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カナダ生活: Canada Groceries and Essentials Benefit (CGEB) (旧GST/HST Credit)

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

重要
2026年度 (2026年7月~) より、それまでの「GST/HST Credit」は、「Canada Groceries and Essentials Benefit (CGEB)」という新たな名前/制度に刷新されました。受給資格や支給額の計算方法等は、「GST/HST Credit」のシステムからの変更はありません。

Canada Groceries and Essentials Benefitとは

Canada Groceries and Essentials Benefit (CGEB) とは、低中所得者個人/世帯に対して支給される家計支援手当てです。
刷新前の「GST/HST Credit」という名前が示していたように、この制度は「普段の生活/買い物等において支払っているであろうGST/HSTを、低中所得者個人/世帯に対して相対的な金額で還付金として返還します」という体での実施、つまり家計支援手当てが直接現金で支給されるという形で提供されます。

受給資格

CGEB を受給するためには、支給月 (後述) のひと月前の時点とその月の開始の時点で、カナダ税制上の定義におけるカナダ居住者であることと、以下の条件のうちのいずれかを満たしている必要があります。
  • 19歳以上であること
  • 配偶者またはコモンパートナーがいること
  • 親であり、子供と同居していること

申請方法

CGEB の申請/受給のために必要なのは「タックスファイリングをする」ことだけです。申告する収入があるかないかに関わらず、また、リターンがあるかないかに関わらず、「タックスファイリングをする」ことで、CRA側は申請者に関する必要な情報を取得し受給資格の有無を判断し、該当月より支給を始めます。
(つまり多くの場合、特に既にカナダに数年以上住んでいてタックスファイリングもしっかりしている方の場合は、あえて申請をしていなくても、既に受給資格の精査と支給は行われています)

ある時期からあらたにカナダ居住者となったという場合は、タックスファイリングを待つことなく、下記のフォームを郵送により送ることで申請ができます。
  • 子供がいる場合: RC66 フォーム (Canada Child Benefits の申請書)
  • 子供がいない場合: RC151 フォーム (新規居住者のためのクレジットの申請書)

支給

支給額

CGEB の支給額は、前年の世帯所得額と子供の有無等を元に計算されます。

例えば現在のサイクル分 (2025年の所得額を元に計算され、2026年7月から2027年4月までの年サイクルで支給されている分) では:
所得が...
  • 単身の場合: $60,012 以下
  • 単身で子供が1人の場合: $68,912 以下
  • 単身で子供が2人の場合: $73,592 以下
  • ...
  • カップルで子供がいない場合: $64,232 以下
  • カップルで子供が1人の場合: $68,912 以下
  • カップルで子供が2人の場合: $73,592 以下
  • ...
といった具合に上限額が定義され、実際の所得額に応じて...
  • 個人の場合の最大支給額: $679/年
  • カップルの場合の最大支給額: $890/年
  • 19才未満の子供一人につき: $234/年
として、実際の支給額が決まります。
注意
2026年度からの制度の刷新に伴い、2026年度から2031年度までの5年間のみ、支給額の25%の増額が実施されています。2032年度以降は、通常の額(25%増額無しの額)が支給されることとなっています。

低中所得者個人/世帯を対象とした制度であるため、自分の対象のカテゴリーの設定所得額を上回る所得がある場合 (つまり「低所得者層」のカテゴリーに当てはまらないと判断される場合) は、CGEB の支給はなくなります (支給額が$0となる)。

支給日

CGEB の支給は、毎年7月5日、10月5日、(翌年) 1月5日、(翌年) 4月5日の年4回です。前年分のタックスファイリングを2月~4月に終え、申告された所得額を元に計算された支給額が、7月から翌年4月までの4回に分けられて支給されます。

支給方法

CRA の MyAccount を通じて direct deposit の口座をすでに指定している場合は直接振り込みで、そうでない場合はチェック(小切手)の郵送という形で支給されます。

まとめ

例えばある程度の収入がある状態でカナダへ移住し、タックスファイリングも毎年しっかり行っているといった場合は、(収入が高い為) 受給額が $0 となっているので、そもそもこの制度を知らないという方もいることでしょう。
逆に、例えば学生のステータスでカナダへ移住し、収入が無いためにタックスファイリングはしていなかった..といった場合は、受給資格があるにも関わらず制度を知らないがために手当てを受け取っていない..なんて事もあるかもしれません。
決して大きな額ではないかもしれませんが、制度をしっかりと理解し、資格のある場合はしっかりと受け取るようにしましょう。



カナダ生活: CRA / My Account

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

CRA とは

日本語では「カナダ国税庁」「カナダ歳入庁」等と訳され、カナダにおいて、タックスファイリング手続き諸々、TFSA (Tax-Free Savings Account) に関する管理諸々、RRSP (Registered Retirement Savings Plan) の拠出限度額裁定、CCB (Canada Child Benefit) の管理等々..、パーソナルファイナンスに関わる多く事項を管理/管轄しているのが、カナダ連邦政府の機関、

Canada Revenue Agency (カナダ・レベニュー・エージェンシー)
略称「CRA」(シー・アール・エー)
となります。
カナダで生活する上で、特にパーソナルファイナンスに関する事項においては、必ず何らかの形で直接あるいは間接的にお世話になっている機関です。当サイトにおいてカバーしている情報も、その多くはCRAがオフィシャルに発表/提示している情報を元としています。
そのウェブサイト上で網羅されている各種情報は、非常に整理されていて、また説明もわかりやすく、(あくまで主観ですが) アメリカの国税局 (IRS: Internal Revenue Service) や日本の国税局の姿勢と比べて、政府機関らしからぬ親しみやすさと信頼性が醸し出されています (笑
当サイトでカバーしきれていない情報、あるいは各種トピックにおいて正式な政府発表の文言や数字等を回覧したい場合などは、是非ともCRAのウェブサイトを訪れて、確認をしてください。

My Account

CRAのサイト上にて、「サービス」として提供されている機能として「My Account」というものがあります。これは、SIN (Social Insurance Number) を持つ個人各々がCRA上にアカウント (「My Account」という名のアカウント) を作成することができ、個人の情報の回覧、CRAからの通知のやり取り、あるいは支払い手続きなどをサイトを通して行えるという、いわゆるCRAのポータルサービスです。
各種発行物の受領など、郵便での手続きを好む方もいるかもしれませんが、少なくとも各種情報の迅速な回覧という一点においても、このサービスを利用しない手はありません。

「My Account」で利用できる機能 (一部)
  (個人用アカウントにおいては、正確には「My Account for Individuals」)
  • タックスリターンの進捗状況の回覧
  • 「Notice of Assessment」の回覧
  • RRSPの拠出限度額の回覧
  • TFSAの拠出限度額及び拠出履歴の回覧
  • 雇用主より発行されCRAにリポートされたT4フォーム上の数字の回覧
  • 各種金融機関より発行されCRAにリポートされたT5フォーム上の数字の回覧
  • 「Direct Deposit」用銀行口座の登録/管理
  • 住所/電話番号/家族構成情報等の登録/管理
  • Child Benefitsへの申し込み
  • 連邦/州政府からの各種支給金の詳細の回覧

