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カナダでの投資: Tax-Free First Home Savings Account

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

Tax-Free First Home Savings Accountとは

Tax-Free First Home Savings Account (TFFHSA または FHSA) とは、「初めての住居購入に向けての頭金を貯めることを支援する」という名目で、カナダ政府が2023年よりその制度の施行を始めた、課税の免除を柱とした貯蓄支援制度です。
18歳以上でカナダ在住であり、住居購入を経験していない (詳細は後述) 全ての人にアカウント開設の資格があり、一年間につき最大$8,000、生涯合計$40,000の拠出が可能で、そのアカウント内で運用している限り運用利益に対しての課税を免除し、さらに引き出しの際にも課税がないとする制度です。

  • (RRSPのように) アカウントへの拠出はそのまま該当年のタックスファイリングの際に所得からの控除として利用することができる
  • (TFSAやRRSP/RESPのように) 運用利益に対しての課税が免除される
  • 「初めての住居購入のために利用する」限りにおいては、(TFSAのように) 完全に非課税で引き出すことができる

つまり、RRSPとTFSAのそれぞれの利点を両方同時に持った、とても強力な非課税アカウントと言える制度です。

* FHSAの様な非課税アカウント(Registered Account)の基本と、RRSP/TFSAと比較した際の利点等を理解するためには、そもそもTFSAとRRSPに関する理解は必須と言えます。TFSARRSPの詳細に関しては、それぞれの解説ページを参照してください。

アカウント開設資格

アカウントを開設するための資格は3つ。
  • 18歳以上であること*
  • (税制上の定義において) カナダ居住者であること
  • アカウントを開設しようとするその年、または現時点から遡った4年の間、自らが購入した住居に住んでいたことがないこと。
    (つまり厳密には、過去に住居を購入したことがあっても、それが4年より前であり、さらに4年より前の時点からすでのそこには居住していないのであれば、アカウントを新規に開設することは可能であるということになります)
注意
BC州、NB州、NL州、NS州、NT準州、NU準州、YT準州では、各州個別の「legal age」の定義に関する法律により、FHSA口座を開設できる年齢は18歳ではなく19歳となっています。

拠出

一年間につき$8,000が拠出限度額として設定され、生涯合計$40,000の拠出が可能です。
アカウントを開設した後に、ある年において$8,000に満たない拠出しかしなかった場合は、(TFSAのシステムと同様に) 未使用の分が翌年に繰り越されます。ただし、繰り越しができるのは一年分の最大額に相当する$8,000のみ。つまり、複数年にわたって未使用の分がありそれが$8,000を上回る額だとしても、翌年分に繰り越しができるのは$8,000までです。そして生涯の拠出額合計が$40,000に至った時点で、それ以上の拠出はできなくなります (年間の拠出額合計を上回る拠出をしたり、生涯拠出額合計を超える拠出をすれば、ペナルティが発生することとなります)。
つまり、最速で5年間 ($8,000 x 5年 = $40,000) で生涯限度額に到達するような拠出をすることもできますし、あるいはもっとゆっくりと、例えば10年間かけて ($4,000 x 10年 = $40,000) でゆっくりと拠出をするというようなこともできるわけです。
また、TFSAと同様に、複数の金融機関においてFHSAアカウントを開設することができますが、年間及び生涯の拠出限度額は当然そのままです。TFSAと同様、自分自身で拠出額の記録等を管理する必要があります。

拠出をした分の額は、その年のタックスファイリングにおいて、「控除」として利用できます。つまり、RRSPへの拠出と同様に、その年の課税対象所得額そのものを減らすために、総所得額から引き算 (deduct) することのできる項目として利用できるということになります。
重要:
RRSPに既に入っている資金からFHSAへ資金を移動 (transfer) させるすることで、FHSAへの拠出とすることも可能です。
この場合、RRSPからの移動は「引き出し」とはみなされないため、非課税で行うことができます。
  • ただしこの場合でも、FHSAの拠出限度額はそのまま適用されます。RRSPからの移動であれ、通常の拠出であれ、年間$8,000、生涯$40,000の限度額ルールはそのままです。
  • また、この引き出しによってRRSP側の年間拠出額が影響をうけることはありません。引き出しを行ったことによって、翌年のRRSPの年間拠出限度額が増えるようなことはありません。

運用

TFSAやRRSP/RESP等と同じく、拠出先によって様々な投資商品を通して運用をすることができます。そして、運用によって得た利益は完全に非課税です。「FHSAという箱」の中で運用をしている限り、利子利益やキャピタルゲインをタックスファイリングの際に所得として申告する必要は一切ありません (そもそもT5フォーム等も発行されません)。

引き出し

考え方として、TFSAと違い、頻繁な「引き出し」という概念は意識するべきでないとも言えます。「FHSAからの引き出し」とは、まさに「住居購入」の時が来た時に行う一括引き出し。それがこの制度の目的として想定されているメインの「引き出し」のシナリオとなります。「住居購入」の機会が訪れた際に、その目的 (主に頭金) に利用される限りにおいて、運用益分も含めFHSAから非課税で引き出しを行うことができます。
重要:
初めての住居購入の為の資金調達のもう一つの手段として、RRSPから $60,000 を非課税で引き出す (2024年4月より、それまでの $35,000 から増額) ことのできる「Home Buyers’ Plan (HBP)」という制度が既に存在します。FHSAとHBPは、ともに同一の住居購入の為の資金として併用する (両方とも利用する) ことができます。つまり、住居購入の為の資金として、一人に付きFHSAから $40,000 (プラス運用益)とHBPから $60,000 で、合計 $100,000+ が利用できる (二人分ならば$200,000+) ということになります。

様々な理由により「住居購入」の機会が訪れない/訪れなかった場合に際しては、以下のような「救済」的ルールが用意されています。
  • 71歳に至るまでの間で、いつでも自由にFHSAからRRSP (またはRRIF) に資金を移動させることが可能。また、この移動は非課税で行うことができ、さらにRRSPの拠出限度額に影響を与えない/影響を受けない
    (つまり、移動させることによって当該年のRRSPの拠出限度額が減ることはないし、また、移動させようとする時点で、当該年のRRSPの拠出限度額に空きがあるかどうかも関係ない)。

    >> この場合は、結果的にその分を将来RRSPから引き出す際には所得となり課税対象となるため、FHSAの「非課税で引き出せる」という利点を失うという点が、ペナルティ的要素となります

  • FHSAアカウント開設から15年たった時点で、FHSA内の資金を使用する機会がなかった場合、アカウントを閉じる必要がある。その際は、上記のようにRRSP (またはRRIF) に資金を移動させるか、単純に課税対象の収入としてその時点で引き出す必要がある。

    >> 上の場合と同じく、RRSPに移した場合は未来の時点で、即時に引き出した場合は即時に、所得となり課税対象となるため、FHSAの「非課税で引き出せる」という利点を失うという点が、ペナルティ的要素となります



Tax-Free First Home Savings Accountを始めるべきか

これまで、住居購入の頭金を貯蓄するために利用できるRegistered Account (つまり、目的を指定されずに利用できる非課税貯蓄アカウント) はTFSAしかなかったわけですが、FHSAの登場により、住居購入資金貯蓄に特化したRegistered Account枠ができたわけです。将来カナダで住居購入を考えている方は、間違いなく利用すべき制度であると言えるでしょう。
例えば最初の5年間で毎年最大の$8,000を拠出し続け、その後投資利回り5%を毎年実践できたとするならば、15年後の残高は$75,600程。パートナーとの合計であれば$151,200。もう少し頑張って利回り7.3%が実現できれば、1人$100,500、二人で$201,000程。それだけの資金を生み出す可能性のあるアカウントを、TFSAとは別の枠として持つことができるということです。

また、そこまで先の未来はまだ見据えておらず、「将来家を買わないかもしれない...」という懸念がある方も多いことでしょう。ただ、上記の2点の「救済」的ルールは、結果的に家を買わなかったとしても (あるいはもっと極端に「そもそも家を買うつもりはない...」のだとしても)、結果的に少なくとも損をすることは無いようにデザインされたルールと言えます。

これらの点を鑑みても、少なくとも10年以上の単位で今後もカナダに住み続ける予定であるのであれば、Tax-Free First Home Savings Accountは、ぜひとも利用すべき制度であると言えるでしょう。


カナダでの投資: Wealthsimple のすすめ

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

Wealthsimple

TFSA や RRSP や RESP を既に始めている方の多くは、各種証券/保険会社や銀行を通して、主に Mutual Funds の購入等で長期積立投資を実践していることでしょう。
積立投資にも慣れてきて、マーケットの見方もそれなりに理解出来る様になってきて、「もっと自分でコントロールできる投資をしてみたい」、「個別株やETFなどを、自分の判断で選択して売買してみたい」、「積立として購入し続けるだけでなく、売却して利益を出す投資をしてみたい」...などなど、投資に関してどんどんと貪欲になってくる方もいることでしょう。

近年、新たに「投資を始めたい!」と思っている方にとって、各種投資商品の売買を始められる環境を整えるためのハードルは、益々低くなっています。その中でも代表的なのが、2014年からサービスを開始し、主にミレニアル世代をターゲットに、「コミッションフリー (売買委託手数料無料)」を最大の売りとしてサービスを提供している、Wealthsimple (ウェルスシンプル) です。モバイルアプリを通して、その名の通りとにかくシンプルな使用感でサービスを提供し、大手の Questrade や Qtrade とは一線を画し、近年大幅に利用者を増やしています。

いくつかある Wealthsimple 内のサービスのカテゴリーの中でも、上記のようなニーズに応えていて、管理人自身も利用し、(一切の個人的しがらみやコネクション等全く無しで(笑)) 問題なくおススメできるプラットフォームが、Wealthsimple上の「Self-directed investing」となります。

