSP口座を開けば、拠出手続きやポートフォリオの管理なども比較的スムーズに行えるでしょう。

Group RRSP vs. Individual RRSP

Group RRSPとIndividual RRSPを使い分ける、あるいは両方所持することに利点はあるのでしょうか。
  • 雇用主がGroup RRSPを提供してくれていて、ましてMatchを提供してくれている場合は、RRSPに関しては全てGroup RRSPを通して拠出及び管理を行うことが良いと言えるでしょう。
  • Group RRSPを通してMatchを最大限に受け取っている上で、どうしてもIndividual RRSPを通してでしか利用できない魅力的な投資商品が別にある場合などに限っては、あえてその金融機関にIndividual RRSP口座を開くことも良いでしょう。
  • 転職や離職に伴って、それまでの雇用主が提供するGroup RRSPを利用できなくなるような事態となることもあるでしょう。その場合には、Group RRSP口座からIndividual RRSP口座に移行する必要があります。頻繁に転職をするような境遇にいる場合などは、手続きの面倒さを理由に、Individual RRSP口座のみの所持を好む場合もあるでしょう。だとしても、それだけの理由を元に、雇用主からのMatchを逃すというのは、あまりに勿体のないハナシです。
リタイアメント資金の捻出と積み立てという、長期的なゴール/目的を見据え、適切な選択をするよう心がけましょう。

次項で詳しく触れますが、年毎に設定されるRRSPの拠出限度額は常に個人で把握しておく必要があります。当然、複数のRRSP口座を所持しているからといって、拠出限度額が増えるようなことは一切ありません。拠出額の管理という意味においても、むやみ口座を増やしてややこしくすることなく、ある程度まとまったかたちで管理できることが理想と言えるでしょう。


カナダでのリタイアメント: Registered Retirement Savings Plan (RRSP)

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Registered Retirement Savings Plan (RRSP)

RRSPとは、老後/引退後の為の資金を形成することを支援する、各種税制優遇措置付き登録制資金形成制度です。「就労所得がある」こと、そして「(最初の拠出をしようとしている時点から見て) 前年分のタックスファイリングを済ませている」ことが、RRSPを開設する、または拠出を行う為の条件となります。
各種金融機関、または多くの場合、雇用先が提携する金融機関を通してそのアカウント/口座を開設し、年毎の拠出制限額を鑑みながら、継続的に拠出を行うことでその資金を形成していくことになります。

RRSPのメリット/デメリット、あるいはそもそも「RRSPをはじめるべきか否か」という点について、まとめてみましょう。

RRSPのメリット

RRSPに関しては、3点、大きな税制上の優位点を理解する必要があります。
1. タックスファイリング時の控除
比較的短期的な視点でおそらく最も影響のある利点となるのは、「RRSPへの拠出額は、タックスファイリングの際にそのまま控除として使える」という事実でしょう。「税金」の項目でも触れたとおり、ここで言う控除 (deduction) とは、総所得額から直接引き算のできる項目であり、多くの場合、おそらく最終的なタックスリターン額に最も影響を与える項目のひとつとなります。
もちろんRRSPの拠出限度額 (後述) は個々によって違いますので一概には言えませんが、例えば$10,000~$20,000辺りの限度額に対して、満額の拠出をするのと、一切の拠出をしないのとでは、タックスリターン額に数千ドルの差が出ることは想像に難くありません。

2. 運用益が非課税
RRSPへ拠出された資金は、RESPやTFSAなどと同様、各種金融機関が提供する投資商品 (元本保証のSavings AccountやGIC、あるいは投資信託や株式など) を通じて運用することとなります。この運用で得られる利子所得や運用益などは、すべて非課税となります。

3. 所得税の先延ばし
RRSPへ拠出された分の額は、その年の所得額への控除に使えるわけですから、事実上その分にかかる所得税を免れることになります。老後/引退後にRRSPから資金を引き出す時には、それらは所得とみなされその時点で所得税が適用されます。多くの場合老後/引退後は所得が低くなり、低い所得税率区分が適用されることが予想されるため、結果としてその差分だけ得をする、という考え方です。

RRSPのデメリット

RRSPは、「リタイアメントの時点まで、一切引き出す予定がない」ことを前提に、その資金を形成することを支援する制度です。その本来の制度/目的通りに理解し利用している限り、基本的に大きなデメリットはありません。目的を逸脱し、リタイアメント以前に (他にメインの収入ソースがまだある時点で) 引き出しを行ったりした場合、またはリタイアメント後でも、持続的な収入ソースとして利用せずに一括での引き出し (cash-out) を行ったりした場合などには、「引き出し額はそのまま所得として扱われる」というシステムの特性上、「節税の機会を無駄にする」という結果となり、それがデメリットととなります。
リタイアメント前に非課税ででRRSPから引き出しができる例外として、初めて住宅を購入する際の資金 = Home Buyers' Plan (HBP) と、自身あるいは配偶者の就学のための資金 = Lifelong Learning Plan (LLP) とが、制度として認められています。