アカウント作成/登録

「My Account」アカウントの作成手順の詳細を記したいところですが、細かな手順は比較的頻繁に変更/更新されるため、ここでは大まかな手続きに関する情報のみに留めておきます。 最新の情報、及び手続きの詳細については、CRAサイト上の「My Account」のメインページから参照することができます。
  • アカウントの作成の際には、「My Account」専用のユーザーIDとパスワードを新規に設定することもできますし、またはCRAが提携している各種金融機関 (Sign-In Partners) にすでにオンラインアカウントを持っている場合には、その既存のアカウントのユーザーIDとパスワードでログインできるように設定することもできます。

    Sign-In Partnersとして登録されている金融機関 (2026年1月時点)

  • アカウントの作成に必要な情報は、SIN、生年月日、住所などの一般的なものと、前年のタックスリターンに関する情報 (総所得額として申告された金額の詳細など)。
  • (Sign-In Partnersでのログインではない方法を選択した場合) オンライン上でアカウントを作成しただけの時点では、「Limited Service」(制限つきサービス) のアカウント扱いとなり、利用できるサービスも限られます。オンライン上でアカウントを作成する手順の中で、「security code」の郵送をリクエストする手順があり、数日後にそれを郵送にて受け取り、再度オンライン上でこの「security code」を入力することで、晴れて「Full Service」のアカウント扱いとなり、全てのサービスが利用できるようになります。



「Notice of Assessment」など、しっかりと手元に印刷物として保管することで管理しておきたいものもあるでしょう。しかし、やはり情報そのものの正確性、及びその回覧における利便性。あるいは、Direct Depositによるタックスリターンの受け取りなどの実質的な即効性という意味においても、やはりオンラインサービスに勝るものはありません。カナダでの生活が始まり、SINを取得した時点で、しっかりと「My Account」アカウントを即時に作成し、パーソナルファイナンスに関わる情報の把握と管理をしっかりと自ら行えるようにしましょう。


カナダでの仕事: 給料明細 (パートタイム)

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

例えば主婦業の傍らパートタイムで仕事を持っている場合、あるいはワーキングホリデー環境で、学業の傍らアルバイトをしている場合など、就労所得としては比較的少額の収入を得ている場合などは、その給与明細の内容も大きく変わってきます。
本項では、いわゆるパートタイムでの就労でよく見られる給与明細の中身について、理解を深めてみましょう。(フルタイムの場合はこちら >> 給料明細)

Earnings / 支給+勤怠

フルタイムの場合と同様、基本給 (Regular) に始まり、時間外手当 (Overtime) など、天引き前のすべての支給額分はこの項目にまとめられて提示されます。
時給換算の雇用形態の場合は、時給額 (Rate) と就労時間 (Hours) が明確に示されます。各項目ごとに、当該のペイピリオド毎の支給額と、その時点までの年間支給合計額 (YTD: Year to date) が示されているのが一般的です。

Deductions / 控除

所得税、CPPとEIの徴収額など、支給額分から引かれる全ての項目は、この項目にまとめられて提示されます。

  • 所得税/Income Tax
    パートタイムで就労し給与を得ている場合は、年間での支給額合計が、年毎に設定される「Basic Personal Amount」を越えているか否かという点が重要になります。例えば2026年であれば$16,452。この金額以内の支給額であれば、タックスファイリング時にPersonal Amount クレジットによって相殺されるため、結果的に所得税は発生しません。
    日本でよく言われていた、いわゆる「パート所得:『103万円』の壁」と、基本的には同じ考え方です。ただしカナダの場合は、インフレ率等に応じてこの金額が毎年調整されるので注意が必要です。

    Basic Personal Amount (最近5年間)
    2026年$16,452
    2025年$16,129
    2024年$15,705
    2023年$15,000
    2022年$14,398

    年間を通しての合計支給額が「Basic Personal Amount」を超えるか否かは、年内の任意の時点では分からない場合があります。そのため通常は、一回の給与支給サイクル (通常2週間または半月) ごとに、「その支給額を一年間通してもらい続ける」と仮定して、その都度みなし所得税の計算及び徴収が行われます。
    例:
    2025年9月から時給$18.00のパートタイムのアルバイトを始めたワーホリ学生Aさん。最初の半月 (1日~15日) は学校も始まる前で時間もあり、張り切って合計40時間に迫るほど働いたため、支給額が$720ほどになりました。
    この支給額を元に1年間の想定合計支給額を計算すると、$720 x 24 = $17,280 となり、2025年の「Basic Personal Amount」額 ($16,129) を超えるため、所得税の徴収が発生します。
    9月から働き始めたので、実際の2025年(12月まで)の支給額合計は$16,129を超えないと分かり切っているとしても、該当の給与サイクルのみを元にみなし所得税が計算されるため、この半月の給与に対しては、相応の所得税が引かれます。

    学校も始まり、その後の半月 (16日~30日) は就業時間も週15時間程。合計支給額も$500程度で、これだと1年間の想定合計支給額は $500 x 24 = $12,000 となり、「Basic Personal Amount」額を超えません。したがって、後半半月分の給与では所得税が一切引かれません。
    その後も、同程度の支給額を維持している限り、半月ごとの給与から所得税は一切引かれません。

    CPP (Canada Pension Plan)
    支給額と、年毎に設定される「Basic exemption amount (2026年なら$3,500)」と「Employee and employer contribution rate (2026年なら5.95%)」とを元に計算される額が、支給回ごとに引かれます。
    例 (2026年):
     - 半月分の支給額: $700
     - 2026年のBasic exemption amount: $3,500
     - 2026年のEmployee and employer contribution rate: 5.95%

    [($700 x 24) - $3,500] x 5.95% / 24 = $32.97

    CPP徴収額 = $32.97
    パートタイムの場合は、徴収額の合計が「Maximum annual employee and employer contribution (2026年なら$4,230.45)」に達することはまれなので、年間を通してその都度計算された額が徴収されます。

    EI (Employment Insurance)
    支給額に対し、年毎に設定される「EI premium rates (2026年なら1.63%)」をかけた額が、支給回ごとに引かれます。
    例 (2025年):
     - 半月分の支給額: $700
     - 2026年のEmployee and employer contribution rate: 1.63%

    $700 x 1.63% = $11.41

    EI徴収額 = $11.41
    パートタイムの場合は、CPPと同様に、EIの徴収額の合計が「Maximum annual employee premium (2026年なら$1,123.07)」に達することはまれなので、年間を通してその都度計算された額が徴収されます。