Self-directed investing

  • 米ニューヨーク市場 (NYSE)、トロント市場 (TSX) をはじめ、アメリカとカナダのメジャーな市場で取引されている株式とETFの売買が可能です。
  • 株式/ETFの売買に関して、いわゆる委託手数料は一切かかりません。ただし、米ドルで取引される株式/ETFの売買に際しては、1.5% の為替手数料が発生します (売買の際に内包されています)。
  • Self-directed investing カテゴリー内で扱われる「アカウント」の種類として、「TFSA」、「RRSP」、「RESP」、「FHSA」等を始めとするいわゆる「Registered (非課税)」アカウント群と、「Non-registered (通常/課税)」アカウントがあり、当然のごとく「Registered (非課税)」アカウントを利用し売買をすれば、キャピタルゲイン等は非課税となります。
  • アカウント内の最低保持額等の制限もなく、株式/ETF等も1株から(銘柄によっては金額指定でのフラクションナルシェア)の購入が可能です。
  • 売買の際の注文の仕方として、いわゆる「成行注文 (Market Buy/Sell)」「指値注文 (Limit Buy/Sell、Stop Limit Buy/Sell)」ともにサポートされています。
  • (2023年より) オプション取引の機能もサポートされています。
シンプルであるが故に、サポートされてない機能、または不便な点:
  • 単純に、上場されている株式とETFの売買のみが可能です。投資信託は売買できませんし、IPO (新規株式公開時の買い) に参加するようなこともできません。また、ショート (空売り) の機能もありません。
  • (資産額によりますが) 銀行等からトランスファーされた資金が実際に使えるようになるまでに、比較的長い時間 (3日程) がかかります。

留意点

手軽であるが故に、投資全般に関しての経験や知識をさほど持ち合わせていない方でも簡単に始められるという利点はあります。しかし、やはり個別株等でしっかりと利益を出すためには、株式を購入する会社/企業の四半期毎の業績報告や業界の動向に関するニュース記事をこまめにチェックするなど、ある程度以上のコミットメントが必要となります。

弊サイトの姿勢としては...、
Wealthsimple の Self-directed investing は、「投資信託等で長期積立投資を既に行っており、投資全般への経験と知識をある程度持ち合わせていて、将来を見据えたある程度の投資資産を既に別に保持しているという条件の上で、余剰資金で、リスクを享受した上で、あえて個別株/ETFでの投資経験を積みたい.. というニーズにおいて、利用価値のある有効な投資チャンネル」である
と考えます。

また、利用の際には、間違いなく「Registered (非課税)」アカウント (目的に応じて「TFSA」、「RRSP」、「RESP」、「FHSA」から選択) での利用を強くお勧めします。TFSA または RRSPFHSA に拠出額の空きがあるにもかかわらず、あえて「Non-registered」アカウントを利用して非課税の恩恵を無下にする理由はありません。しっかりと、それぞれの自分のその時点での拠出限度額を理解した上で資金を移し、利用するようにしましょう。
注意:
近年その知名度も格段に上がり、提供するサービス内容も拡大されているWealthsimpleですが、弊サイトの姿勢としては引き続きあくまで「コミッションフリー投資環境」としての「Self-directed investing」のサーピスに関してのみおすすめする立場を取ります。「Cash」アカウントとして提供されている通常銀行サービスの様なChequing口座商品やHISA商品群は、他金融機関の商品と比較しよく吟味した上での利用判断をするようにしましょう。

紹介ボーナス

もし上記の情報等を参考に、新たに Wealthsimple を利用してみよう! と思い立った方がいましたら、是非とも紹介ボーナス ($10) 付きの下記の紹介リンクから、アカウント作成及びアプリのダウンロードへとどうぞ。


カナダ生活: CRA / My Account

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

CRA とは

日本語では「カナダ国税庁」「カナダ歳入庁」等と訳され、カナダにおいて、タックスファイリング手続き諸々、TFSA (Tax-Free Savings Account) に関する管理諸々、RRSP (Registered Retirement Savings Plan) の拠出限度額裁定、CCB (Canada Child Benefit) の管理等々..、パーソナルファイナンスに関わる多く事項を管理/管轄しているのが、カナダ連邦政府の機関、

Canada Revenue Agency (カナダ・レベニュー・エージェンシー)
略称「CRA」(シー・アール・エー)
となります。
カナダで生活する上で、特にパーソナルファイナンスに関する事項においては、必ず何らかの形で直接あるいは間接的にお世話になっている機関です。当サイトにおいてカバーしている情報も、その多くはCRAがオフィシャルに発表/提示している情報を元としています。
そのウェブサイト上で網羅されている各種情報は、非常に整理されていて、また説明もわかりやすく、(あくまで主観ですが) アメリカの国税局 (IRS: Internal Revenue Service) や日本の国税局の姿勢と比べて、政府機関らしからぬ親しみやすさと信頼性が醸し出されています (笑
当サイトでカバーしきれていない情報、あるいは各種トピックにおいて正式な政府発表の文言や数字等を回覧したい場合などは、是非ともCRAのウェブサイトを訪れて、確認をしてください。

My Account

CRAのサイト上にて、「サービス」として提供されている機能として「My Account」というものがあります。これは、SIN (Social Insurance Number) を持つ個人各々がCRA上にアカウント (「My Account」という名のアカウント) を作成することができ、個人の情報の回覧、CRAからの通知のやり取り、あるいは支払い手続きなどをサイトを通して行えるという、いわゆるCRAのポータルサービスです。
各種発行物の受領など、郵便での手続きを好む方もいるかもしれませんが、少なくとも各種情報の迅速な回覧という一点においても、このサービスを利用しない手はありません。

「My Account」で利用できる機能 (一部)
  (個人用アカウントにおいては、正確には「My Account for Individuals」)
  • タックスリターンの進捗状況の回覧
  • 「Notice of Assessment」の回覧
  • RRSPの拠出限度額の回覧
  • TFSAの拠出限度額及び拠出履歴の回覧
  • 雇用主より発行されCRAにリポートされたT4フォーム上の数字の回覧
  • 各種金融機関より発行されCRAにリポートされたT5フォーム上の数字の回覧
  • 「Direct Deposit」用銀行口座の登録/管理
  • 住所/電話番号/家族構成情報等の登録/管理
  • Child Benefitsへの申し込み
  • 連邦/州政府からの各種支給金の詳細の回覧

アカウント作成/登録

「My Account」アカウントの作成手順の詳細を記したいところですが、細かな手順は比較的頻繁に変更/更新されるため、ここでは大まかな手続きに関する情報のみに留めておきます。 最新の情報、及び手続きの詳細については、CRAサイト上の「My Account」のメインページから参照することができます。
  • アカウントの作成の際には、「My Account」専用のユーザーIDとパスワードを新規に設定することもできますし、またはCRAが提携している各種金融機関 (Sign-In Partners) にすでにオンラインアカウントを持っている場合には、その既存のアカウントのユーザーIDとパスワードでログインできるように設定することもできます。

    Sign-In Partnersとして登録されている金融機関 (2026年1月時点)

  • アカウントの作成に必要な情報は、SIN、生年月日、住所などの一般的なものと、前年のタックスリターンに関する情報 (総所得額として申告された金額の詳細など)。
  • (Sign-In Partnersでのログインではない方法を選択した場合) オンライン上でアカウントを作成しただけの時点では、「Limited Service」(制限つきサービス) のアカウント扱いとなり、利用できるサービスも限られます。オンライン上でアカウントを作成する手順の中で、「security code」の郵送をリクエストする手順があり、数日後にそれを郵送にて受け取り、再度オンライン上でこの「security code」を入力することで、晴れて「Full Service」のアカウント扱いとなり、全てのサービスが利用できるようになります。



「Notice of Assessment」など、しっかりと手元に印刷物として保管することで管理しておきたいものもあるでしょう。しかし、やはり情報そのものの正確性、及びその回覧における利便性。あるいは、Direct Depositによるタックスリターンの受け取りなどの実質的な即効性という意味においても、やはりオンラインサービスに勝るものはありません。カナダでの生活が始まり、SINを取得した時点で、しっかりと「My Account」アカウントを即時に作成し、パーソナルファイナンスに関わる情報の把握と管理をしっかりと自ら行えるようにしましょう。


カナダでの投資: 実践編 II

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

実践編 II では、長期投資のシナリオに特化せず、またリタイアメント資金や教育資金以外を目的とした投資のケースを考察してみましょう。

TFSA (Tax-Free Savings Account)

リタイアメント資金 (RRSP)、教育資金 (RESP)、住居購入資金 (FHSA) への投資では、それぞれの制度を利用することで非課税の運用が可能でしたが、それら以外の目的の資金を投資によって運用したい場合には、TFSA (Tax-Free Savings Account) の制度を利用することで、こちらも非課税での運用が可能です。
*TFSAの制度や仕組みそのものについては次項にて詳しく説明していますので、そちらを参照してください。
TFSAには拠出限度額があるので、運用に回せる資金額はそれによって制限されます。ただし、2009年から始まったこのTFSAの制度、拠出制限額の累計は (2026年現在で) すでに$109,000。その全てを投資環境として使い切ってしまっている人はまだまだ少ないのではないでしょうか。TFSAの拠出額枠がまだ残っているのに、わざわざキャピタルゲインへの課税が発生するTFSA外の環境で投資を行う理由は一切ありません。まずはTFSA枠をしっかりと有効に利用することを心掛けましょう。

TFSAを利用した投資では、銀行や証券会社を通じてそのアカウントを開設し、それぞれが提供している投資商品を通じて投資を行うことになります。銀行であればGICや投資信託が中心に、証券会社であれば投資信託と株式が中心となります。

