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カナダでのリタイアメント: Registered Retirement Income Fund (RRIF)

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

RRIFとは

Registered Retirement Income Fund (RRIF) とは、リタイア後のために貯蓄/運用してきたRRSP (Registered Retirement Savings Plan) の資金を、リタイア後の収入として活用するために利用される制度です。リタイアをする (RRSPから資金を収入として引き出し始める) と決めた時点で、RRSPからRRIFへとその資金を「変換」することでRRIFを「開設」することとなり、RRIFのルールに基づき税制の優遇を受けながら効率的な資金の引き出し/取り崩しを行うことが出来ます。
一般的なシナリオを例に挙げつつ、手順を追って理解していきましょう。

1. 「RRSP」から「RRIF」への変換

「RRSPから資金を収入として引き出し始める」と決めた時点においてまず行うことは、その資金を「RRSP」から「RRIF」に「変換」させることです。これは、RRSPを保持している金融機関に対しその旨を伝えることだけで実行することが出来ます。
あえて「変換」という言葉が使われるのには理由があります。この「変換」とはまさにただその「箱の名前を換える」だけの手続き。資金を実際に移動させることもなければ、投資内容を変更する必要も (つまり売却や利益確定をする必要も) ありません。
また、この「変換」はいつでも行うことが出来ます。唯一のルールは「71歳の誕生日を迎えるその年の終わりまでに RRSP内の資金からの『変換』を完了しなければけない」ということだけ。

2. 「RRIF」からの引き出し

RRIFへと変換された資金は、自由な頻度で引き出しを行うことを設定できます。ここで言う「引き出し」とは、RRIFの口座から例えばChequing口座に資金を移動させること。つまりまさに「自分自身に給与を与えるかの様に、資金を移動させること」。細かなルールは金融機関によりますが、例えば毎月/毎四半期/年一回..等、その頻度を選択することが出来ます。
また、引き出す金額についても自分自身で設定できます。例えば CPP (退職者年金) やOAS (老齢年金) 等を既に受け取っている場合などは、それらの支給額も踏まえた生活費を鑑み、RRIFからの引き出し額を自身で決めることが出来ます。

3. 最低引き出し額

引き出し額に上限はありません。ただし下限、つまり「最低引き出し額 (minimum withdrawal)」があります。
最低引き出し額は、年齢を元に定義された最低引き出し率を元に計算されます。

年齢 | 最低引き出し率 (%)
[ 計算式: 1 ÷ (90 - 年齢) = 最低引き出し率 ]
55歳2.86%65歳4.00%75歳5.85%85歳8.51%95歳+20.00%
56歳2.94%66歳4.17%76歳5.98%86歳8.99% 
57歳3.03%67歳4.35%77歳6.17%87歳9.55%
58歳3.13%68歳4.55%78歳6.36%88歳10.21%
59歳3.23%69歳4.76%79歳6.58%89歳10.99%
60歳3.33%70歳5.00%80歳6.82%90歳11.92%
61歳3.45%71歳5.28%81歳7.08%91歳13.06%
62歳3.57%72歳5.40%82歳7.38%92歳14.49%
63歳3.70%73歳5.53%83歳7.71%93歳16.34%
64歳3.85%74歳5.67%84歳8.08%94歳18.79%

当該年における1月1日時点でのRRIFの残高に対し、当該年齢の最低引き出し率を掛けた値が、その年の最低引き出し額となります。

例.
66歳となる年の1月1日の時点でのRRIFの残高が $750,000
66歳の年に対して適用される最低引き出し率 (%) = 4.17%
よってこの年の最低引き出し額は

$750,000 x 4.17 % = $31,275

引き出し頻度の設定に関わらず、一年においてこの最低引き出し額分の額は必ず引き出しを行わなくてはいけません。

4. Withholding Tax

最低引き出し額ピッタリの額を引き出したとすれば、実際に受け取る額はピッタリそのままその額です。ただし、もしこの最低引き出し額よりも多くの額を引き出した場合は、その超過分に応じて設定された Withholding Tax が適用され、その分が引かれた額を受け取ることになります。