Net Pay / 差引支給額

EarningsからDeductionsを引いた金額が、いわゆる手取り額となって支給されます。

ある支給回において所得税の徴収が発生したとしても、年間での支給額合計が「Basic Personal Amount」以下となれば、それは「本来支払わなくてよかった税金」扱いとなり、タックスファイリングをすることでしっかりと戻ってきます。
各項目に対して示される年間合計額 (YTD: Year to date) 、また所得税徴収の有無と仕組みをしっかり理解し、タックスファイリングへと備えられるよう勤めましょう。
何らかの理由で間違った数字が示された場合など、そもそもその仕組みを理解していなければ、指摘をすることさえできません。この点は、特にワーホリ環境などにおいては、雇用主との信頼関係の構築という意味においても、とても大切なことです。
自らの生活の基盤となる「収入」の詳細です。しっかりと理解するよう勤めましょう。


仕事

 

カナダでの仕事: 給料明細

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

毎月 (あるいは月に2回) 楽しみな給料日。自分の給与からいったい何がいくら引かれて、どういった仕組みで手取り額が決まっているのか。パーソナルファイナンスに関する項目の中でも最も大事であろう「収入」に関しては、より明確に理解しておく必要があります。
本項では、(いわゆるフルタイムワーカーとして就業していることを想定した上での)「給料明細」、いわゆる「ペイチェック/ペイスタッブ」の中身について、理解を深めてみましょう。(パートタイムの場合はこちら >> 給料明細 (パートタイム))
注意:
しっかりとした雇用主のもとで雇用契約を結んでいる限り、毎給与日にはしっかりと「給料明細/ペイスタッブ」という形で支給給与の明細が通達されます。
給料明細には、支給給与額のみならず、税金をはじめとする全ての天引き項目やその額が詳細に明記されているべきで、それらは最終的に当該年終了後に発行される「T4」フォーム上の数字としてまとめられます。

特にワーホリ環境などで杜撰な雇用主に関わってしまった場合など、それらの詳細が全く提供されない環境に出くわしてしまうこともあるでしょう。
そういった環境では、自らの給与額が杜撰に管理されている可能性があるばかりでなく、雇用主が、税金や保険額支払い逃れをしている場合や、同意の無いままにいわゆる「under the table」形式の違法な雇用形態となってしまっている場合もあります。

自らの雇用環境において、しっかりと所得税が納められていること、義務である保険料等がしっかりと納められていることなどを確認することは、とても大切なことです。

Earnings / 支給+勤怠

基本給 (Regular) に始まり、時間外手当 (Overtime) など、天引き前のすべての支給額分はこの項目にまとめられて提示されます。
時給換算の雇用形態の場合などは、時給額 (Rate) と就労時間 (Hours) が明確に示されます。日本でよく見られる役職手当や交通費支給などは、カナダではあまり一般的ではありませんが、インセンティブやボーナスなど (課税対象となる) 全ての支給項目は、ここにまとめられて提示されます。各項目ごとに、当該のペイピリオド毎の支給額と、その時点までの年間支給合計額 (YTD: Year to date) が示されているのが一般的です。

Deductions / 控除

所得税、CPPとEIの徴収額、保険料など、支給額分から引かれる全ての項目は、この項目にまとめられて提示されます。

  • 所得税/Income Tax
    雇用契約時に提出された「TD1」フォームの情報を元に計算された「みなし税額」が引かれます。通常は、このみなし額が、タックスファイリング時に最終的に割り出される実際の確定税額より多くなるために、多く払った分が「タックスリターン」として返還されるというわけです。

    CPP (Canada Pension Plan)
    支給額と、年毎に設定される「Basic exemption amount (2026年なら$3,500)」と「Employee and employer contribution rate (2026年なら5.95%)」とを元に計算される一定額が、支給回ごとに引かれます。そしてその合計が、これまた年毎に設定される「Maximum annual employee and employer contribution (2026年なら$4,230.45)」に達した時点で、徴収は終了します。
    この仕組みにより、年上半期の手取り額に比べて、下半期の手取り額が大きく増えることがあります。支給額が多ければ多いほど支給回毎の徴収額も増える訳ですから、年途中の時点で徴収額合計が「Maximum annual employee and employer contribution」に達することがありえる訳です。その場合は、それ以降のCPPの徴収は無くなります。
    例えば、月2回の給与支給でCPPが毎回$275徴収されているとして、例えば2026年なら$4,230.45に設定されている「Maximum annual employee and employer contribution」は、8月の2回目の給料日を迎えた時点で全て払い終わることになります。したがって、それ以降は毎支給額からCPPは一切徴収されない (= 手取りが$275多くなる) ということが起こるわけです。
    2024年からは、いわゆる「CPP2」と呼ばれる二段階追加徴収の制度が始まりました。2026年においては、$74,600までの所得に対して、$3,500のexemptionを引いたあとの額に対して5.95%の徴収。加えて、$74,601から$85,000の所得に対して4.0%の徴収 (最大額=$416) が適用されます。したがって、所得が$85,000以上の場合は、徴収額合計は $4,230.45 + $416 で $4,646.45 となります。

    EI (Employment Insurance)
    支給額に対し、年毎に設定される「EI premium rates (2026年なら1.63%)」をかけた額が、支給回ごとに引かれます。そしてその合計が、これまた年毎に設定される「Maximum annual employee premium (2026年なら$1,123.07)」に達した時点で、徴収は終了します。
    CPPと全く同様に、この仕組みにより、年上半期の手取り額に比べて、下半期の手取り額がさらに増えることがあります。年途中の時点で徴収額合計が「Maximum annual employee premium」まで達すれば、それ以降は毎支給額よりEIは一切徴収されない (= 手取りが多くなる) ということが起こります。

    その他
    • 州政府が提供している公的メディカルサービスの保険料も、Deductionのひとつとしてここでリストされます。その額は、各州のプログラムのルール、給与額、家族構成等によって全く異なります。
    • 雇用主が提供しているいわゆるグループ保険の保険料も、Deductionのひとつとしてここでリストされます。
    • 雇用主が提供するRRSPプログラムを利用している場合は、そこへの拠出額も、Deductionのひとつとしてここでリストされます。

Net Pay / 差引支給額

EarningsからDeductionsを引いた金額が、いわゆる差引支給額 (=手取り額) となって支給されます。

給料明細に示されている数字の仕組みをしっかり理解すること、ひいては、パーソナルファイナンスにおける「収入」分の詳細を隅々まで理解することは、資産管理において最も大切なことのひとつです。各項目に対して示される年間合計額 (YTD: Year to date) を常に正しく理解しておくことは、タックスファイリング時への準備へと繋がることでしょう。
あるいは、何らかの理由で間違った数字が示された場合など、そもそもその仕組みを理解していなければ、指摘をすることさえできません。この点は、特にワーホリ環境などにおいては、雇用主との信頼関係の構築という意味においても、とても大切なことです。
自らの生活の基盤となる「収入」の詳細です。しっかりと理解するよう勤めましょう。