ポートフォリオ
単純に余剰資金の積み立て先として投資商品を選び運用するような場合では、RRSP/RESP/FHSAと同様に、長中期ゴールの投資と見立てて戦略を立てることができます。長中期投資の基本はともかく、「ゴールまでの期間がまだ長ければ長いほどリスクは高めに、ゴールに近づくほどリスクは低く」。これを踏襲しながら投資商品の選択を行う必要があります。
あるいは、数年単位のある程度近い将来をゴールとして具体的な達成目標金額を設定している場合などは、それぞれのゴールに見合った戦略を立てることが必要となるでしょう。その場合は、セオリーをあえて無視しつつ、リスクを覚悟しながらも高いリターンを望む戦略 (ハイリスク、ハイリターン) をとることもあるでしょう。

どちらの戦略をどの程度の割合で踏襲するかに関わらず、ここでも最も基本として考えられるべきことは「Diversify = リスク分散/分散投資」、これ以外にはありません。自分の年齢、ゴールまでの期間、リスクを負わずに運用されるべき投資額、リスクを負って運用しても許される投資額、各投資商品に関する自分の知識等々、さまざまな要素を鑑み、自分の環境に合ったポートフォリオを構築するよう心掛けましょう。

ドル・コスト平均法 (dollar-cost averaging)

実践編の最後に、長中期投資の戦略として一般的な、「ドル・コスト平均法」という投資手法を紹介してみましょう。
「安い時に買い、高い時に売る」というのは投資利益を得るための基本ではありますが、こと長期投資においては、「売る」という行為はあまり意識することはありません。それよりも、投資資産を増やすために投資商品を、いつ、いくら、どのように「買う」かということが大事になってきます。
例えば、投資商品の新規購入は「一年に一回だけ、その時手元にある余剰資金で一括で..」という方法をとったとしましょう。投資商品である以上、その価格は常に変動しているわけですから、その一年に一回の購入の機会の瞬間が、たまたま年間最高値の状態であることもありえるわけです。あるいは、一年に一回の購入の機会に年間最安値の状態であったのに、たまたまこの年に限っては余剰資金が少なかった..、ということもあるかもしれません。
そのような不確定要素による損得の影響をできる限り少なくするためにとる戦略が、「定額購入法」とも呼ばれるこの「ドル・コスト平均法」という手法です。
方法はいたって簡単、
同一額で短い周期で定期的に継続して購入する
これだけのことです。
つまり、「一年に一回、不定期額」での資金投入ではなく、「月に一回、定額」での資金投入をするということ。
金額を定額にすることにより、自動的に「投資商品の値段が高い時には少ない数量を、値段が安い時には多くの数量を購入」することができ、平均値の点で結果的に長期的には有利になるという考え方です。
相場の動きにより、その優位性の度合いには賛否はあるものの、長期投資における基本的な戦略の一つとして知られる手法です。ほぼ積み立て預金のような意識で家計の予算に組み込みながら、投資資金を確実に増やすことができるという意味で、とても有効な手法あることには間違いありません。


カナダでの投資: 実践編 I

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

実践編へと進んでみましょう。
前項で述べた通り、投資の目的が決まっている場合は、その目的にあった「箱 (制度)」を利用するのがベストの選択となります。
ここで忘れてはいけないのは、投資によって収益を得た場合 (投資商品がただ値上がりしている状態、いわゆる「含み益」の状態ではなく、実際に値が上がった時点で投資商品を売却して利益「=キャピタルゲイン」が発生した場合) は、その収益は収入扱いとなり、タックスファイリング時にはその50%の額が課税対象として扱われ、相応の所得税を払わなくてはいけないという事実です。
だからこそ、非課税で運用できる以下の制度を最大限利用して投資資産を増やすことが、最も有益な方法となります。
  • 老後/リタイア後の生活のための資金形成には RRSP
  • 子供の教育のための資金形成には RESP
  • 住居購入のための資金形成には FHSA
  • その他の資金形成には TFSA

RRSP、RESP、FHSA

それぞれの制度の詳細やシステムについては各々の個別の頁 (RRSPRESPFHSA) に任せるとして、ここではまずRRSPとRESPとFHSAにおける投資商品の選択と戦略についてまとめてみたいと思います。

RRSP、RESP、FHSAは、ともに長期の運用を前提とした投資環境です。RRSPなら40年間以上、RESPなら18年間、FHSAなら5年から15年程を目安として拠出 (投資商品の購入) をし続け、RRSPならリタイアメント時 (65歳時あるいはそれよりも早い時点)、RESPなら子供が18歳になる時点、FHSAなら住居の頭金が貯まった時点をゴールとして、運用を管理する必要があります。通常は、いわゆるRRSP/RESP/FHSA Providerとなる銀行をはじめとする金融機関を通して管理をするわけですから、投資先はそれぞれの金融機関が提供する投資商品ということになり、ほとんどの場合は投資信託 (Mutual Fund) が最も一般的な選択肢となります。

ポートフォリオ

投資における「ポートフォリオ」とは、保有している投資商品や投資資産の「組み合わせ」のことを指します。自身の環境やゴールを鑑み、リスク分散を考慮しながらも目標を達成できるような「効率的な組み合わせ」を模索しながらポートフォリオを構築します。 長期ターゲットの運用では、

「ゴールまで時間がある場合はより積極的にリスクの高い投資商品を、
ゴールに近づくにつれてより保守的なリスクの低い投資商品にシフトしていく」

というのが一般的な戦略になります。10年以上のスパンでの運用では、例えば早い時期にリスクの高い投資で失敗をしたとしても、まだ十分に取り返すだけの収入/拠出と時間がある、という考え方です。この考えを踏襲した上で、下記にあげるようなMutual Fundのカテゴリの中から自分にあったファンドを選び、また必要に応じてバランスを調整しながら運用をしていくことになります。
マネーマーケット (Money Market) ファンド
財務証券や預金証書、通貨立てなどで構成されていて、想定される利回りも極端に低い代わりに、元本割れリスクも極端に低い。ファンドのカテゴリーにおいては、最も安全性の高い類のファンド。

フィックスドインカム (Fixed Income) ファンド
固定金利ベースの国債などをベースに構成されていて、一定の利率で上がり続けることが想定されるファンド。元本割れリスクも低く、こちらもファンドのカテゴリーにおいては、安全性の高い類のファンド。

バランスド (Balanced) ファンド
国債、通貨立て、国内株式、海外株式等々、複数の対象で構成されていて、それぞれの割合が常に一定に保たれるように更新されながら運営されるファンド。リスクは高くなりつつも、一つの要素の影響を最小限に抑えるためにリスク分散がされている。安全性は「中」程度のファンド。

ターゲットイヤー (Target Year) ファンド
バランスド (Balanced) ファンドをベースにしながら、ターゲットとなる未来のある時点 (年) に近づくにつれて、よりリスクの低い対象を増やしながら構成していくファンド。
例えば「Target 2030 Fund」と銘打たれたファンドでは、2010年代には株式が中心のリスクの高めの構成で運用され、2020年代にはその割合がよりリスクの低い国債などに移行され、ターゲットの2030年の時点においては99%通貨建ての構成になる。主にRRSPやRESP用のファンドとして推奨されていて、「Target Retirement 2030 Fund」や「Target Education 2030 Fund」等、わかりやすく名付けられている。安全性は、「中」程度で始まり、ターゲット年に向けて段階的に低くなる。

アメリカ / カナダ (US / Canada) ファンド
大局的にはほぼ連動して動くとは言え、アメリカとカナダはあくまで別の市場。そのニーズに対応して、カナダ市場の株価などに特化して構成されたファンド、アメリカ市場の株価に特化して構成されたファンドが、別々のカテゴリーのファンドとして提供されているのが通常。

インターナショナル (International) ファンド
欧州市場の要素で構成されるファンド、アジア市場の要素で構成されるファンド、日本市場の要素で構成されるファンド等々、市場地域をベースに構成されるのがこの類のファンド。単純に、カナダ/アメリカから見て外部市場であるという理由において、最もリスクが高く安全性の低い類のファンドとして認識される。
RRSP、RESP、FHSAの元来の目的である、「未来のある時点へ向けての貯蓄/資産運用」という点を鑑みると、一般的には、ターゲットイヤーファンドを中心にポートフォリオを構築するのが最も安全かつ無難であると考えられます。ただし、全ての資金をターゲットイヤーファンドのみに投入するのは賢明とは言えません。ここでも、さらにもう一段階「リスク分散/分散投資」の基本を踏襲することが大切です。
例えば...
  • フィックスドインカムファンドとターゲットイヤーファンドにそれぞれ30%投入しつつ、リスクを覚悟でカナダとアメリカの株式中心のファンドにそれぞれ20%づつ投入する
あるいは、
  • 中国市場、またはその他の途上国に関わる要素を鑑みて、アジア市場の成長が期待できるので、向こう5年間はアジア株中心のファンドをより多く組み込んでみる
等々。
すでに個々で分散投資がされているそれぞれのファンドを、さらに「複数」バランスよく選択することで、更なる分散投資が可能となるわけです。


カナダでの投資: 基礎知識

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

投資に関する基礎知識として、まずは投資商品の種類、とくに比較的簡単に手の届く類のものをまとめてみましょう。
  • 株式
    投資商品と聞いてまずはじめに思い浮かぶのは、おそらく株、いわゆる株式ではないでしょうか。英語では「share」あるいは「stock」、また文脈によっては「equity」とも呼ばれます。
    「share」という言葉からもわかるとおり、ある株式会社/企業の株式を購入するということは、その会社の一部を所有することを意味します。一般的に、会社の業績が良ければ (または、良くなることが見込まれれば) 株価は上がり、業績が悪ければ (または、悪くなることが見込まれれば) 株価は下がります。ある時点で株式を購入し、株価が値上がりした時点で売却すれば利益に、値下がりした時点で売却すれば損益となります。
    通常は証券会社、あるいは銀行の投資専門サービス担当が窓口 (brokerage) となり、購入/売却などの手続きを行うことができます。カナダ6大銀行はそれぞれ投資専門窓口を持っていますし、専門会社としてはQuestradeQtradeなどがメジャーです。

