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カナダでのクレジット: はじめに

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

クレジットとは

パーソナルファイナンスにおいては、「信用」と訳されるべき「クレジット」というコンセプトは、長期的に、または車や家などの大きな買い物をする際などに大きく影響を与えるとても大事な項目であり、その仕組みや付き合い方をしっかりと理解しておくべきものです。
単純に、オンラインで買い物をするのに便利だからとクレジットカードに申し込み、何気なく日々の買い物に利用し、月々の返済に追われながらもしっかり全額支払ったり、または先延ばししたり...。時には、キャッシュバック特典やマイレージなどの各種ポイント特典などにつられて、用途をあまり深く考えずに新たなカードを複数作ってしまったり...。そのような行動のすべてが、「クレジットヒストリー」という形で記録され、「クレジットスコア」として評価されているという仕組みを、しっかりと日々意識しながらやりくりができているでしょうか。

「クレジット (信用)」が与える影響

ここで言う「信用」とは、突き詰めて言ってしまえば「借金返済能力」ということになります。何か大きな買い物をするために借金 (ローン) を申し込む際には、その「信用度」が審査され、その度合いが低ければ、最悪借金の申し込みは拒否されます。あるいは審査を通ったとしても、信用度が高いケースに比べ高い利率で少ない金額しか借りられないということが起こります。信用度が低いとは、「借金返済能力」が低い、つまり貸し手側にとって「返済が滞るリスクの高い借り手」だと判断されるわけです。

「信用度」の影響は、ローンの申し込みの際だけに限りません。たとえば就職活動の際、雇用主側が志望者の人となりを知ろうと、(志望者の許可を得た上で) 志望者のクレジットに関する情報を参照することもあります。あまりに悪い信用度となれば、それを間接的な理由として採用が見送られることもあるでしょう。あるいはアパートの賃貸契約において、大家側は、クレジット情報をもとに、申請者が毎月しっかりと家賃を納められる能力のある借り手であるかを判断します。複数の借り手候補がいるとしたら、信用度の高い借り手を選んで貸したいと思うのは当然です。もっと身近な例では、携帯電話の契約。「本体料金0円!」「初期費用0円!」などの魅力的な文句につられて申し込んでみたものの、クレジット情報を参照された結果、最悪契約拒否、あるいは想定外の初期費用の支払いを求められたなどというのはよくある話です。

このように、クレジット情報をもとにした「信用度」は、パーソナルファイナンスに関わる多くの項目に対して影響を与えます。それだけに、健全な「クレジット (信用)」を構築し、それを維持するための仕組みと方法を理解することは、とても大事なことなのです。

健全な「クレジット (信用)」の構築と維持

では、高い「信用度」を得るにはどうしたらよいのでしょう。根本的な答えはいたって簡単です。「借金をして、しっかりと返す (返し続ける)」という実績を、数多く長期に渡って積み重ねればよいのです。「クレジット」と聞いてまず思い浮かべるのは、おそらく「クレジットカード」だと思います。クレジットカードで買い物をし、月に一度支払いをするという行為は、「借金をし、後日返済する」という行為に他なりません。この行為をしっかりと堅実に滞りなく果たし続けることによって、クレジットの信用度は確実に上がります。

しかしながら、おそらく読者の多くの方がそうであるように、新たにカナダで生活を始めたというような環境においては、ことはそれほど単純ではありません。たとえば移住したてホヤホヤの方には、カナダにおける「クレジットヒストリー」というものが一切存在しません。したがって、「信用」そのものどころか、「信用」を推し量る指標であるデータそのものがまず存在しないわけです。したがって、信用を構築するためにクレジットカードを作ろうと試みても、そのための審査そのものを通過することができず、カードは作れません。信用を得ようと借金をしたくても、信用がないために借金をすることすらできないという、堂々巡りの、ある意味「矛盾」した状態に陥ってしまうわけです。

ではどうしたら良いのか。次項以降では、まずはクレジットカードの基礎、最初のカードの取得の方法や、カードの使い方や選び方の注意点などについてまとめてみましょう。