カナダでのリタイアメント: RRSP: 拠出

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

RRSP への拠出

自分の拠出限度額も理解できたところで、実際の拠出額あるいは拠出のサイクル等について考えてみましょう。

RRSPの様な積み立て型の貯蓄では、毎給与から自動的に天引きする、あるいはスケジュールを決めて自動的に振込みを行うなどの方法で、家計のやりくりに組み込んでしまうのが最も有効な方法です。家計に影響のない範囲で、出来る限りの拠出をすることが理想です。もちろん、家計が許すのであれば、年間拠出限度額いっぱいまでの拠出が出来ることが理想です。

前述の通り、RRSPのメリットのひとつは、タックスファイリング時にその拠出額をそのまま控除として利用できるという点です。この点を鑑みると、長期的に見ても短期的に見ても、できる限り毎年拠出限度額いっぱいまでの拠出を目指すということは、非常にメリットの大きい努力目標であると言えます。RRSPの制度もまた、拠出限度額いっぱいまでの拠出を促すような形で、各種期限日等が設定されているといっても過言ではありません。
暗に、
1. 年間を通じて一定額を拠出し続ける
その上で、タックスファイリング直前の時点で、
2. 拠出限度額に満たない分を追加で拠出をする
という方法を取れるように期日が設定されています。これらの点を踏まえ、RRSPの拠出のサイクル/スケジュールに関して考察してみましょう。



RRSPでは、「年間」拠出額と謳っていながら、実際の一年のサイクルはいわゆるカレンダーイヤー (1月~12月) とはなりません。該当年に対する拠出期間は、3月初めから翌年2月末までの一年となります。
*実際は、当該年の2月最終週の曜日の構成によって数日ほど伸ばされることがあります。大まかに、毎年2月最終日が拠出締切り日であると覚えておけば問題ありません。

例 (直近3カ年):
2024年分のRRSPの拠出期間: 2024年3月1日~2025年3月3日
2025年分のRRSPの拠出期間: 2025年3月4日~2026年3月2日
2026年分のRRSPの拠出期間: 2026年3月3日~2027年3月1日
これは、4月末日に設定されているタックスファイリングの締め切り日との兼ね合い等を踏まえ、理にかなっているスケジュール設定であると言えます。
例に沿って考察してみましょう。
  1. 年間所得額が$85,000程のAさん。2025年分のタックスファイリングを早めに終え、2026年3月半ばに届いた「Notice of Assessment」によると、2026年分のRRSP拠出限度額は「$15,000」となりました。

    RRSP(2026年)年間拠出限度額 = $15,000

  2. グループRRSPを提供しているAさんの勤務先では、月二度(毎15日と月末日、年合計24回)給与が振り込まれる形態です。Aさんは毎給料日に、$400をRRSPに拠出するように設定しています。

    2026年3月3日から2027年3月1日までの自身の拠出額 = $400 x 24 = $9,600

  3. Aさんの勤務先のグループRRSPでは、年収の5%を自動的にMatchしてくれるというベネフィットがあり、毎給与に分けてその額がRRSPに拠出されるようになっています。

    2026年3月2日から2027年3月1日までの雇用先からの拠出額
    = ($85,000 x 5%) / 24 x 24 = $4,250
したがって、Aさんのこの時点での2026年分の拠出合計額は、
$9,600 + $4,250 = $13,850

となり、拠出限度額に達するまであと
$15,000 - $13,850 = $1,150

が余っているということがわかります。

さて、上記のような拠出を行っている設定で、2027年2月頃 (2026年分の) タックスシーズンを迎えるとしましょう。

2026年分の所得税計算にあたり、課税対象所得額を少なく抑えるためにRRSPによる控除を最大限に利用しようとするAさんは、上記の計算により、拠出限度額にまだ$1,150の空きがあることを知っています。
そこでAさんは、毎給料日からの拠出とは別に、$1,150を Savings Account から工面しRRSPへ追加拠出することにしました。

合計拠出額 = $9,600 + $4,250 + $1,150 = $15,000
考察
Aさんが Savings Account から捻出してでも追加拠出をしようと決めたのには当然理由があります。利用しているタックスファイリングのソフトウェアによる計算によると、$1,150の追加拠出をすると、その結果タックスリターン額が$2,500から$3,200 (あくまで例) にまで増えることがわかりました。その金額差を鑑み、Savings Account を切り崩してでも追加拠出をする価値があると判断したわけです。Aさんは、リターン額が振り込まれた際には、その中から$1,150を Savings Account に戻しておくつもりでいます。
また、当然ですがこの$1,150の追加拠出分は「支出」されたわけではありません。RRSPに拠出されたわけですから、あくまで自分のお金です。
つまりこの例では、結果的に一時的に$1,150を移動させただけで、$700もの単純な利益が生まれているということが言えるのです。

注意点

タックスファイリングの期限が4月末日であるのに対し、RRSPの拠出期限は上記の通り2月末(または3月初平日)です。したがって上記の様なシナリオを踏襲する場合には、タックス計算の作業を出来るだけ早く開始し、追加拠出の金額を割り出した上でRRSPの拠出期限の前までに追加拠出を完了させる必要があります。

まとめ

上記の例で示した$700という差益は、決して極端な例ではありません。RRSPへの拠出による控除というのは、リターン額に最も大きな影響を与えるファクターのひとつです。したがって、予算が許す限り多くの、また拠出限度額に出来るだけ近い拠出を達成することは、短期長期両方の視点からも、大変メリットのあるやりくりであると言えるのです。


カナダでのリタイアメント: RRSP: 拠出限度額

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

RRSP の拠出限度額

晴れてRRSPへの拠出ができる環境が整ったとして、次に熟慮するべきはその拠出額です。自分の将来のための貯蓄ですから、現在の家計に影響のない範囲でできる限りの額を拠出するに越したことはありません。しかし税制優遇措置があることに伴って、RRSPの拠出には年間限度額が設定されています。
1. あなたの前年の所得額の18%の額
と
2. 毎年CRAによって設定される年間拠出限度額 (下記参照)
を比べて
少ない方の額
= あなたのその年のRRSP拠出限度額

設定年間拠出限度額 (間近5年)
2022年2023年2024年2025年2026年
$29,210$30,780$31,560$32,490$33,810
(年毎にインフレ率等に応じて調整)