    個人で株式投資を行う場合は、当然どの会社の株をいつどれだけ買うか、いつどれだけ売るかというのは個人の裁量でコントロールします。日中マーケットがオープンしている間は常に変動する株価に対して、株価が下がった時点で売ってしまえば当然損益となり、投資した元金が減ることも大いにありえます。株式投資で利益を上げるためには、株式を購入する会社/企業の四半期毎の業績報告や業界の動向に関するニュース記事をこまめにチェックするなど、ある程度以上のコミットメントが必要となります。

    投資信託
    英語では「Mutual Fund (ミューチュアルファンド)」と呼ばれるのが投資信託です。
    個人で株式投資を行う場合は、例えば一人で20社や30社もの株式を購入し管理するのは大変な手間です。Mutual Fundでは、Brokerage内のファンドマネージャーと呼ばれる担当者が、自ら選定した株式をはじめとする複数の投資対象をまとめ、パッケージ (ファンド) として管理/運営します。パッケージに含まれる投資対象の値が上がればそのファンドの値段は上がり、下がればファンドの値段は下がります。
    株式等と同様に、証券会社あるいは銀行が窓口となってファンドを購入/売却することができ、当然購入した時点より値上がりした時点で売却すれば収益に、値下がりした時点で売却すれば損益となります。株式と違い、Mutual Fundは通常その日のマーケットが終了した時点でファンドの価格が決まります。

    ETF (上場投資信託)
    大雑把に「株式と投資信託の間に位置するのもの」と位置づけされるのが、「Exchange Traded Fund (上場投資信託) = ETF (イー・ティー・エフ)」と呼ばれる投資商品です。
    ETF は、通常の投資信託と同様に複数の投資商品がまとめられたパッケージ (ファンド) ですが、通常の投資信託と違い、マーケットがオープンしている間にその値が変動しマーケットがオープンしている間に売買取引が行えます。
    株式や投資信託と同様に、証券会社あるいは銀行が窓口となってファンドを購入/売却することができ、当然購入した時点より値上がりした時点で売却すれば収益に、値下がりした時点で売却すれば損益となります。

    GIC
    GIC (定期預金) を投資商品と位置づけることに賛否はあるかもしれませんが、前述の通り、「Guaranteed Investment Certificates」の略であるGICは、少なくともカナダのパーソナルファイナンス事情においては、投資商品のひとつとして扱われています。最近では、いわゆる単純な利率固定型ではなく、マーケット指標に連動して毎年利率が変動する (ただしマイナスにはならない) 形のGICなども登場し、より投資商品としての側面が押し出されています。
    投資商品として見た場合、株式や投資信託との最も大きな違いは「元本保証」であるという点です。GICの場合は、投資した資金 (元本) が、その最初の値より下がることは絶対にありません。したがって、大きなリターンを望むことができない代わりに、確実に資金を増やすことができる投資先として利用することができます。

Diversify (=分散投資) の重要性

投資に回せるある程度の資金があったとして、例えばその全額をひとつの会社の株式購入に当てたとしたらどうでしょう。ひとたびその会社の業績が悪くなれば、あなたの投資資産は限りなくゼロ近くになることさえありえるわけで、非常にリスクの高い状態にあります。
では二つの会社ではどうでしょう。例えば半分をApple社の株式、もう半分をAmazon社の株式の購入に当てたとします。いいえ、これでも十分なリスク回避とはなりません。ITバブル崩壊のような事態となれば、同業界の両社の株価は同様に下がってしまい、あなたの投資資産は確実に減ってしまいます。
では別業界の企業の株式を組み込むのはどうでしょう。製薬業界大手のPfizer社の株式と、飲料水大手のCoca-Cola社の株式も併せて保有してみました。いいえ、これでもまだ不十分です。アメリカ全土を巻き込むリーマンショックのような不況となった場合には、総じて株価が下がってしまうことでしょう。
では例えばその時、比較的影響の少ない、あるいはアメリカの市場とは直接連動しない中国の会社の株式を保有していたとしたらどうでしょう。または、そもそも投資資金の半分はGICで運用していたとしたらどうでしょう。あなたの投資資産は、複数の要因に依存していることになり、単体の要因による大幅な乱高下を避けることができるのです。
これがリスク分散/分散投資、つまり「Diversify」という考え方です。

そして、この分散投資をある程度のレベルまで自動的に行えるのが、Mutual Fundによる投資ということになります。
上記の通り、Mutual Fundはファンドマネージャーが管理するパーケージ (ファンド) として用意されます。ひとつのファンドの中には、複数の会社の株式、国債、現金、あるいは別の会社の運営するファンド等々、様々な投資対象が含まれ、そのファンド内ですでに分散投資が行われています。ファンドにも種類があり、例えばカナダのマーケット指標に連動するようにデザインされたファンド、アメリカの中小企業の株式を中心としたファンド、ヨーロッパの景気の影響を受けるようにデザインされたファンド...などなど、ひとつのBrokerage内で数十を超えるファンドが用意されていて、これらをさらに複数種類購入することで、さらにもう一段階分散投資ができるということになるわけです。

「投資」と「投機」の違い

投資の種類の考察において、もうひとつの重要なポイントに「『投資』と『投機』の違い」というものがあります。
投資の中でも、短期投資でギャンブル性の高いものが「投機」、といったような説明がされることもしばしばありますが正確ではありません。正確にはその名の示すとおり「『資本』に投資するのが『投資』」、「『機会』に投資するのが『投機』」と理解されるべきです。長期的な企業の展望を見越し、その資本の成長を期待して資金を投じるのが「投資」。相場の変動のみを軸に差益を得ようとして資金を投じるのが「投機」(結果的に「短期投資でギャンブル性の高いもの」となる)。
長期的な資産形成と家計のやりくりを目的とするパーソナルファイナンスにおいては、「投機」は避けるべきアプローチとして理解されるべきです。


カナダでの投資: はじめに

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

「投資」と聞くと、すぐに株やFX、あるいは不動産などを連想し、自分には関係のない世界のハナシ、あるいはリスクが高くギャンブルのようなものと考えて、敬遠してしてしまう人も多いでしょう。しかし、特に未来に向けての資産形成という観点でパーソナルファイナンスを考えた場合、自身の資産の中にいわゆる「投資商品」を組み込むことは、極めて一般的かつ合理的な判断です。
ここではまず、「投資とは何か?」(What)、「なぜ投資をするべきか?」(Why)、「どう投資をするべきか?」(How) という観点から、要点をまとめてみましょう。

投資とは何か?

「投資」という言葉を辞書で引くと
  • 利益を得る目的で事業・不動産・証券などに資金を投下すること。
  • 比喩的に、将来の利益のために金銭を投入すること。
などといった説明があります。
「事業・不動産・証券...」と聞いた時点ですでに尻込みしてしまうかもしれませんが、もう少し単純に言葉の意味だけを捉えてみましょう。
目の前に$10,000の資金があったとします。この資金をただ持っていただけでは永遠に$10,000のまま。代わりに、この資金を「将来価値が上がると予想されるもの」に費やし、未来のある時点で、結果的に$10,000以上の価値にすることが目的。これだけの単純な定義です。
金利がほぼゼロなことが普通になってしまっている日本の銀行の定期預金を鑑みると想像しづらいかもしれませんが、1%~5%の金利で推移しているカナダの定期預金 (GIC) も、立派な投資商品です (実際、「GIC」の「I」は「Investment=投資」の「I」で、投資商品の筆頭としてリストされていることが一般的です)。
  • $10,000の資金を10年満期の定期預金に投下し、10年後確実に$13,000にする
  • $10,000の資金を投資信託購入に投下し、10年後$25,000にすることを期待する
両者の間には「リスク」の程度の違いがあるだけで、定義上はどちらも「投資」行動であることには変わりはありません。

なぜ投資をするべきか?

もちろん資産をより多く増やすことを目的とし、リスク管理をしながらもより高いリターンを求めることも重要ではあります。しかし、ことパーソナルファイナンスというレベルで考えるのであれば、もう一歩下がって、より基本に立ち返った見方からの「なぜ」をまず考慮する必要があります。
前節に「$10,000の資金をただ持っていただけでは永遠に$10,000のまま...」とありますが、厳密に言うのであればこれは正しくありません。消費者物価指数などを指標にするいわゆるインフレ率。カナダにおいても、日本や他の先進国同様毎年2%程度を目標としています。つまり、全てのモノの値段は一年につき2%程度上がることが想定されているわけです。そしてそれは同時に毎年「貨幣の価値が下がる」こと、つまり「同じ貨幣で買える物が少なくなる」ことを意味します。
例えば2020年に$12で食べることができた日本食レストランのラーメン。同じ$12を10年間手に握り続けていたとしたら、2030年にはそのラーメンは食べられません。なぜならその時点でその全く同じラーメンはおそらく$15に値上がりしてしまっているからです。いや、ラーメンだけでなく、同じく2020年に$12だったものは総じて2030年には$15程度になっていることでしょう。つまり、今現在の$12は10年後には$12分の価値が無いわけです。
この「インフレ率に追いつくため」という一点において、あなたの資産は「最低でも年率2%を目標に増やされるべきである」と言えるわけです。そしてそのためには、実質的に投資と言う選択が不可欠となります。

どう投資をするべきか?