最低引き出し額超過分へのWithholding Tax
超過額Withholding Tax率 (%)
$5,000以下10%
(ケベック州 5%)
$5,001~$15,00020%
(ケベック州 10%)
$15,001以上30%
(ケベック州 15%)

例.
66歳での年初の残高 ($750,000) と最低引き出し率 (4.17%) をもとに計算された最低引き出し額が $31,275 とする
対して、実際の引き出し額を $40,000 とすると
超過額: $40,000 - $31,275 = $8,725

$8,725 の内、最初の $5,000 の超過分への Withholding Tax: $5,000 x 10% = $500
$8,725 の内、$5,001~$15,000 の超過分への Withholding Tax: ($8,725 - $5,000) x 20% = $745
Withholding Tax 合計: $500 + $745 = $1,245

よって実際の受け取り額: $40,000 - $1,245 = $38,755

このWithholding Taxの徴収は、金融機関が引き出しを行う時点で「Withholding Taxが引かれた額だけしか渡さない (金融機関が直接Taxを納める)」という形で行われます。

Withholding Taxはあくまで「前払いのTax」です。タックスファイリングの際に、RRIFからの受け取りを含めたその年の最終的な所得額を申告しそれに応じた税額が確定し、リターン額が計算される過程において、このWithholding Taxが支払い済み税額の一部として加味されることとなります。

5. 課税対象所得

繰り返しますが、忘れてはいけないのは、超過額の有無に関わらず、最低引き出し額と超過額を含めた受け取り額全てが最終的に課税対象の所得となるということ。



大まかなルールとしては以上の通り。しかしこれだけのルールだけでも、毎年..
  • 十分な生活資金となる額を、
  • 節税をしながら、
  • 資金が尽きないように、
  • 自分がいつ亡くなるかはわからないという条件の中で
..中長期に渡りうまくやりくりをするためには、しっかりとした計画が必要だということがわかるのではないでしょうか。 
実質的にはさらにここに...
  • RRIF内の資金は (変換前のRRSPの状態の時と同様に) 非課税で運用し続けられる
  • RRSP内の資金全てを一度にRRIFに変換する必要はない (RRSPとRRIFを同時に保持できる)
  • 71歳までの間であれば、RRIFからRRSPに資金を戻すことも可能
といった要素も加わり、やりくりの複雑さ (または柔軟さ) はさらに増していきます。

リタイアメント全般、またはRRSP資金に関するプランや考え方は人それぞれ。RRSPの資金額によっては65歳よりも早い時点でのリタイアを考える人もいるでしょうし、仕事や生活の状況を踏まえてできる限りリタイアは先延ばしにしてRRSP資金を最大限増やし続けたいと考える方もいることでしょう。
RRIFの制度と、次に取り上げるAnnuity、それぞれのルールと利点等をしっかり理解し、自分に合った「リタイア後の収入」のやりくりを行うようにしましょう。


カナダでのリタイアメント: 引き出し

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

リタイア後の収入

RRSP (Registered Retirement Savings Plan) の制度を利用し、毎年のタックスファイリング時の控除利用と、非課税での運用という点を最大限に活用しながら長年に渡ってリタイアメント資金を育ててきたとしましょう。
年齢も重ね、ある時点 (一般的には65歳) においてリタイア (引退、または定年) を考えることでしょう。その時点から、長年に渡って貯めてきたリタイアメント資金から今度は「引き出し」を開始し、それを日々の収入とする生活が始まります。

この時点からは、「自分の資産から自分の収入 (生活費) を捻出する」という図式となるため、その「引き出し」をどの様に行うか、どの様な制度を利用してどう効率よくやりくりするか..、というのは大きなテーマとなります。
  • 十分な生活資金となる額を、
  • 節税をしながら、
  • 資金が尽きないように、
  • 自分がいつ亡くなるかはわからないという条件の中で
..うまくやりくりをする必要があるわけです。
これらの目標を達成するために、どの様な制度があり、どの様に利用するのが良いのか、まとめてみましょう。

