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カナダでの子育て: RESP: 拠出

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

RESP への拠出

長期運用が前提となるRESPにおいて、拠出の金額や頻度等をどのように計画/設定するのが適切なのか、順を追って考えてみましょう。

RESPへの拠出そのものに関する基本的なルールは、以下の2点のみです。
  • 一人の「beneficiary (受益者)」に対し、生涯拠出合計は$50,000
  • 年毎の拠出金額制限は無し
    (2006年までは年間$4,000までとなっていましたが、2007年以降は無制限)

そしてさらに、拠出額を考える上で大切な、CESGグラントに関するルールが
  • 拠出額の20%の額が、CESGグラントとして年間$500を限度に給付される
    (つまり、年間$2,500以上拠出すれば、その20%の$500まで給付される)
  • 一人の「beneficiary (受益者)」に対する生涯のCESGグラント給付合計は、$7,200
となります。

大学資金として$50,000で足りるのか?という議論はひとまず後回しにして、以上のルールを元に、拠出の金額や頻度のパターンを考えてみましょう。

拠出の仕方

ここでは、子供が一人生まれたと同時にRESPを開設したとして、18才になるまでの丸々18年間 (=216ヶ月) をかけて$50,000を拠出することがゴールとなります。もちろんCESGグラントを最高額まで受け取ることが出来るのがベストですが、年毎の給付額制限がある限り、最大の$7,200を受け取る為には、最短でも15年間 ($7,200 ÷ $500) をかけなくてはなりません。運用益を考慮に入れた場合、CESGグラントの給付を優先するべきか、早期の拠出を優先するべきかというのは、単純に答えの出るものではありません。
例を挙げて考察してみましょう。
初期に一括拠出のケース
2007年のルール改正により、年毎の拠出金額制限はなくなりました。これはつまり、極端なハナシ、子供が生まれたと同時に$50,000を一気に入金することも可能であるということを意味します。子供が生まれたと同時に限度額いっぱいの$50,000を拠出し、あとは18年間運用益を見守るだけという形です。
この場合、例えば平均年率5%での運用が可能だったとして、18年後のRESP資産は、概算で $121,534 となります。

このケースのメリットは、長期運用の重大ファクターである「時間」を、最初から限度額いっぱいに対し適用できるという点です。逆にデメリットは、初年度の$500以外、以降のCESGグラントを一切受け取れないという点です。
分散拠出でグラントを最大限受け取るケース
$50,000を18年間で割り、毎年の拠出額合計を$2,777.78とします。毎年のCESGグラントの給付限度額の$500を受け取るためには、年間$2,500の拠出が必要となりますが、ここではしっかり満たしていることになります。したがって、毎年$2,777.78の拠出と合わせて$500の給付、これを同じく平均年率5%で運用した場合、18年経過した時点でのRESP資産は、概算で $94,802 となります。

このケースでは、多額の初期投資は無く、無理の無い分割入金が出来ること、そしてCESGグラントを最大給付額まで受け取れることがメリットとなります。そのかわりに、運用益を生み出す「時間」を犠牲にしていると言え、5%の運用年率を例に挙げた場合の上記の比較では、初期一括拠出のケースに比べて、最終額は少ないという結果になります。
後者のケースが比較的現実的な例なのに対し、前者はあくまで運用方法の違いを示すための極端な例であると捉えてください。現実的には、個々の事情、RESP開始時の子供の年齢や子供の数、景気の傾向など、様々なファクターを踏まえ、両者の中間のような戦略を、中期的に見直しをしながら運用を進めるのが一般的となるでしょう。

あえてガイドラインとして挙げるのであれば、CESGグラントの年間給付限度額である$500を最大限得るために、出来る限り年間$2,500以上の拠出を心がけるべきでしょう。年間$2,500とすると、月に$208.33、隔週ならば$96.15、週ごとならば$48程。自動引き落としでやりくりできる範囲で、予算に組み込んでしまうのも手でしょう。
ただし、これらは全て一人の子供 (受益者) に対する拠出の例です。子供が複数いるのであれば、そのまま生涯拠出合計目標額も「$50,000 x 子供の数」となるわけで、一人につき年間$2,500という目標額も、現実的でない場合もあるでしょう。 グラントを最大額までもらうことそのものが目標となってはいけません。あくまで、「将来の高等教育費用捻出の手助けとなる資金の形成」という基本理念を常に念頭において、無理の無い拠出を心がけるようにしましょう。