カナダにおいては、制度として投資をしやすい環境が非常に整っているといえるでしょう。
目的にあった投資環境の形成という意味において
  • 老後/リタイア後の生活のための資金形成には RRSP
  • 子供の教育のための資金形成には RESP
  • 住居購入のための資金形成には FHSA
  • その他の資金形成には TFSA
といった箱がまずしっかりと用意されています。そして、それぞれにおいて主に投資信託やGIC、あるいは株式への資金投入が容易にできる環境が整っています。
上記4つの「箱」(または「制度」) は、全て運用益が非課税となるという大きなメリットがあり、「Registered Account」と呼ばれる種類のアカウントとなります。まずはこれらの制度を有効に使わない手はありません。各種アカウントをすでに保有しているのであれば、その中で利用できる投資商品を吟味してみましょう。


カナダでの投資: TFSA: Tax-Free Savings Account

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

TFSA (Tax-Free Savings Account) とは、個人の貯蓄を促す目的でカナダ政府が2009年より始めた、課税の免除を柱とした貯蓄支援制度です。18歳以上でSINを有するカナダ在住の全ての人に利用資格があり、一年間につき一定額 (下記参照) の資金を入金 (拠出)することができ、その資金を利用して発生した運用利益に対しての課税を免除する、という制度です。


拠出限度額
2009年$5,0002015年*$10,0002021年$6,000
2010年$5,0002016年$5,5002022年$6,000
2011年$5,0002017年$5,5002023年$6,500
2012年$5,0002018年$5,5002024年$7,000
2013年$5,5002019年$6,0002025年$7,000
2014年$5,5002020年$6,0002026年$7,000
(年毎にインフレ率に応じて調整)
*2015年4月に提出された「Economic Action Plan 2015」により、
2015年の拠出限度額は、前年比ほぼ倍増の$10,000となりました。が、2016年は再度$5,500へと戻されることが決まり、以降も$5,500近辺からのインフレ調整がなされています。


パーソナルファイナンシングにおいて、税金及び節税を意識し、より戦略的に資産を管理する上で、この制度を利用しない手はありません。制度をしっかり理解し賢く資産運用をしましょう。

運用利益を非課税に

通常のSavings AccountやGICにつく利息、株や投資信託 (Mutual Fund) 運用による利益 (Capital Gain)、これらの利益は当然タックスファイリング時には全て収入として申告される必要があり、全て課税対象となります。しかしこれらの運用を「TFSA内で行う」ことによって、そこで得られた利益分を全て非課税とする (=申告しなくてよい収入扱いとする) ことができます。

では「TFSA内で行う」とはどういうことなのでしょう。
「TFSA」の「SA」は「Savings Account」を指しますが、これは便宜上そう名付けられただけで、いわゆる銀行口座の種類としてのSavings Accountとは別のものと考える必要があります。
「TFSA」という、資金をプールできる箱があり、この箱には一年ごとに決められた額の資金を収める(=拠出する)ことができ、この箱の中にある資金をどのように使って運用してもよく、その運用によって得られた利益は非課税になる。
この点をしっかり理解することが、TFSAをより良く理解するカギとなります。
つまりTFSAとしてプールされた資金を、各金融機関が商品として提供する Tax-Free GIC、Tax-Free Mutual Funds、(商品の一つとしての) Tax-Free Savings Account 等を利用して運用することができるということになります。また、証券会社等が提供する Tax-Free 投資口座内で、株式やETFで運用することも可能です。

基本ルール
  • 年間拠出額 (contribution) 制限 -- 例えば2026年なら$7,000 -- を超えて拠出することはできない。
  • 年間の拠出額に満たなかった分は、翌年以降に繰り越しされる。
    例: 2025年 (限度額は$7,000) に$4,000だけを拠出したとする。使われなかった$3,000分は翌年に繰り越しされ、2026年 (限度額は$7,000) の拠出限度額が$7,000+$3,000で$10,000となる。
  • TFSAからの引き出し (withdrawal) はいつでも可能。引き出した分は翌年の拠出限度額に加算される。
    例: 2025年 (限度額は$7,000) にいったん限度額いっぱいの$7,000まで拠出したが、同2025年内に$1,000引き出した。この場合2025年の拠出限度額は変わらず、翌年2026年 (限度額は$7,000) の拠出限度額が$7,000+$1,000で$8,000となる。
注意
  • 年間拠出額の計算は自分で行わなければなりません。CRAは年毎の合計拠出額は記録していますが、拠出の度に合計額をチェックして自動的に制限を超えないよう通知するようなシステムは一切ありません。全て自己管理で拠出額等を管理記録する必要があります。
  • 年間制限額を超えて拠出してしまった場合は、その金額と期間によってペナルティーが科されます。
  • 繰り返しますが、TFSAから引き出しを行った場合でも、その年の拠出額はそのまま変わらず、翌年の拠出限度額に、引き出した分の額が加算されます。
  • TFSAは、どんな場合においても個人名義で管理されます。配偶者間での共同TFSAアカウントや限度額の共有といったコンセプトは一切ありません。銀行口座そのものが共同名義のジョイントアカウントだったとしても、TFSAは個人名義で開設/管理される必要があります。
注意
BC州、NB州、NL州、NS州、NT準州、NU準州、YT準州では、各州個別の「legal age」の定義に関する法律により、TFSA口座を開設できる年齢が18歳ではなく19歳となっています。ただし、18歳時点から発生する拠出限度額のカウントそのものは変わりません。つまり、18歳の時点では口座を開設できないので18歳の年の分の拠出はできないですが、19歳となって口座を開設した時点で、18歳の年の分を含めた2年分の拠出限度額を持っているという扱いとなります。

TFSAの運用先

銀行をはじめとする金融機関は、TFSAの運用先となる各種商品/口座を扱っています。前述の通り、Tax-Free GIC や Tax-Free Mutual Fund、または (商品の一つとしての) Tax-Free Savings Account がそれにあたります。手始めに、Chequing Accountで日々やりとりをしている馴染みの銀行が扱っているTax-Free商品/口座を吟味してみるのもいいかもしれません。

TFSAの運用先は、一つの金融機関の一つの金融商品に限定する必要はありません。複数の金融機関にまたがってでも、一つの金融機関内の複数の商品でも、いくらでも利用することができます。ただし、一年の拠出限度額はあくまで一定。二つのTax-Free商品を利用したからといって、限度額が倍になるようなことはありません。それぞれの商品/口座にいくら拠出したか、しっかりと管理記録して、合計拠出額が制限額を超えないようにしなければいけません。

ちなみに、ひとつのTFSA運用先から別のTFSA運用先に直接資金を動かす場合、これは「引き出し」>>「拠出」という扱いにはなりません。前述した「「TFSA」という、資金をプールできる箱..」という考え方を踏襲してください。ここでは、資金は既に「TFSA」という箱に入っているわけですから、あくまでその中で運用先をやりくりしているだけで、ここで動かす資金が拠出元本分であろうが運用益分であろうが、拠出額制限には全く影響はありません。
すでに「TFSA」という箱に入っている資金を、TFSA外に引き出した場合にのみ「引き出し」と認識され、TFSA外にある資金を「TFSA」という箱に入れる場合にのみ「拠出」として認識され、それぞれ拠出合計額に影響を与えます。

特に希望が無い場合は、Tax-Free Mutual Fundの様に元本保証のない商品や、Tax-Free GICの様に一定期間引き出しが出来ない類 (non-redeemableの場合) の商品を考える前に、まずは手軽に始められる (商品の一つとしての) Tax-Free Savings Account口座を一つ開設してみることをお勧めします。そこでまずTFSAの仕組みや手順を実践的に理解しましょう。その手順をしっかりと踏んだ後に、積極的に他の投資商品を吟味してみるというのが良いでしょう。
重要
前述の通り、「..TFSA内で行う投資行為においては、そこで得られた利益分は全て非課税」というのが根本のルールですが、一点注意することがあります。それは、

TFSA内とは言え、デイトレーディング (またはデイトレーディングとみなされる程度に極端に頻度の高い売買行為) を行った場合は、CRAにより『ビジネス行為』とみなされることがあり、その場合はキャピタルゲインに対し所得税の徴収が行われることがある

という点。

「デイトレーディング」そのものの定義に関して議論の余地はあるものの、基準はあくまでCRA側の判断で、「(個別株式銘柄等を) 保持していた期間」「売買の頻度」「売買の量/金額」「売買行為に費やされた時間量」「長期保持/短期売却の意図」等のファクターを元に、監査の結果「ビジネス行為」とみなされた場合は、本来のTFSAの目的を逸脱した行為と判断され、所得税の徴収が行われる可能性があります。

近年、ウェブ/アプリ環境の利便性は益々上がり、株式やETF投資への参入や、それらの売買行為を行うことに関するハードルは益々低くなっています。伴って、自覚のないままに (CRAの定義によるところの) 「高頻度の売却行為を短期間において実行」してしまった結果、CRAからの監査が入ってしまった...ということも起こりえます。政府としてのTFSAの元来の目的は、個人の貯蓄を促すこと。この点をしっかりと理解した上で、「TFSAでデイトレはダメ」というルールを必ず守るようにしましょう。

TFSAの考え方

通常のSavings Accountの利息は課税対象になります。だとしたら、ある程度のまとまった資金がある場合、通常のSavings Account口座よりも先にTFSAのSavings Accountに入金すべきでしょうか。答えはもちろんYesです。年間の拠出額にまだ空きがあるにも関わらず、資金をTax-Freeではない口座で運用するということは、課税対象資金を不必要に増やし税額を不必要に上げていると考えることができます。まずは拠出限度額までしっかりTax-Freeの口座に資金を拠出し、それ以上の余剰資金を、Tax-Freeではない口座でやりくりするようにしましょう。


カナダの銀行: Tangerine のすすめ

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

いわゆる余剰資金貯金のためのセービングアカウントの開設、または TFSA 口座の開設において、管理人自身も利用し、(一切の個人的しがらみやコネクション等全く無しで(笑)) 強くお勧めできる金融機関のひとつに、Tangerine が挙げられます。