リタイア後の収入に向けた制度/商品

RRSPの資金を「リタイア後の収入源」とする場合、一般的には主に以下の2つのオプションがあります。

  • Registered Retirement Income Fund (RRIF)
  • Annuity

RRIF (通称「リフ」) は、TFSA/RRSP/RESP/FHSA等と同じ様にいわゆるRegistered Accountの一つ。つまり政府が管轄する制度/システムであり、その制度/システムの名称のこと。
Annuity (アニュイティ) とは、一般名詞としての「年金 (個人年金保険)」を意味する言葉で、金融機関や保険会社が提供する商品の種類の一つのこと。
..と理解しましょう。

RRSPの資金の引き出しを始めるとした時点から、その資金をこれらのオプションに「変換」または「購入」し、それぞれのルールと中長期的計画に基づき資金の引き出し/取り崩しを行いリタイア後の収入源とする、という考え方です。

重要:
個々の事情によっては、3つ目のオプションとして..
  • RRSPからそのまま引き出す
というケースを考慮することもあるでしょう。様々な理由により、リタイア後の中長期的な収入源としての活用ではなく、やむを得ずRRSPから直接、短期的に一括または分割で引き出しを行わなければいけない状況になることもあるでしょう。そうなった時点でこれはいわゆる一般的な効率的な「リタイアメントプランニング」を外れるケースと考えられます。「効率的な制度/商品の利用」を優先する視点、また「節税」という観点から言えば、この3つ目のオプションはできる限り避けられるべきであると言えるでしょう。
重要:
RRSP口座は71歳を超えて保持することは出来ません。71歳の誕生日を迎えるその年の終わりまでに、上記2つのオプションへの変換/購入か、または完全な引き出しを行い、RRSP口座そのものは閉鎖する必要があります。
ちなみにもちろん、RRSPの資金全てをどれか一つのオプションのみに使わなければいけないということではありません。例えば、早急に必要な資金のためにまずRRSPから直接少額を引き出し、残りの内半分をRRIFへの変換へ、別の半分をAnnuityの購入へ、..といった具合にやりくりすることも当然出来ます。ルールはあくまで、71歳の年の終わりまでにすべてのRRSP資金をそれ以外のオプションに振り分け、RRSPそのものは閉鎖する必要があるということ。

引き出し分への課税

上記2つのオプションの詳細を見ていく前に、大前提となる根本的な税金への理解をおさらいしておきましょう。

どちらのオプションを利用するかに関わらず、元の資金がRRSPから変換された資金である限り、収入として引き出される資金は単純に「所得」であり、課税対象となります。

RRSPの利点であった「タックスファイリング時の控除」と「運用益が非課税」という2点をたっぷりと活用し、人によっては何十年とかけて今まで「税引き前の資金を、非課税で」運用し増やしてきました。晴れて引き出す時点となり、その引き出し額が (ある意味では当然のごとく、ここで初めて) 課税対象となるわけです。

しかしながら、ここでの引き出しによる所得は、働いている間に得ていたいわゆる給与所得よりは少ない額となるであろうという想定 (少ない所得であるから、それにかかる所得税の額も結果的に少ない) に基づき、ここで晴れてRRSPの3つ目の利点である「所得税の先延ばし」が発揮されるわけです。

これらの理解を踏襲しつつ、引き続き節税を意識しながら「引き出し」を行うことが重要です。RRIFとAnnuity、2つのオプションそれぞれに利点や特徴がありますが、節税という観点も含め、自分に合った選択をすることを心がけましょう。


カナダでのリタイアメント: Annuity

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

Annuityとは

Annuityとは、リタイア後のために貯蓄/運用してきたまとまった資金を、リタイア後の収入として活用するために利用される商品です。また、「Annuity」は、RRIF (Registered Retirement Income Fund) の様な「制度」ではなく、あくまで一般名詞としての「年金 (個人年金保険)」を意味する言葉で、各種金融機関や保険会社が提供する商品の種類の名称であると理解しましょう。
リタイアをすると決めた時点で、まとまった資金 (例えばRRSP資金) でAnnuityを「購入」し、その資金を元に商品のルールにしたがって、保証された決まった額を決まった期間あるいは生涯に渡って「収入」として受け取り続けることが出来ます。