少し掘り下げてみましょう。
2026年の分のRRSPへの拠出限度額を例にとってみるとします。
  • 前年2025年の所得額が例えば$100,000だったとすると、その18%は$18,000
  • 2026年の設定限度額は$33,810
  • $18,000の方が断然少なくなりますので、結果2026年分の拠出限度額は、$18,000となります。
もう少し掘り下げてみましょう。
CRAが示す毎年の設定限度額というのは、かなり高めに設定されていることがわかると思います。例えば同じ2026年を例にとると、前年2025年の所得額が$187,833.33以上となって初めて、その18% (=$33,810) が設定限度額を上回るということになります。つまり、結構な高額所得者 (年収 $187,833.33以上) となって初めて、設定限度額の方が適用されるケースがみられるということになるので、おそらく多くの人にとっては「前年の所得額の18%」の方が適用される場合がほとんどでしょう。

未使用限度額の繰り越し
ある年において、その年の年間拠出限度額いっぱいまでの拠出をしなかった場合 (つまり拠出額にまだ空きがあった状態でその年の分への拠出期限が終わった場合)、その使われなかった分の額は、翌年以降へと繰り越しすることができます。

拠出限度額の確認

さて、上記の通り拠出限度額の割り出し方 (割り出され方) を示してきましたが、ことRRSPに関しては、それらはあくまで知識として理解しておく程度で済ませて問題ありません。なぜなら、最終的かつ正確な拠出限度額は、毎年CRA側が「Notice of Assessment」を通じて、それを示してくれるからです。
「タックスファイリング」の項でも示されている様に、ある年においてタックスファイリングを適切に行いそれが無事終了した時点で、CRAから「Notice of Assessment」という書類が発行されます。その書類下部にはRRSPのセクションがあり、当該年分の拠出限度額、合計拠出額および未使用額等の計算が示され、翌年のRRSPへの拠出限度額がはっきりと明記されます。
*CRAサイトのMyAccountページを通じても、この額は常に簡単に確認することができます。

当該年の拠出限度額を常に正確に把握し、限度額を超えて拠出をすることのないようにしましょう。またこの額の変動にも毎年注意を払い、拠出額 (Group RRSPなら毎給与からの捻出額) の調整などに利用しましょう。


カナダでのリタイアメント: RRSP: 口座開設

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

RRSP 口座

RRSP の口座の種類、口座を開設する際の考え方等についてまとめてみましょう。

Group RRSP (グループRRSP)

ある程度の規模の雇用主の元で働いている場合は、雇用主がいわゆる「Group RRSP」を福利厚生の一部として提供している場合があります。これは、雇用主が特定の金融機関と提携していて、会社を通じて社員にRRSPの口座を持たせ、給与の一部から希望の額を自動的にRRSPに拠出することができるという仕組みです。
この場合は、特に個人で口座を開設する必要はなく、全てが人事部 (HR) を通して行われるのが一般的でしょう。毎月/隔週の給与から何ドルあるいは何%をRRSPに拠出するように設定するのか、またその提携先の金融機関が提供する運用方法 (主に投資信託など) の中から何をどう選択するのかなどは、もちろん自らが設定することができます。
雇用主からのMatch (積み増し)
Group RRSPでは、雇用主がRRSPへの拠出の積み増し (Match) をしてくれることが多くあるということが、最大の利点です。例えば、自らが毎給与時に拠出する額と同額を雇用主が拠出してくれる (100% Match)、あるいは年収に対して決まったパーセント分を、雇用主が毎給与時に拠出してくれる...など、Matchのルールは様々ですので、まずは雇用先のHRに、「Matchは提供されているのか」だとしたら「どのようなルールとなっているのか」という点を確認しましょう。
確実に言えることは、もし雇用先がMatchを提供している場合には、絶対にこれを利用するべきであるという点です。Matchとは、リタイアメントの資金を雇用主が給与とは個別に援助してくれているシステムであると理解することができます。ルールを理解し、最大限のMatchを受け取れるよう努力をしましょう。

Individual RRSP (個人RRSP)

雇用主が提供するGroup RRSPとは別に (雇用主を通してGroup RRSPをすでに所持しているとしても)、Individual RRSPとして各種金融機関に個人RRSP口座を開設することはいつでも可能です。各種金融機関は、TFSAやRESPなどと同様に、口座の種類のひとつとしてRRSPを扱っていますので、新規口座を開くのと似たような手続きで、RRSPの口座を開設することができます。
個人RRSPの運用は、各種金融機関が提供する投資商品を通して行うことになります。したがって、投資商品そのもの好みを元に、金融機関を選択することも出来るでしょう。また、日々すでに取引をしている銀行にRRSP口座を開けば、拠出手続きやポートフォリオの管理なども比較的スムーズに行えるでしょう。

Group RRSP vs. Individual RRSP

Group RRSPとIndividual RRSPを使い分ける、あるいは両方所持することに利点はあるのでしょうか。
  • 雇用主がGroup RRSPを提供してくれていて、ましてMatchを提供してくれている場合は、RRSPに関しては全てGroup RRSPを通して拠出及び管理を行うことが良いと言えるでしょう。
  • Group RRSPを通してMatchを最大限に受け取っている上で、どうしてもIndividual RRSPを通してでしか利用できない魅力的な投資商品が別にある場合などに限っては、あえてその金融機関にIndividual RRSP口座を開くことも良いでしょう。
  • 転職や離職に伴って、それまでの雇用主が提供するGroup RRSPを利用できなくなるような事態となることもあるでしょう。その場合には、Group RRSP口座からIndividual RRSP口座に移行する必要があります。頻繁に転職をするような境遇にいる場合などは、手続きの面倒さを理由に、Individual RRSP口座のみの所持を好む場合もあるでしょう。だとしても、それだけの理由を元に、雇用主からのMatchを逃すというのは、あまりに勿体のないハナシです。
リタイアメント資金の捻出と積み立てという、長期的なゴール/目的を見据え、適切な選択をするよう心がけましょう。

次項で詳しく触れますが、年毎に設定されるRRSPの拠出限度額は常に個人で把握しておく必要があります。当然、複数のRRSP口座を所持しているからといって、拠出限度額が増えるようなことは一切ありません。拠出額の管理という意味においても、むやみ口座を増やしてややこしくすることなく、ある程度まとまったかたちで管理できることが理想と言えるでしょう。


カナダの税金: タックスファイリング

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

タックス計算の概要をある程度つかめたところで、実際の確定申告/タックスファイリングの作業についてまとめてみましょう。

タックスファイリングの時期

当該年分のタックスファイリングの締切日は、翌年4月末日となります。年明けすぐ頃には、その年の「tax return forms」が入手可能になり、準備を始めることができますが、前述のとおり、T4やT5等が発行され手元に書類が揃うのがおそらく2月末頃。実際にタックスファイリングが始められるのはその辺りからということになります。
注意:
ただし、控除額に大きな影響を与えるRRSPの (前年分の) 拠出の締め切りは、毎年3月初平日に設定されています。控除額を増やすために追加拠出をする場合には、この日付までに、いくら拠出をするべきかの計算をした上で、拠出そのものも完了している必要があります。
どのような形態で書類群を提出するかにもよりますが、締め切り間近はどのサービスも慌しくなりがちなので、できれば3月中までを目処に、余裕を持って済ませるようにしましょう。