一般の大手銀行 (できればカナダ6大銀行の内のひとつ) に既にチェッキングアカウント等を所持していることを前提に、そこからの定期的な自動引き落としという方法で別口座で資金形成を行う際、積み立て貯金に特化したオンライン口座を持つことは、とても有効な方法であると言えるでしょう。
そんな中でも、
  • 金融機関の信用度
  • 利息の高さ
  • 別口座からの資金移動 (transfer) の手軽さ
  • オンラインバンキングの操作性
  • 各種キャンペーンの充実
...等々のファクターを鑑み、管理人自身が責任を持ってお勧めできるのが Tangerine です。
金融機関の信用度
もともとはオランダの大手金融機関「INGグループ」が運営する「ING Direct Canada」として1997年に始まったこのオンライン銀行業務サービスは、2012年からはカナダ6大銀行のひとつ、Scotiabank の傘下となり、2014年より正式に「Tangerine」ブランドとして運営されています。各種大手金融機関同様、当然 CDIC (Canada Deposit Insurance Corporation -- アメリカでの「FDIC」に相当するもの) に加盟しており、信用のおける金融機関のひとつとして認識されています。

利息の高さ
店舗業務を持たないオンライン銀行の特徴のひとつとして、その利息の高さが挙げられます。近年は一般銀行のがんばりもありその差は縮まっているとも言えますが、平均的にはまだまだオンライン銀行口座の方が一般銀行の1.2~1.5倍程の利息を実現していると言えます。Tangerine も、比較的高い利率を常にキープしているオンライン銀行のひとつです。>> Tangerine - Rates (利息一覧) ページ

別口座からの資金移動 (transfer) の手軽さ
当然のことながら transfer は無料であり、またスケジュールを決めての自動振込みなどの機能も充実しています。

オンラインバンキングの操作性
店舗業務を持たないオンライン銀行では、そのインターフェイスおよび操作性は、必然的によりシンプルかつ洗練されたものになります。Tangerine もその例に漏れず、単純かつ明快な操作性は、非常に好感が持てます。

各種キャンペーンの充実
個人的には、この各種キャンペーンの充実度が、Tangerine 最大の魅力と感じています。期間限定でしばしば行われる、新規入金分への利息2倍キャンペーンに始まり、新規口座開設などに伴って常に何らかのキャンペーンが行われているといっても過言ではありません。

ひとこと

(管理人個人の見解と断った上で...)
近年、その規模が大きくなるにつれてサービスの範囲も広がり、チェッキングアカウントやクレジットカードのサービスも充実してきている Tangerine ですが、管理人個人としてはあくまで余剰資金貯金のための貯蓄口座のみ (セービングアカウントと TFSA) の利用という形をとっています。つまり、チェッキングアカウントを通じての生活資金の引き出しやクレジットカードによる買い物等といった利用は、現在及び将来的においても想定しておらず、それらの商品にも手を延ばす予定はありません。メインの一般銀行からの週に一回の自動引き落としにより、予算から引き離し、自動的に貯蓄を育て続ける運用先として利用することにしています。

紹介ボーナス

上記に示したように、各種キャンペーンが充実している Tangerine。常時行われている「紹介者 (referral) キャンペーン」を通じて、新規アカウント開設時に紹介者コードを入力することで、$50 がもらえます。もし上記の情報等を参考に、新たに Tangerine を利用してみよう! と思い立った方がいましたら、是非とも下記の「紹介者コード/referral code = Orange Key」を遠慮なく利用してください。

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カナダでの投資: TFSA: ペナルティ

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

TFSAのルールをしっかりと理解していたつもりでも、思わぬ勘違いから超過拠出をしてしまい、突然ペナルティ勧告の手紙を受け取ってしまうこともあるでしょう。 ここでは、ペナルティの仕組み及びその原因を理解するための情報、対処法等をまとめてみましょう。

TFSAのペナルティの定義/計算方法は以下の通りです:
ある時点で限度額を超える拠出があったとして、ひと月を一単位として、その月内での最大超過拠出分の1%の額が、その月へのペナルティとなる
例がないと少しわかりにくい説明ですが、ここでまずしっかり理解しておくべきなのは、ペナルティの金額が、超過拠出額とその保持期間をもとに計算されるという点です。
限度額を超えて拠出された金額が多ければ多いほど、またそれを即時に引き出さずにTFSA内に保持した期間が長ければ長いほど、ペナルティの額は多くなります。
つまり、正しい拠出限度額があり本来はその制限の中で運用しなければいけないにもかかわらず、「不正に限度額を超えて拠出し、運用できる機会を不正に作り出し、またその状態を保持し続け、本来得られるべきではない運用益を不当に得た」であろうことに対するペナルティが発生する、という考え方です。もちろん実際にそのような意図があったか否かにかかわらず、ペナルティは発生します。

少し長くなりますが、CRAのサイト内で実際のペナルティ例として挙げられているケースをもとに、ペナルティの発生パターンや計算法を見てみましょう。
== 例1 ==
ロザンナさんは31歳のカナダ在住の女性。
  • 2009年の2月6日にTFSA口座を開設し、それ以来2009年から2019年まで、それぞれ各年の設定限度額いっぱいまでTFSAに拠出
  • 2020年2月、$4,500を拠出
  • 同年10月、予想外のボーナス収入$4,100を得た彼女は、限度額のことはすっかり忘れて、その$4,100をそのまま10月30日付けでTFSAに拠出してしまいました
  • そしてそのまま気づかずに2020年が終了...
ペナルティ
2020年まで引き出しや繰り越し等も一切なかったテレサさんの2020年の限度額は、設定限度額ままの$6,000。しかし、2020年の10月30日の時点で、拠出合計額が $8,600 ($4,500 + $4,100) となってしまい、その時点から$2,600 ($8,600 - $6,000) の拠出超過となってしまいました。したがって、$2,600 x 1% = $26 で、ひと月につき$26のペナルティ。すぐに気づいて引き出せばよかったのですが、彼女の場合はそのまま気づかずに2020年が終了。つまり、10月も含め11月、12月と拠出超過状態が続いたことにより、$26 x 3ヶ月 = $78 が、2020年分のペナルティとなって請求されることになってしまいました (もしすぐに気づいて10月31日の時点で$2,600を引き出せば、10月分だけの$26だけで済んでいました)。
上記の例は、単純に年間の拠出合計を忘れていたがために起こったパターン。年間の拠出額合計をしっかり自己記録していれば、容易に避けられていたケースです。

例2では、さらに引き出し (withdrawal) が加わったケースを見てみましょう。
== 例2 ==
ジャマールさんはカナダ在住の43歳の男性。
  • 2009年にTFSA口座を開設し、それ以来2009年から2018年まで、それぞれ各年の設定限度額いっぱいまでTFSAに拠出していて、2018年終了の時点での合計拠出額は$57,500
  • 2019年は以下の手続きを実行
    • 1月6日に$5,000の拠出
    • 3月10日に$1,000の拠出
    • 6月3日に$2,700の拠出
    • 10月2日に$800の引き出し
ペナルティ
ジャマールさんの2019年の限度額は、設定限度額ままの$6,000。3月の拠出までは問題はなかったものの、6月の$2,700の拠出によって、拠出合計が $8,700 ($5,000 + $1,000 + $2,700) となり、$2,700 ($8,700 - $6,000) の拠出超過が発生。6月の時点から、ひと月につき $2,700 x 1% = $27 のペナルティが発生します。ただし、10月に行った引き出しにより、超過拠出分が$1,900 ($2,700 - $800) に減り、ひと月毎のペナルティも$19 ($1,900 x 1%) になります。 したがって、2019年のペナルティは、
  • 1月から5月までは$0
  • 6月から10月までが$27 x 5ヶ月 = $135
  • 11月から12月までが$19 x 2ヶ月 = $38
で、合計$173となります。
(10月中に引き出しを行ったとしても、ペナルティはその月内に起きた最高拠出超過額を元に計算されるので、10月分のペナルティはあくまで$27のまま)

ちなみに、この状態から、ジャマールさん2020年の拠出限度額はどうなるのでしょうか。
  • 2019年の設定拠出限度額は$6,000
  • 2019年は$8,700の拠出がなされたので、2020年への繰り越し額は -(マイナス) $2,700 ($6,000 - $8,700)
  • 2019年に$800の引き出しがあったので、この分の繰り越しが$800
  • 2020年分の設定拠出限度額は$6,000
したがって、-$2,700 + $800 + $6,000 = $4,100 が、ジャマールさん2020年の拠出限度額となります。
例1と例2では、年が明けるとともに新たな年の設定限度額が加わることで超過分が相殺され、新年1月以降のペナルティは発生しなくなります。ただし、以下の例3のように、複数年にわたってペナルティが発生し続けるパターンもあります。
== 例3 ==
フランシンさんは39歳のカナダ在住の女性。
  • 2009年にTFSA口座を開設し、それ以来2009年から2017年まで、それぞれ各年の設定限度額いっぱいまでTFSAに拠出
  • 2018年1月、(その年の設定限度額である)$5,500を拠出。同年6月18日、予想外のボーナス収入$7,500を得た彼女は、年間毎の限度額のことはすっかり忘れて、その全額をそのまま6月25日付けでTFSAに拠出してしまいました
  • 「年間毎の限度額」というコンセプトを勘違いしたままのフランシンさん、多額の一括拠出の達成感からか、その後2018年と2019年丸まるTFSAのことはしばらく忘れていました...
ペナルティ
  • 2018年
  • 1月に$5,500を拠出した後、6月に$7,500を拠出した時点で、2018年の設定拠出限度額$5,500を差し引いた$7,500 ($5,500 + 7,500 - $5,500) が超過拠出となり、毎月$75 ($7,500 x 1%)、6月から12月までの7ヶ月間で合計$525のペナルティとなります。
  • 2019年
  • 2019年への繰り越し額が -(マイナス) $7,500。これは2019年1月時点で加わる2019年分の設定拠出限度額$6,000でも相殺しきれないため、2019年1月時点でもまだ$1,500 (-$7,500 + $6,000) の超過拠出状態となり、毎月$15 ($1,500 × 1%) のペナルティが発生します。フランシンさんは2019年も一切引き出しをすることはなかったので、丸一年12ヶ月分、$180 ($15 × 12ヶ月) のペナルティが発生し続けることとなりました。
  • 2020年
  • 2020年への繰り越し額が -(マイナス) $1,500。これは2020年1月時点で加わる2020年分の設定拠出限度額$6,000で晴れて相殺され、やっとペナルティがなくなります。フランシンさんの2020年の拠出限度額は-$1,500 + $6,000 = $4,500 となります。