金融機関や保険会社では複数のタイプや種類のAnnuity商品が用意されていて、その中から自分にあったものを選択することが出来ます。「商品」であるが故に、各商品の内部の細かなルール等はトレンドやニーズによって移り変わりがあるとも言えるので、本項ではあくまでAnnuityの大まかな仕組みと考え方を説明することのみに留めます。

Annuityの額

Annuityを購入するにあたってまず最初に考慮することは、その予算 (金額)。購入に当てられた資金が、自分がその後受け取り続ける収入の根本的な元本額になるわけですから、当然ながらその受け取り額を左右する最大の要素となります。RRSP資金を使ったリタイアメントというシナリオにおいては、RRSP資金の残高を最大額として、そこからいくらをAnnuityの購入に当てるかということを考慮することになります。
Annuityの購入は多くの場合一括支払いで行われますが、商品によっては、複数回に渡る支払いによる購入をすることも出来ます。

Annuityの期間

次に考慮されるべき大きな要素は、収入の受け取りの期間に関するもの。大きく分けて2つの選択があります。
  • Life Annuity
  • Term-certain Annuity
前者は、その名の通り一生涯受け取りが保証されるタイプのAnnuity
後者は、受け取り期間を指定して、その間だけ受け取りが保証されるタイプのAnnuity (例: 5年、10年、20年..)。
Life Annuityの利点は..
  • 一生涯受け取りが保証される
  • つまり、どれだけ長生きしたとしても、亡くなるまで受け取りが保証され続ける
  • 商品によっては、自分が亡くなった後に配偶者が受け取りを続けられるオプションも付けられる ..等々
不利な点は..
  • 購入資金分を受け取り切る前に、早く亡くなることもある
  • 配偶者が受け取る等のオプションを付ければつけるだけ、受け取り額は減る ..等々
対して、
Term-certain Annuityの利点は..
  • 指定した期間内の受け取りが保証される
  • 期間終了前に自分が亡くなった場合、配偶者等に対して期間終了まで受け取りが続けられる ..等々
不利な点は..
  • 指定した期間より長生きすれば、指定した期間後は受け取りがない状態となる ..等々
自分が想定するリタイア後の収入プランに合ったAnnuityの期間/種類を選択します。

その他の要素

購入資金 (元本) の額と、期間が選択された上で、それ以降に受け取り額を左右する要素には以下のようなものがあります
  • 性別
  • 年齢と健康状態
  • 亡くなった後の、配偶者等への受け取りオプションの有無
  • 想定運用利回り
  • 商品を提供する金融機関/保険会社そのもの
これらの点は、「Annuityは結局のところいわゆる『保険商品』である」という事実に立ち返ると、幾分理解しやすくなると思います。各種金融機関や保険会社は、様々な目的に合った複数の商品を各種オプションと共に提供しており、購入する側はそれらをよく吟味して自分にあった商品を選ぶ必要があります。



大まかなルールとしては以上の通り。
前項で示した、リタイアメント後の収入に関して考慮すべき以下の4点をAnnuityに当てはめた考えた場合、いくつかの点は単純化することが出来ます。
  • 十分な生活資金となる額を、
  • 節税をしながら、
  • 資金が尽きないように、
  • 自分がいつ亡くなるかはわからないという条件の中で..やりくりする
金額は確定させた上で購入するわけですから、「資金が尽きる」ことはありませんし、「Life Annuity」を選択したのであれば「自分がいつ亡くなるか..」を心配する必要もなくなります。また、運用益を気にして自分でやりくりする必要もなくなりますし、節税を気にしながら受け取り額コントロールする様な手間もなくなります。

ただし改めて、Annuityは結局のところ「保険商品」です。RRIFに比べて不利になる点や不自由となる点を受け入れる代わりに、「生涯 (または一定期間) に渡って収入が尽きない様にするための 安心を買う」為の商品であるということを、常に念頭に置く様にしましょう。