書類準備

T4やT5、RRSPの拠出明細など、外部金融機関から発行された書類は、忘れずに手元に揃えるようにしましょう。近年では、郵送ではなくオンライン上でアクセス/プリントできる場合がほとんどではないでしょうか。
前年発行の「Notice of Assessment」など、CRAから発行される書類もしっかり揃えておきましょう。これらは、CRAサイト上の「My Account」から回覧することもできます。

控除やTaxクレジットを申告するための各支出のレシートなども、当然用意する必要があります。「Medical expenses」申告のためには、それらへの支出を証明できる書類が必要になります。レシート紙、invoice/bill、オンライン上からのレシートプリント等々、形態は様々となるでしょうが、正確な申告のためには手元に揃えておく必要があります。

フォーム入力/書類提出方法

タックスファイリングにおいて、実際に数字を打ち込み計算を進めるなど、最終的な提出書類を準備するための作業、またそれらの書類群をCRAに提出する際の方法 (郵送またはNETFILE - オンラインによる方法) は、個々の環境を鑑みいくつかの方法から選択することができます。

  • 「tax return forms」に、自身で数字を書き込み、自身で計算を行い、自身で書類をそろえ、郵送で提出する
  • 各種ソフトウェア (無料/有料) を利用し、自動または自身で計算を行い、書類をそろえ、郵送で提出する
  • CRAが認証済みの各種ソフトウェア (無料/有料) を利用し、自動または自身で計算を行い、書類をそろえ、NETFILEまたは郵送で提出する
  • 税務サービス店頭へ出向き、計算/書類準備等の作業をすべて任せ、NETFILEまたは郵送で提出する

所得は給与所得のみ、特に複雑な申告項目なども無いとなれば、まずは自分自身でイチからフォームを埋めて計算をする作業に挑戦してみるのもいいでしょう。(オンライン上の) 各種ソフトウェアは、実際に書類発行や書類提出する以前の段階までは、料金が発生しないものがほとんどです。自身の手動の計算と、それらソフトウェアの計算経過を照らし合わせながら確認し、最終的には自身で書類をそろえるという方法も良いでしょう。
細かく対面で質問をしながら、複雑な項目へもしっかりと対応してもらいたいということであれば、税務サービス店頭へ出向き、すべてを任せるのも良いでしょう。
注目:
有料サービスを利用するメリットは、多くの場合「最大リターンを保障!」を謳っているという点にあります。ソフトウェア上でも店頭サービスでも、基本的に質問に答えていく形で項目を埋めていくという作業を行うことになります。これにより、各種控除項目やTaxクレジット項目を、漏らすことなくカバーすることが出来、結果的に最大のリターンが見込めるということになります。自身ですべて行う場合は、おそらく見逃してしまう控除項目やTaxクレジット項目もあることでしょうし、また計算ミスを犯すリスクもあります。

タックスファイリング提出以降

タックス「リファンド」の場合の還付金の受け取りは、郵送によるチェック受け取りか、(CRAのMy Account上で既に設定された) 銀行口座への直接振り込み (direct deposit) かで行われます。NETFILEによる提出で、direct depositによる受け取りであれば、最速で8日程で還付金が振り込まれることもあります。
タックスファイリングの結果追加徴税があるとなった場合は、詳細情報とともに請求書が届くこととなります。

Audit/Review

「Audit」または「Review」とはいわゆる「監査」のことで、提出された書類の中に不備や不正あるいは単純に不明な点が見つかった場合など、この「監査」の手が入ることがあります。自営などではない、いわゆる個人所得のタックスファイリングに対しAudit/Reviewが行われることは稀ですが、決して起こりえないことではありません。面倒ではありますが、やましいことが無い限り、淡々と求められる書類/情報を提出することで、手続きを終えることができます。
この点に関しても、タックスファイリングの際に有料サービスを利用するメリットがある場合があります。「Auditプロテクション」のオプションを設けているサービスでは、万が一Auditが入った際に、そのやり取りの仲介を請け負ってくれるサービスを提供しています。

「Notice of Assessment」

無事にCRA側でタックスファイリングのプロセスが完了すると、CRAより「Notice of Assessment」という書類が発行されます。これは、タックスファイリングの詳細を示した書類で、タックスリファンドまたは追加徴税の明細書として、申告者に返信されるものです。この書類の受け取りまで完了すれば、晴れて前年のタックスファイリングがすべて完了、ということになります。
注意:
厳密には、「Notice of Assessment」の発行は、CRA側での第一次限定審査が無事に終了したこと意味するのみです。CRAは「Notice of Assessment」送付日から 3年間は再審査する権限を与えられているので、ずいぶんと後になって突然Auditが入ることもありえます。各種レシートなどの支出証明関連の書類は、当分の間は破棄せずに保管をしておくようにしましょう。
Notice of Assessmentの書類の下部には、RRSPに関するセクションがあり、そこには前年分のRRSPへの拠出明細情報とともに、翌年のRRSP拠出限度額が示されています。これは、当該年のRRSPの拠出額を考慮するための重要な情報であるとともに、翌年に行うタックスファイリングの際に必要となる重要な情報です。紛失しないよう大事に保管するようにしましょう。


カナダの税金: タックス計算の基礎 5

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

タックス計算の概要 - 続き

①総所得額 - ②控除額 = ③課税対象所得額

③課税対象所得額 x ④所得税率 = ⑤税額

⑤税額 - ⑥Taxクレジット = ⑦確定税額

⑦確定税額 - ⑧支払い済み税額 = ⑨タックスリファンド or 追加徴収


⑧支払い済み税額 (Income Tax Deducted)

  • 通常の雇用形態であれば、給与の支給の度に自動的に連邦税や保険料などが天引きされています。この天引きによって積もる支払い済み所得税額の年間合計が、確定税額よりも多くなるため、大抵の場合タックス「リファンド」となるわけです。
    ではこの給与からの天引き額というのが、どのように設定されているのかという点をまとめてみましょう。

    TD1フォーム
    雇用契約の際、雇用主は雇用者に対し「TD1フォーム」 (連邦と州の分各1部) の提出を求めます (アメリカでの「W-4フォーム」に相当するもの)。これは、家族構成等の情報をもとに、各種Taxクレジットの申告金額を事前に設定するもので、この情報を元にして毎給与からの各種天引き項目の額が決まります。通常はフォームのガイドに沿って決まった額を書き込むだけですが、自身で100%天引き額をコントロールしたい場合などは、独自に自分で計算をしてガイドに沿わない額を指定することもできます (が、よほど特別な理由がない限り、そのようなことを行う必要はありません)。