RRSPをはじめるべきか否か

それでは、例えば現時点で20代、30代、40代..でカナダに在住しているとして、今後数十年間あるいは老後/引退後、そのままカナダに在住し続けるかが確かではないといった場合、RRSPを始めるべきなのでしょうか。
リタイアメント資金形成をはじめるべきか否か >> 常にYES!
現在の年齢、あるいは将来の環境にかかわらず、リタイアメント後の資金を準備することの必要性に関しては、答えは常にYesです。また、リタイアメントプランそのものに対する考え方として、前述の「労働収入があるうちに、その一部をリタイアメント後の資金として捻出しておく」という方法論は、これもまた将来の環境にかかわらず、答えは常にYesです。したがって、まず現時点でリタイアメント後の資金形成の準備を始めていないのであれば、それは今すぐに始められるべきものとなります。
RRSPによってリタイアメント資金形成をするべきか否か >> ほぼYES!
では、それをRRSPを介して行うメリットはなにか。それは、上記の3つの税制優遇措置に他なりません。所得税の控除に関しては、カナダでタックスファイリングをし続けている限り、1年単位でその大きな恩恵を受け続けることが出来ます。他2点に関しては、その恩恵を受けるに際し、リタイアメント時にどこに居住しているかというのはほぼ無関係です。したがって、例えば数年内にカナダを離れることが確定していて、長期的な観点から (上記「デメリット」を鑑みて) その恩恵が最小限であると判断されるような場合以外であれば、リタイアメント資金形成には、RRSPがもっとも有効な方法であると言う事が出来ます。


カナダでのリタイアメント: リタイアメントプランの基礎

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リタイアメントプランニング

RRSPの説明に入る前に、そもそもこの「リタイアメントに向けた貯蓄または投資」というものを、パーソナルファイナンスの中でどのような位置づけとして捉えるべきなのか、という点をまとめてみましょう。

目的/ゴール

例えば65歳をリタイアメントのターゲットと設定したとして、退職の時点で、それまでの月々あるいは隔週の給与所得が途絶えるとします。何も蓄えがなければ、あるいは蓄えがあったとしても、この時点からは根本的に家計のやりくりに対する考えを改めなければなりません。その後の収入がなければ、必然的に資産を切り崩しながら支出を支えるしか方法はないからです。

このターニングポイントの到来に際し、
家計への『劇的な変化』を最小限に抑えること
つまりは、
引退前と引退後の生活レベルを同様に保てるようにする為の資金を準備すること
が、リタイアメントに向けた資金形成の根本的な目的およびゴールとなります。
そしてその為に、「労働収入があるうちに、その一部をリタイアメント後の資金として捻出しておく」という方法をとることでそれを実現できる、となるわけです。

いつはじめるべきか

では、この資金形成への努力は、いつから始められるべきなのでしょう。答えは単純明快「今すぐに」です。リタイアメントに向けた貯蓄または投資は、おそらく他のどの資産形成シナリオと比べても、最も長期先のゴールを見据えたものとなるでしょう。積み立て貯蓄/投資に際しては「時間」というのは最も重要なファクターのひとつです。リタイアメント資金形成においても、当然のことながら、その積み立て期間が長ければ長いほど、その運用に際しては有利となります。

リタイアメントプラン/RRSP

では、この資金形成はどのように行えばよいのでしょう。通常のSavings Accountや、GICなどによる運用では不十分なのでしょうか?
ここで晴れて登場するのが、各種税制優遇措置のついた政府主導の登録制リタイアメントプラン、Registered Retirement Savings Plan (RRSP) となるわけです。リタイアメント資金の形成に特化した貯蓄/投資、つまりは「リタイアメントの時点まで、一切引き出す予定がない」ことを前提とする貯蓄/投資に際しては、この制度を利用しない手はありません。
次の項目では、RRSPのルールや仕組み、またその利点などについてまとめてみましょう。


リタイアメント

 

カナダでのリタイアメント: はじめに

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

リタイアメント

多くの人にとっては「リタイアメント (引退、または定年)」と聞いても、まだまだ「遠い未来」のことと考えてしまうのが一般的でしょうか。例えば、20代、30代、40代...の現在、晴れてカナダの永住権を取得して、まさにこれからカナダでの生活と経済的な基盤とを築いていこうとしている時に、「老後の生活」と言われても、現実的な事として捉えられないというのもわかります。しかし「リタイアメント後の収入源」について、延いては「引退後、仕事をしていなくても生活できる」ことを実現する為の準備については、やはりある時点で考えなくてはいけません。そしてそれは間違いなく、早ければ早い程良い (多くのメリットがある) のです。

カナダの年金制度

カナダの年金制度は、Old Age Security (OAS)Canada Pension Plan (CPP)Registered Retirement Savings Plan (RRSP) の三本柱で成り立っていると言われます。このうちOASとCPPは、いわゆる公的年金。大雑把に言ってしまうと:
  • OASは、65歳の時点から、それまでのカナダでの居住期間に比例した額が支給される公的「老齢年金」制度
  • CPPは、60歳の時点から受給資格を得ることができ、給与所得があった期間にCPP保険料を収めていたことを前提に、給与額とその期間に比例して支給額が決まる、公的「退職者年金」制度
ということになります。

カナダは、北欧などによく見られる極端な「福祉国家」ではありません。政府が管轄するこれらの社会保障制度からの公的年金支給額のみでは、老後の生活のための十分な収入とはなりえません。また、日本の国民年金制度、あるいはアメリカの社会保障制度と同様、常にその制度の将来性と持続性には疑問符が付き纏います。さらに、カナダでの居住期間や就労期間など、既に自らの努力ではどうにもならないファクターが、支給額を左右するベースになっているということも理解する必要があります。
そこで三本目の柱、私的/個人年金であるRRSPが、個人でコントロールすることができ、最も重要かつ最もその仕組みをしっかりと理解すべき年金制度となるわけです。