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カナダのクレジットカード: 支払い/引き落とし

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

クレジットカードの支払い

「最低支払い額」など、日本ではあまり馴染みのないルールが組み込まれているカナダ (またはアメリカ) のクレジットカードの支払い (返済) の仕組み。ここで今一度まとめてみましょう。

支払いサイクル

クレジットカードの利用と決済は、ひと月毎のサイクルです (Billing Cycle)。ひと月の間に発生したすべてのカード利用分が、ひとつの利用明細書 (Statement) の中で支払い請求額 (Statement Balance) としてまとめられ、そのひと月分に対する支払いの締め切り日 (Payment Due Date) が設定されています。
ただし多くの場合、ひと月と言っても、単純な月初め (1日) ~月終わり (30日/31日) のサイクルとはならず、銀行によって、あるいはカードによってその開始日/締め日 (Statement Date) は異なります。したがって、月毎の支払いの締め切り日も、銀行によって、あるいはカードによって異なります。
あるカードの例:
  • ひと月毎のサイクル (Billing Cycle): 今月21日~翌月20日。
  • 利用明細書発効日 (Statement Date): 翌月20日
  • 支払い締め切り日 (Payment Due Date): 翌々月10日
つまりこの場合は、例えば、
  • 1月21日から2月20日までの一ヶ月に利用した分が、
  • 2月20日付け発行の利用明細書にまとめられ、
  • その支払い締め切り日が3月10日
となります。

注意: それぞれの設定日が土日や祝祭日と重なる場合は、特に事前の通知などはなく、前平日や翌平日の日付にずらされます。
利用明細書発効日から支払い締め切り日までの間 (例: 2月20日から3月10日までの間) は「Grace Period」と呼ばれ、通常20日から25日程度に設定されています。この期間の間、つまり支払い締め切り日までに支払い請求額全額を支払えば、利息は一切発生しません。

支払い方法

月毎に利用明細書が郵便で届き、支払いの締め切り日までに支払い額分のCheque (小切手) を郵送で送り返すことで支払いをする...、という旧式の方法もいまだ有効ではありますが、オンラインバンキングが主流となった現在、支払いの作業もすべてオンラインバンキング上で行うのが一般的です。

自分が口座を有する銀行発行のクレジットカードであれば、その銀行のオンラインバンキングのサイト上で、他のChequing口座やSaving口座と同列でクレジットカードの項目があるはずです。銀行によって作業の細かな違いはあれど、基本的に、Chequing口座やSaving口座からクレジットカードの項目に資金を移動 (Transfer) させることで、それがそのまま支払い/返済作業 (=引き落とし) となります。
月々の支払いに際し、どれだけの金額 (例えば、「最低支払い額」や「請求額全額」または任意の金額) を、いつ支払うか (例えば、「明細書発効日」や「支払い締切り日」) を、自動で設定できる機能 (=自動引き落とし) があるのが一般的です。万が一支払いを忘れてしまうリスクなどを鑑みると、この自動引き落とし機能はぜひ利用するべきです。そしてもちろん、ひと月毎に支払い締切り日までに「請求額全額」を支払うように設定することが理想です。

自分の口座を有する銀行以外の金融機関発行のクレジットカードに対して支払いをする場合は、それぞれ細かなやり方は異なります。一般的には、それぞれの金融機関のサイト上で自分が口座を有する銀行を指定し登録し、その金融機関と銀行との間で直接資金のやり取りができる環境を整え、月毎に支払い金の転送 (Transfer) を実行することで、支払いが行われます。

最低支払い額

前項でも示したとおり、カナダのクレジットカードの月々の支払いは、実際の支払い額を自分でコントロールできるリボルビング払い。利用明細書の中で示されている「最低支払い額 (Minimum Payment)」だけを支払えば、残りの請求額残高はペナルティもなく次の月の支払いに持ち越しすることが出来ます。ただし、持ち越しされた分の額は 「Grace Period」を過ぎた分とみなされ、次月以降はその持ち越し分に対して利息が発生します。つまり、翌月の明細書に示される請求額は、

該当月の新規請求額 + (前月から持ち越された残高 + 利息) = 合計請求額

となります。
最低支払い額はカードそのものに対して設定されるので、月々の利用額によって変動するのではなく、常に一定です。したがって、新たな月においてどんなに利用額が多くても、再び最低支払い額だけを払ってその他すべての残高を翌月に持ち越すこともできます。そのように毎月最低支払い額のみを支払い続け、長期にわたって先延ばしし続けることも可能です。 もちろんその場合は、新規の請求額残高と持ち越し分への利息が雪だるま式に加算され、めでたくカード返済地獄の始まりとなるわけです。

まとめ

クレジットカードの利用と支払いにおいて、最も大切なポイントですので何度でも繰り返します。

毎月必ず全額返済をする (「持ち越し」は絶対にしない)

とにかくこれを最優先事項として守りましょう。

(例えば日本への渡航費など) 比較的大きな買い物をクレジットカードで行った場合など、一括での全額返済が難しいこともあるでしょう。ただしその場合でも、Saving口座から資金を切り崩してでも、ひと月のサイクル内で一括全額返済をすることが最優先されるべきです。
クレジットカードは、健全なクレジットヒストリーを積み重ね、クレジット (信用) を構築するためのツールであるという点に常に立ち返り、それに基づいた支払い/返済行動をとるよう心がけましょう。