いずれにしても以上三つの例は、基本的に年間の「拠出額」分をしっかり記録管理していれば避けられる類の例です。しかし、ペナルティー発生原因でむしろ最もよくあるのは、「引き出し額」分の計算を間違ったために起こるパターンです。
既に繰り返し述べている、
TFSAから引き出し (withdrawal) を行った場合、その年の拠出限度額はそのまま変わらず、翌年の拠出限度額に、引き出した分の額が加算される
というルールを十分に理解していなかったために、過剰拠出をしてしまった例を見てみましょう。
== 例4 ==
田中さんは30歳のカナダ在住の女性。
  • 2009年にTFSA口座を開設し、それ以来2009年から2019年まで、各年1月になると同時に設定限度額いっぱいまでTFSAに拠出
  • 2020年1月、例年通り2020年の設定限度額である$6,000を拠出
  • 2020年3月、車購入の頭金としてTFSAから資金を調達することを決め、$5,000をTFSA口座から引き出し
  • 同年6月、ボーナス収入が$7,000ほど入ったため、そこからの一部をTFSAに拠出しようと考えました。3月に$5,000を引き出したので、その分拠出限度額に空きができているはずだと考え、ボーナス収入の内の$5,000をTFSAに拠出してしまいました
  • 2021年1月、例年通り2021年の設定限度額である$6,000を拠出
ペナルティ
  • 2020年1月に$6,000を拠出した時点で、2020年の拠出はすでに限度額に達しています。3月に$5,000を引き出ししましたが、この引き出し分が限度額に追加されるのは翌年2021年分。2020年内にいくら引き出しを行ったとしても、2020年の限度額には一切影響を与えません。したがって、6月に$5,000を拠出した時点で、2020年の拠出合計が$11,000 ($6,000 + $5,000) となり、そのまま$5,000の超過拠出。$5,000 x 1% = $50 のペナルティが6月から12月までの7ヶ月分で、合計$350となります。
  • 2021年への繰り越し額が -(マイナス) $5,000。ただし2020年に引き出した分$5,000が2021年分の限度額に追加されて、結果2021年開始時点の拠出限度額は、$6,000 - $5,000 + $5,000 = $6,000となります。田中さんは、2021年設定限度額のまま限度額が$6,000になっていると信じているかもしれませんが、実際はそうではなく、ここでは2020年の超過拠出額と引き出し額がたまたま$5,000で一緒だったために、結果2021年設定限度額と同額になったというだけのハナシ。2021年開始時点からペナルティは発生しませんが、2020年分のペナルティはしっかり発生してしまっています。

このように、ペナルティが発生する理由や状況は様々。過剰拠出をしてしまったことに気づいていればある程度の覚悟はできますが、自身の計算間違いに長い間気づかずに、突然多額のペナルティ通知が来てしまうケースは、なんとしても避けたいところです。
前述したとおり、各種金融機関がTFSAの拠出額をモニターして超過拠出を通知してくれるようなことは一切ありません。拠出額、引き出し額をしっかり自己で管理記録するようにしましょう。万が一過剰拠出をしてしまった場合には、一日でも早く必要な額を引き出し、複数月にまたがるペナルティを避けることを心がけましょう。


カナダでの投資: TFSA: ケーススタディ3

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

ケーススタディ3 - アグレッシブな投資家、Cさんの場合

注意: 以下の例は、非常に投資リスクが高く、一般的には一切お勧め出来ない極端なシナリオです。あくまでTFSAの仕組みを理解するための例としてのみ参考にしてください。

株式や投資信託で、普段からある程度の資金を投資に注ぎ込んでいるCさん。とは言え、普段は決して極端なリスクを冒さないポートフォリオで運用をしています。TFSAを考える上で、運用利益が非課税となるという点は当然魅力的ですが、Cさんは「拠出額に限度がある」というルールを、さらに一歩踏み込んで考えてみることにしました。

「拠出限度額がある」=「投資支出額限度がある」=「最大リスクに限度がある」

つまり、「最大でも投資に注ぎ込めるのは年間$5,000-$5,500のみということは、最悪のシナリオに陥ったとしても、最大のロスでも年間$5,000-$5,500のみである」と考えたのです。その結果Cさんは、TFSAを「強制的に自制が効く『投機』環境」として捉えることにしました。

  • TFSAは、銀行のみがそのアカウント開設サービスを提供しているわけではありません。Cさんは、普段から株式の購入などで慣れ親しんだ証券会社が提供しているTFSAのサービスを利用することにしました。ここでは、株式や投資信託のみでなくETFや国債など、投資先の選択肢が豊富で、またその購入手続きも慣れ親しんだものです。
    注意: この場合、TFSAの「拠出」としてこのアカウントに一旦資金を入金し、その資金を利用して投資商品の購入/売却といった取引きを行うという形になります。つまり、TFSAの「箱」に既に入っている資金を使って行う投資商品の購入/売却の取引きそのものは、限度額計算には一切影響を与えません。

  • 毎年年初めに、限度額目一杯を拠出するようにしています。

  • TFSAを「投機」環境と割り切っているCさんの戦略は明快です。2009年から2012年にかけて、ある特定の中小企業a社一銘柄の株のみ、しかも俗に「ペニーストック」と呼ばれる、一株$1前後の値で推移している株を、ひたすら一括購入し続けました。
    *「ペニーストック」の利点であり最大のリスクは、その値上がり/下がり率の幅です。$0.50から$1.00に上がっただけでも100%の値上がり率となり、大きな利益が見込まれますが、当然ながら同時に極端な値下がり率または最悪企業倒産のリスクもあります。企業の業績や、比較的少ない株式の発行数など様々な要素から、株価は乱高下する傾向が高く、一般的には避けるべき高リスクの投資対象となるものです。

  • $0.40から$1.00の間で推移していたa社の株価も、2012年中旬には上げ止まった感があり、2012年秋にかけて、Cさんはその全てを売却しました。運よく値上がりを掴まえた形となったCさんのTFSA資産は、元金$20,000 ($5,000 x 4年) に対し、運用益実に2.25倍、総額$45,000と育っていました。
    注意: 前述の通り、この「売却」手続きは、あくまで売却益をアカウント内に戻したと扱われるだけであって、TFSAの「引き出し」とは扱われません。TFSAのアカウント内の資金を、TFSAでないアカウントに移動させた場合にのみ「引き出し」として扱われます。

  • 引き続きリスクを厭わないCさんは、$45,000全額とその後の拠出額とを、なんとまたしても別のペニーストック銘柄b社の株の購入に充てました。

  • 購入時$0.60だったb社の株価は、2014年時点でなんと$5.00近くにまで値上がりし、この時点でのCさんのTFSAの残高は、およそ$350,000にまで膨れ上がっています。

  • TFSAですから、2012年の売却時の$25,000分の運用益は当然非課税。2014年時点で売却したとして得られるおよそ$300,000超にもなる運用益も、丸ごと非課税となります。

2009年1月からのCさんの拠出額推移は以下の表の通り。
拠出分は「毎年限度額まで...」というだけのいたって単純なもの。全ての運用はTFSA内での株式購入/売却なので、限度額計算には一切影響を与えません。
(2014年年始時点まで)
 200920102011201220132014
設定拠出限度額$5,000$5,000$5,000$5,000$5,500$5,500
前年未使用分の繰越し額
(前年の⑤)
-$0$0$0$0$0
合計拠出限度額
(①+②)
$5,000$5,000$5,000$5,000$5,500$5,500
拠出額$5,000$5,000$5,000$5,000$5,500
未使用拠出額
(③-④)
$0$0$0$0$0
考察
きわめて高リスクであり、また非現実的に極端な運用成功例として示した上記のシナリオですが、実はこれ、2013年にとある経済誌で取り上げられた、実在のTFSA成功例のひとつ ("The Great TFSA Race: Penny-stock investor")。おそらくその時点で、TFSA史上最も成功した運用例と言えるのではないでしょうか。
繰り返しますが、このような高リスクの運用戦略は、パーソナルファイナンスの観点からすると、決してお勧めできるものではありません。ただし、いろいろなファクターを鑑みた結果、TFSAを「投機」環境として利用することに決めるに至ったそのロジックは、合理的である場合もあるでしょう。
ちなみにその記事で取りあげられた、Cさんのモデルである実際の男性の場合は、
  • 自身のRRSPへは常に十分に拠出していて、あくまで余剰資金をTFSAに充てている
  • 奥さんも積極的にTFSAを利用していて、そちらではリスクの低い確実な運用をしている
  • ペニーストックとは言え、ある程度のリサーチを元にしっかりと銘柄を選択している
  • 最大リスクは全損であると理解している
といった諸条件を全て鑑みた結果、TFSAを「投機」環境として利用しても良いという結論に至っています。


カナダでの投資: TFSA: ケーススタディ2

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

ケーススタディ2 - 上手な消費家、Bさんの場合

普段から積極的に貯蓄をしてきたBさんは、2009年TFSA開始の一報を聞くと共に早速最大限に利用。毎年限度額までしっかり拠出することを目標にしつつ、大きな買い物の際にはTFSAから資金を調達。引き出しによる限度額の変化をしっかり理解しながら、毎年目一杯拠出することを心がけています。

  • 既にある程度の貯蓄があったBさんは、制度開始の2009年、1月に即一括で$5,000を拠出。その後も、年始と共に一括で拠出出来るよう、TFSA用資金の貯蓄を一年かけて普通のSavings Accountで行っています。