    通常このフォームは雇用契約時に一度提出するだけですが、例えば家族構成に変化があった場合、あるいは自分で設定した額を変更したい場合など、再度提出が必要です。情報の更新を怠ると、タックスファイリング時に想定外のTaxクレジット額が出てくる場合などもありますので、常に情報を正しく更新するようにしましょう。

    よほど杜撰な雇用主でもない限り、この手続きは適切に行われるはずですが、ワーキングホリデーでのアルバイト環境など、雇用形態が曖昧になりがちな環境では、特に気をつける必要があります。万が一給与から一切税金が引かれてないといった環境を長期間見過ごしていたりしたならば、タックスファイリング時に多額の追加徴収となることは明白です。しっかりと確認するよう心がけましょう。

⑨タックスリファンド or 追加徴収

  • 確定税額から既に支払い済みの税額分を引き、マイナスとなれば、それは確定税額より多くの税額を既に払っていることを意味し、その差分がタックスリファンドとなります。逆にプラスの額となれば、それは支払済み額が足りていないことを意味し、その差分が追加徴収となります。
    ⑦確定税額 - ⑧支払い済み税額 = ⑨タックスリファンド or 追加徴収


カナダの税金: タックス計算の基礎 4

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

タックス計算の概要 - 続き

①総所得額 - ②控除額 = ③課税対象所得額

③課税対象所得額 x ④所得税率 = ⑤税額

⑤税額 - ⑥Taxクレジット = ⑦確定税額

⑦確定税額 - ⑧支払い済み税額 = ⑨タックスリファンド or 追加徴収


⑥Taxクレジット (Tax Credit)

  • 「Taxクレジット」とは、前述の通り、所得税率で掛け算をした後に割り出された税額に対し、そこからさらに税額を減らすために引き算することのできる項目の事を指します。Taxクレジットの種類やその数は多岐にわたります。自分の環境に照らし合わせ、いかに多くのTaxクレジットを適用できるかによって、最終的な確定税額、ひいてはタックスリファンド/支払い額に、大きな影響を与えます。
    代表的/一般的なTaxクレジット例を以下に示します。

    Basic personal amount
    これはすべての人に標準で適用されるクレジットで、2026年は$16,452。年毎に額は調整されます。

    Spouse or common-law partner amount
    収入のない配偶者がいる場合は、このクレジットを適用することができます。

    Amount for an eligible dependant
    子供を持つ場合は、このクレジットを適用することができます。

    CPP or QPP contributions / Employment insurance premiums
    通常給与から天引きされているCPPやEIへの支払いは、ここでクレジットとして適用することができます。

    Canada employment amount
    給与所得がある場合は、このクレジットを適用することができます。

    Medical expenses
    (本人のみでなく家族も含め) 医療関連に費やされた費用が、課税対象所得額の3%、もしくはCRAが年毎に定める下限額 (2026年なら$2,890) を超える場合、その額をクレジットとして申告することができます。歯科医等も含む医療サービスへの支払い、医師から処方された医薬品の購入費用等も、ここに含めることができます。

    注意: ただし、医療保険等ですでにカバーされている分は当然申告の対象にはなりません。あくまで医療保険がカバーせずに自身が支払った分の費用のみを、申告することとなります。

    これらすべてのクレジットを合計し、そこにFederal non-refundable tax credit rateとして設定されている15%を掛けた額が、合計「Taxクレジット」となり、その額をここまでの税額から引くことができます。

⑦確定税額 (Total Payable)

  • (確定前) 税額から、Taxクレジットの合計を引いた額が、確定税額となります。
    ⑤税額 - ⑥Taxクレジット = ⑦確定税額


カナダの税金: タックス計算の基礎 3

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

タックス計算の概要 - 続き

①総所得額 - ②控除額 = ③課税対象所得額

③課税対象所得額 x ④所得税率 = ⑤税額

⑤税額 - ⑥Taxクレジット = ⑦確定税額

⑦確定税額 - ⑧支払い済み税額 = ⑨タックスリファンド or 追加徴収


②控除額 (deductions)

  • タックスファイリングにおける「控除」とは、所得税率で掛け算をする前の段階で、課税対象所得額そのものを減らすために総所得額から引き算 (deduct) することのできる項目の事を指します (対して「Taxクレジット」(後述) とは、所得税率で掛け算をした後の税額そのものから引き算することのできる項目の事を指します。 用語として、この切り分けが曖昧となっている資料も多く、注意が必要です)。以下にいくつか代表的/一般的な控除項目例を示します。

    RRSPへの拠出
    多くの場合、控除額の大半を占め、課税対象所得額の変動に最も影響を与えるのは、RRSPへの拠出となるのではないでしょうか。RRSPへの拠出額は、そのまま総所得額から引き算することができるので、最終的なタックスリファンド/支払い額にも多くの影響を与えます。

    当該年のRRSPへの拠出限度額は、前年のタックスファイリング時に発行される「Notice of Assessment」内の (A) の項目に明記されています。


    課税対象所得額を最大限減らすためには、もちろん拠出限度額目一杯までの拠出をすることがベストですが、「前年の所得額の18%」として設定される拠出限度額は決して少ない額ではありません。あくまでできる範囲の拠出で、課税対象所得額を減らす努力をするようにしましょう。

    FHSAへの拠出
    2023年から始まったFHSA (First Home Savings Account) の制度。FHSAへの拠出額は、RRSPへの拠出と同様にそのまま総所得額から引き算することができます。一年につき最大$8,000 (繰越し分を含めると最大$16,000)、生涯合計で40,000の拠出。拠出資格があるのであれば、積極的に利用し課税対象所得額を減らす努力をするようにしましょう。

    Child Care Expenses
    自身または配偶者の就労や就学のために、子供をいわゆるケアギバーやデイケアプログラムに預けるために費やした費用は、Child Care Expenses控除として申告することができます。ほぼフルタイムでケアギバーを雇っていたりデイケアを利用している場合などは、控除として利用できる額も相当のものとなるでしょう。忘れずに申告するようにしましょう。

    キャピタルロス
    キャピタルゲインが総所得額の一部となっている場合で、同時にキャピタルロスが存在する場合は、その分の額をキャピタルゲインから相殺して、課税対象所得額を減らすことができます。
    このキャピタルロスの額を使った相殺は、当該年に発生したキャピタルゲインに対してだけではなく、過去3年または未来のキャピタルゲインに対して利用することができますので、個々の投資収損益の状況を鑑みて、効率的に利用することができます。


③課税対象所得額 (Taxable Income)

  • 総所得額から各種控除額の合計を引いた額が、課税対象所得額となります。
    ①総所得額 - ②控除額 = ③課税対象所得額
    この課税対象所得額を最終的にどこまで抑えるべきかというのは、次の所得税率の税区分 (Tax Bracket) の仕組みと深く関わってきます。

④所得税率 (Income Tax Rates)

