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カナダの税金: はじめに

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

税金を正しく理解し、常に税金を意識しながら自己資産を管理運用することは、パーソナルファイナンシングにおいて非常に重要なことです。カナダでは、アメリカなどの制度と同様に、給与所得者は自分自身で所得税のいわゆる確定申告 (タックスリターン/タックスファイリング) を行います。税金を正しく理解し、日頃から節税を意識した資産管理をすることは、非常に大切なことです。

タックスリターンとは

毎年年初めから4月頃にかけて、「タックスリターンはお済みですか?」といった文言の宣伝や広告をよく見かけ、H&R Blockなどの街の税務サービス会社は騒がしくなり、スーパーにはタックスファイリングのソフトウェアのパッケージが並ぶようになります。前年の所得明細が手元に揃い始め、締め切りの4月末日までにタックスファイリングを済ませようと、人々が動き回るこの時期が、いわゆるタックスシーズンとなります。

通常給与から天引きされている所得税額等は比較的多めに設定されているため、最終的に本来支払われるべき総税額よりも既に支払っている額が多くなります。タックスファイリングをすることにより、その差額が戻ってくることで「タックス『リターン』 (タックスリファンド)」となる訳です。もちろん何らかの理由で、最終的に支払われるべき総税額よりも、既に支払っている額が少ない場合は、タックスファイリングの結果、差額を支払わなければならなくなることもあります。

「得をするから」タックスファイリングをしよう!という間違い

タックスファイリングは、就労所得がある限り基本的には必ず行わなければいけません。たまに、主にワーキングホリデー資格所持者等に向けて「税金が戻ってくるので確定申告/タックスファイリングしてみよう!」といった類の文言を見かけることがありますが、正確ではありません。リファンド/支払いの金額にかかわらず、(税制上の) カナダ居住者扱いとなり、就労所得がある場合は、事実上タックスファイリングは必ず行わなければいけません
リファンドがあるのにファイルをせずにそのまま永久帰国してしまった、という場合なら影響は比較的少ないかもしれませんが、例えば本来支払うべき差額があるのに、一切ファイルせずに過ごしているといった場合は、それはCRAに対して長年借金を踏み倒し続けているのと同様のことですので、多額のペナルティーと共に何らかの勧告通知 (audit) が突然来てもおかしくありません。リファンド/支払いの金額に関わらず、毎年必ずタックスファイリングを行うようにしましょう。

また、これは後の項目で詳しく触れますが、タックスリファンドに対し、「得をした」という捉え方することは大変な間違いです。タックスリファンドとは「本来支払う必要の無かったお金が、当然のごとく返ってきた」だけのこと、だと理解しましょう。例えばタックスリファンドで$4,000が返ってきたとして、それは前年一年間かけてCRAに対し少しずつ貸していたお金が、無利子で突然まとめて返金されたことを意味します (本来ならばその$4,000を最初から運用していれば、少なからず運用益を出せていたかもしれないのにもかかわらず!です)。

もちろんリファンドが多いに越したことはありませんが、それは突然の「予定外の収入」となるべきものではなく、仕組みを理解した上で戦略的に節税をした結果の想定内の余剰資金と捉えられるべきものです。一年に一度だけの計算によって導き出される数字としてではなく、常日頃の資金運用や家計においても、税金/節税を意識するよう心がけましょう。