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カナダの税金: タックスファイリング

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

タックス計算の概要をある程度つかめたところで、実際の確定申告/タックスファイリングの作業についてまとめてみましょう。

タックスファイリングの時期

当該年分のタックスファイリングの締切日は、翌年4月末日となります。年明けすぐ頃には、その年の「tax return forms」が入手可能になり、準備を始めることができますが、前述のとおり、T4やT5等が発行され手元に書類が揃うのがおそらく2月末頃。実際にタックスファイリングが始められるのはその辺りからということになります。
注意:
ただし、控除額に大きな影響を与えるRRSPの (前年分の) 拠出の締め切りは、毎年3月初平日に設定されています。控除額を増やすために追加拠出をする場合には、この日付までに、いくら拠出をするべきかの計算をした上で、拠出そのものも完了している必要があります。
どのような形態で書類群を提出するかにもよりますが、締め切り間近はどのサービスも慌しくなりがちなので、できれば3月中までを目処に、余裕を持って済ませるようにしましょう。

書類準備

T4やT5、RRSPの拠出明細など、外部金融機関から発行された書類は、忘れずに手元に揃えるようにしましょう。近年では、郵送ではなくオンライン上でアクセス/プリントできる場合がほとんどではないでしょうか。
前年発行の「Notice of Assessment」など、CRAから発行される書類もしっかり揃えておきましょう。これらは、CRAサイト上の「My Account」から回覧することもできます。

控除やTaxクレジットを申告するための各支出のレシートなども、当然用意する必要があります。「Medical expenses」申告のためには、それらへの支出を証明できる書類が必要になります。レシート紙、invoice/bill、オンライン上からのレシートプリント等々、形態は様々となるでしょうが、正確な申告のためには手元に揃えておく必要があります。

フォーム入力/書類提出方法

タックスファイリングにおいて、実際に数字を打ち込み計算を進めるなど、最終的な提出書類を準備するための作業、またそれらの書類群をCRAに提出する際の方法 (郵送またはNETFILE - オンラインによる方法) は、個々の環境を鑑みいくつかの方法から選択することができます。

  • 「tax return forms」に、自身で数字を書き込み、自身で計算を行い、自身で書類をそろえ、郵送で提出する
  • 各種ソフトウェア (無料/有料) を利用し、自動または自身で計算を行い、書類をそろえ、郵送で提出する
  • CRAが認証済みの各種ソフトウェア (無料/有料) を利用し、自動または自身で計算を行い、書類をそろえ、NETFILEまたは郵送で提出する
  • 税務サービス店頭へ出向き、計算/書類準備等の作業をすべて任せ、NETFILEまたは郵送で提出する

所得は給与所得のみ、特に複雑な申告項目なども無いとなれば、まずは自分自身でイチからフォームを埋めて計算をする作業に挑戦してみるのもいいでしょう。(オンライン上の) 各種ソフトウェアは、実際に書類発行や書類提出する以前の段階までは、料金が発生しないものがほとんどです。自身の手動の計算と、それらソフトウェアの計算経過を照らし合わせながら確認し、最終的には自身で書類をそろえるという方法も良いでしょう。
細かく対面で質問をしながら、複雑な項目へもしっかりと対応してもらいたいということであれば、税務サービス店頭へ出向き、すべてを任せるのも良いでしょう。
注目:
有料サービスを利用するメリットは、多くの場合「最大リターンを保障!」を謳っているという点にあります。ソフトウェア上でも店頭サービスでも、基本的に質問に答えていく形で項目を埋めていくという作業を行うことになります。これにより、各種控除項目やTaxクレジット項目を、漏らすことなくカバーすることが出来、結果的に最大のリターンが見込めるということになります。自身ですべて行う場合は、おそらく見逃してしまう控除項目やTaxクレジット項目もあることでしょうし、また計算ミスを犯すリスクもあります。

タックスファイリング提出以降

タックス「リファンド」の場合の還付金の受け取りは、郵送によるチェック受け取りか、(CRAのMy Account上で既に設定された) 銀行口座への直接振り込み (direct deposit) かで行われます。NETFILEによる提出で、direct depositによる受け取りであれば、最速で8日程で還付金が振り込まれることもあります。
タックスファイリングの結果追加徴税があるとなった場合は、詳細情報とともに請求書が届くこととなります。

Audit/Review

「Audit」または「Review」とはいわゆる「監査」のことで、提出された書類の中に不備や不正あるいは単純に不明な点が見つかった場合など、この「監査」の手が入ることがあります。自営などではない、いわゆる個人所得のタックスファイリングに対しAudit/Reviewが行われることは稀ですが、決して起こりえないことではありません。面倒ではありますが、やましいことが無い限り、淡々と求められる書類/情報を提出することで、手続きを終えることができます。
この点に関しても、タックスファイリングの際に有料サービスを利用するメリットがある場合があります。「Auditプロテクション」のオプションを設けているサービスでは、万が一Auditが入った際に、そのやり取りの仲介を請け負ってくれるサービスを提供しています。

「Notice of Assessment」

無事にCRA側でタックスファイリングのプロセスが完了すると、CRAより「Notice of Assessment」という書類が発行されます。これは、タックスファイリングの詳細を示した書類で、タックスリファンドまたは追加徴税の明細書として、申告者に返信されるものです。この書類の受け取りまで完了すれば、晴れて前年のタックスファイリングがすべて完了、ということになります。
注意:
厳密には、「Notice of Assessment」の発行は、CRA側での第一次限定審査が無事に終了したこと意味するのみです。CRAは「Notice of Assessment」送付日から 3年間は再審査する権限を与えられているので、ずいぶんと後になって突然Auditが入ることもありえます。各種レシートなどの支出証明関連の書類は、当分の間は破棄せずに保管をしておくようにしましょう。
Notice of Assessmentの書類の下部には、RRSPに関するセクションがあり、そこには前年分のRRSPへの拠出明細情報とともに、翌年のRRSP拠出限度額が示されています。これは、当該年のRRSPの拠出額を考慮するための重要な情報であるとともに、翌年に行うタックスファイリングの際に必要となる重要な情報です。紛失しないよう大事に保管するようにしましょう。