  • Bさんの投資先は、半分が年利率1.5%のTax-Free Savings Account、残りの半分がおよそ4%の運用益が期待できるTax-Free Mutual Fund (投資信託) 商品。共に銀行が提供している商品なので、資金の移し変えなどもスムーズに行えます。

  • 2011年、車を買い替えることを決意したBさんは、購入費用の頭金$4,000をTFSAから捻出しました。

  • 2013年、今度は夏季休暇の旅行の為に奮発。$3,000をTFSAから捻出しました。

  • 引き出しの際は常にTax-Free Savings Accountの方から引き出しをしますが、その後Tax-Free Savings AccountとTax-Free Mutual Fundの元金バランスが常に1対1になるように調整を行っています。つまり、Tax-Free Savings Accountの残高が減った時に、Tax-Free Mutual Fundの一部を売ってTax-Free Savings Accountに移し変えるという調整を行っています。

2009年1月から上の条件で拠出をはじめたBさんのその後は、以下の表の通り
(2014年年始時点まで)
 200920102011201220132014
設定拠出限度額$5,000$5,000$5,000$5,000$5,500$5,500
前年未使用分の繰越し額
(前年の⑥)
-$0$0$0$0$0
前年引き出し額
(前年の⑦)
-$0$0$4,000$0$3,000
合計拠出限度額
(①+②+③)
$5,000$5,000$5,000$9,000$5,500$8,500
拠出額$5,000$5,000$5,000$9,000$5,500
未使用拠出額
(④-⑤)
$0$0$0$0$0
引き出し額$0$0$4,000$0$3,000

2009年
  • 設定拠出限度額$5,000まで目一杯拠出。翌年への未使用分繰越しも引き出しも無し。
2010年
  • 設定拠出限度額$5,000まで目一杯拠出。翌年への未使用分繰越しも引き出しも無し。
2011年
  • 設定拠出限度額$5,000まで目一杯拠出。翌年への未使用分繰越しは無し。ただし$4,000の引き出しを行ったため、その分が翌年の限度額に上乗せ。
    注意: 引き出し額がその年の限度額に影響を与えることはありません。2011年の限度額はあくまで$5,000のままで、2012年の限度額が$9,000になります。
  • また、引き出しによりTax-Free Savings Account分が目減りしたので、Tax-Free Mutual Fundを$2,000分売って、Tax-Free Savings Account分に移行する調整を行う。
    注意: 既にTFSAの「箱」に入っている資金の運用先を、Tax-Free Mutual FundからTax-Free Savings Accountに移しただけなので、この場合は「引き出し」または「拠出」とは扱われません。したがって限度額計算にも一切影響を与えません。
2012年
  • 前年引き出し分$4,000と新規分$5,000を含めて、限度額は$9,000。資金にまだ余裕のあったBさんは、引き続き目一杯拠出で、翌年への未使用分繰越しも引き出しも無し。
2013年
  • 設定拠出限度額$5,500まで目一杯拠出。翌年への未使用分繰越しは無し。ただし$3,000の引き出しを行ったため、その分が翌年の限度額に上乗せ。
  • また、2011年同様Tax-Free Savings AccountとTax-Free Mutual Fund間の調整を行ったが、同様に限度額計算に影響は無し。
2014年
  • 前年引き出し分$3,000と新規分$5,500を含めて、限度額は$8,500。
考察
常に迅速かつ限度額目一杯の拠出を心がけるBさんは、長期資産運用の基本ファクターである「時間」というものを、有効に活用していると言えるでしょう。引き出し分を差し引いた3年間の拠出合計は$22,500。3年間の運用益は概算でおよそ$2,088にもなり、これが丸々非課税になっているというのは非常に大きな利益と言えるでしょう。
毎年1月になると同時に限度額目一杯を一度に拠出するというのは、拠出する資金に余裕があるのであれば有効といえるでしょう。ただし、大きな支出をTFSAからの引き出しから捻出することもあるBさんの場合は、今後毎年必ず年初めにその拠出資金があるとは限りません。いずれは、月毎の入金で一年丸々かけてその年の限度額までを拠出する、というスタイルに移行することは十分に予想されます。
貯金をする行為そのもの、または限度額まで拠出することそれ自体が本来の目的ではありません。資産を増やし、急な支出にも対応できるだけのやりくりをすることが、本来の目的であるべきです。その意味では、車購入や旅行資金などの大きな支出を全てTFSAで賄うことが出来ているBさんは、上手な消費家と言えるでしょう。


カナダでの投資: TFSA: ケーススタディ1

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

一度理解してしまえばそれほど複雑ではないTFSAですが、比較的新しい制度ということもあって、ややこしい!と思われているのも事実。ここでは、ケーススタディという形で、実際にいくつかの例を挙げながら理解を深めていきましょう。

ケーススタディ1 - 堅実な貯蓄家、Aさんの場合

2010年10月にワークパーミットで日本からカナダにやってきた20代のAさん。数ヵ月後、仕事も落ち着いて、貯蓄を意識しだした頃にTFSAのことを知る。今まで普通のSavings Accountにそれなりに貯金してきたけど、僅かとは言え税金で損していると知って、勉強もかねてTFSAをはじめてみようと一念発起。

  • Aさんがカナダにやってきたのは2010年ということは...
    残念ながら全くカナダとの関わりの無かった2009年は、税制上「non-residents」となり、2009年分の設定拠出額$5,000はAさんには不適用。拠出できるのは2010年分の$5,000からとなります。

  • カナダに来たのは2010年の10月。僅か3ヶ月だけだけど、2010年分はそのまま全額使えるの?
    もちろん。たとえ半年以下だとしてもカナダに在住していれば、税制上の定義で言う「non-residents」にはあたらない為、TFSAのルール上、その年分の拠出の資格があります。

  • TFSAのアカウントを開こうと思い立ったのは既に2011年になってから。2010年分の拠出はムダにしちゃったってこと?
    いいえ。2010年分は単純に拠出が無かったと扱われるだけで、そのまま2011年の拠出に繰越し。2011年時点での拠出可能額が、$5,000+$5,000で$10,000になるだけのこと。

仕組みをある程度を理解したところで、早速馴染みの銀行でアポイントメントをとって、TFSA口座開設の相談。オンラインでも出来るけど、せっかくなのでアドバイザーに直接しっかり話を聞きながら、投資先などを選別。

  • 投資というとちょっと怖い気もするということで、堅実なAさんは一切リスクの無い (銀行の商品のひとつとしての) Tax-Free Savings Account (年利率1.75%) とTax-Free GIC (2年満期年利率2.5%) を選択。アドバイザーはMutual Fund (投資信託) も薦めてきたけど、初めてなのでとにかく安心確実な商品のみを選ぶということで、丁重にお断り。

  • 今までコツコツ貯めてきて、今後も特に使う予定の無い貯金がちょうど$6,000程あったので、この中から$5,000をTax-Free GICに、$1,000をTax-Free Savings Accountに振り分け。

  • 毎年拠出額限度まで拠出できればいいけど、そこまでの余裕は無いので、毎月$300ずつをChequing AccountからTax-Free Savings Accountに自動的に拠出させる様に設定。これで、最低でも毎年$3,600は拠出。

2011年1月から上の条件で拠出をはじめたAさんのその後は、以下の表の通り
(2014年年始時点まで)
 200920102011201220132014
設定拠出限度額-$5,000$5,000$5,000$5,500$5,500
前年未使用分の繰越し額
(前年の⑤)
-$0$5,000$400$1,800$3,700
合計拠出限度額
(①+②)
-$5,000$10,000$5,400$7,300$9,200
拠出額-$0$9,600$3,600$3,600
未使用拠出額
(③-④)
-$5,000$400$1,800$3,700

2009年
  • 資格も無く拠出も当然無いので、一切の手続き無し。
2010年
  • 資格はありながらもTFSA口座開設前なので、拠出は一切無し。したがって、拠出限度額$5,000一切未使用のまま翌年に繰越し。
2011年
  • 前年繰越分$5,000と新規分$5,000を含めて、限度額は$10,000。新規開設のTax-Free Savings Accountに$1,000、Tax-Free GICに$5,000、さらに1月から毎月$300ずつ拠出で、年間の合計拠出額は$9,600に。使われなかった$400は翌年に繰越し。
2012年
  • 前年繰越分$400と新規分$5,000を含めて、限度額は$5,400。毎月$300ずつ拠出で、年間の合計拠出額は$3,600。使われなかった$1,800は翌年に繰越し。
2013年
  • 前年繰越分$1,800と新規分$5,500を含めて、限度額は$7,300。毎月$300ずつ拠出で、年間の合計拠出額は$3,600。使われなかった$3,700は翌年に繰越し。
2014年
  • 前年繰越分$3,700と新規分$5,500を含めて、限度額は$9,200。
考察
純粋に余剰資金による貯金用と割り切ってTFSAを利用しているAさんは、これまで一切引き出しも無し。月$300という無理のない自動拠出設定で着実に資産を増やし、実質3年間での拠出合計は$16,800。もちろんそれは元本分だけで、GICの運用益が (2年満期後同等のGICを続けたとして) 3年間でおよそ$384 ($5,000 x 2.5%で複利で3年)、Savings Accountが3年間で元本合計$11,800のところ利息分合計がおよそ$334 ($1,000開始で毎月$300入金、年利1.75%で3年間)。合計$718程が丸々非課税の利益となります。
毎年限度額に満たない拠出なので、繰越額は増える一方。これは、ボーナスなどの臨時収入をまとめて追加拠出する時の為にとっておいても良いですし、今後余裕があれば月毎の自動拠出額を増やすのも手でしょう。
どちらにしても、当分はいわゆるTax-FreeではないSavings AccountやGICをあえて利用する必要はなく、今後も積極的にTFSAを利用して非課税の恩恵を受け続けるべきでしょう。