  • カナダの所得税の税率は、いわゆる累進課税 (超過累進税率方式)。つまり所得額が多いほど、その多い分に掛かる税率が高くなります。
    例えば2026年の連邦所得税率の税区分は以下の通りとなり、

    課税対象所得額税率
    $58,523 以下14%
    $58,523.01 以上 $117,045 以下20.5%
    $117,045.01 以上 $181,440 以下26%
    $181,440.01 以上 $258,482 以下29%
    $258,482.01 以上33%

    例えば課税対象所得額が$120,000だった場合、

    $120,000のうち...したがって..
    $58,523 以下
    の分に適用される税率が14%
    $58,523 x 14% = $8,193.22
    $58,523.01 以上 $117,045 以下
    の分に適用される税率が20.5%
    ($117,045 - 58,523) x 20.5% = $11,997.01
    $117,045.01 以上 $120,000 まで
    の分に適用される税率が26%
    ($120,000 - 117,045) x 26% = $768.30
     合計税額 $20,958.53

    となるわけです。
    翻って考えると、もし自身の課税対象所得額が税区分の区分けボーダーラインに近い額であった場合、(控除を適用させるなどで) なんとかして課税対象所得額を一つ下の税区分内に収める努力をすることによって、低い税率を適用させることで税額を低く抑えることができる、と言えるわけです。

⑤税額

  • 課税対象所得額に対し上記の累進課税の税率を適用させて導き出されたのが、(確定前の) 税額となります。
    ③課税対象所得額 x ④所得税率 = ⑤税額


カナダの税金: タックス計算の基礎 2

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

タックス計算の概要 - 続き

①総所得額 - ②控除額 = ③課税対象所得額

③課税対象所得額 x ④所得税率 = ⑤税額

⑤税額 - ⑥Taxクレジット = ⑦確定税額

⑦確定税額 - ⑧支払い済み税額 = ⑨タックスリファンド or 追加徴収


①総所得額 (Total Income)

  • 前年中に発生した (非課税でない) すべての収入は、所得として申告される必要があります。以下にいくつか代表的/一般的な所得例を示します。

    給与所得 - T4
    給与所得者であれば、毎年大体2月中旬頃に、雇用主から「T4フォーム」という書類が発行されます (アメリカでの「W-2フォーム」に相当するもの)。これは前年一年分の給与所得総額、支払い済み所得税、その他保険料支払い額等がまとめられた書類で、タックスファイリングの際には必須の書類となります。多くの場合、このフォーム内「Box.14」に書かれている給与所得合計額が、総所得額の大半を占める項目となるでしょう。

    利子収入 - T5
    銀行やその他金融機関からの利子収入も、当然所得として扱われます。こちらも毎年2月頃に各金融機関から「T5フォーム」という書類が発行されます (アメリカでの「1099-INTフォーム」等に相当するもの)。このフォーム内「Box.13」に書かれている利子合計額も、総所得額の一部として申告しなければいけません。
    注意:
    各金融機関は、年間$50以下の利子分に関しては「T5フォーム」を発行する義務がありません。同じ銀行内でも、例えば「$50以上の年間利子合計のあったGICアカウントに対するT5フォームは届いたのに、利子合計が$50以下だったSavingsアカウントのT5フォームが届かなかった..」といったことがあるのはこのためです。ただし申告者側としては、たとえ数セントだとしても、利子収入がある場合には、所得の一部として申告されなければいけません。T5が発行されなかったアカウントの分の利子収入は、自分自身で合計額を計算し、総所得額の一部として申告します。

    また、TFSAアカウントからは当然T5は発行されません。各種TFSAアカウント上の利子収入は非課税ですので、所得の一部として申告する必要は一切ありません。これがまさにTFSAのメリット (= 総所得額を減らすための方法のひとつ) となるわけです。
    キャピタルゲイン他投資収益 - T5/T3
    株式や投資信託/ETF等の投資を行っていて、キャピタルゲインや配当金収入がある場合は、それらも所得の一部として申告されなければいけません。証券会社等各金融機関から発行されるT5あるいはその他のフォームを元に、総所得額の一部として申告される必要があります。
    注意:
    投資収益とは、確定売買利益 (realized gain) を得た場合にのみ収益としてカウントされます。各種投資アカウントを保持しているのみ、またはポートフォリオ内で含み益があるだけの状態は、当然収益および所得とはなりません。

    また、ここでももちろんTFSAを通して投資を行っている場合は、投資収益もすべて非課税ですので、所得の一部として申告する必要は一切ありません。
    Universal child care benefit (UCCB) - RC62
    18歳以下の子供がいてUniversal child care benefit (UCCB) の支給を受けている場合は、所得として申告する必要があります (Canada child tax benefit (CCTB) は非課税ですが、Universal child care benefit (UCCB) は非課税ではありません)。毎年2月中旬に、前年の支給詳細が記された「RC62」というフォームがCRAより発行されます。このフォーム内「Box.10」に書かれている支給合計額も、総所得額の一部として申告しなければいけません。

    Universal child care benefit (UCCB) は、2016年6月をもって Canada child benefit (CCB) と統合される形で廃止となりました。 Canada child benefit (CCB) は非課税であるため所得として申告する必要はありません。
    しかし何らかの理由で2016年6月までに受け取った Universal child care benefit (UCCB) を後年の計算に含まなければいけない場合は、所得として申告する必要があります。

    その他の収入
    RRSP/RRIFの受給年齢に達しすでに受給を受けている場合には、T4RSP/T4RIFフォームが発行されていることでしょう。それ以外にも、不動産の賃貸収入、失業保険収入など、個々の環境により様々な所得ソースが存在することでしょう。前年一年間の収支をしっかり振り返り、申告漏れの無いよう心がけましょう。


カナダの税金: タックス計算の基礎 1

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

タックスリターンでいくら戻ってくる?

「タックスリターンでは、一般的にどれくらいの金額が戻ってくるのですか?」とは、タックスファイリングに関して最もよく聞かれる質問のひとつですが、こればっかりは「個々の事情により違う」としか答えようがありません。総所得額に始まり、家族構成、出費の種類や形態、控除やクレジットの有無などにより、それこそ数千ドル単位でリファンド額は変動します。もしどこかのアドバイザーやコンサルタントから「ワーホリならば大体$○○○ぐらい、独身サラリーマンなら$○○○ぐらい..」といったハナシを聞いたということであっても、それはあくまで究極の一般論を述べているにすぎません。

では「なぜ」個々の事情により違うのか? という点をより良く理解するために、タックス計算 (所得税計算) の基本をまとめてみましょう。

タックス計算の概要

幾分簡素化されてはいますが、タックス計算手順として大まかに理解されるべき流れは、以下のようになります。
①総所得額 - ②控除額 = ③課税対象所得額

③課税対象所得額 x ④所得税率 = ⑤税額

⑤税額 - ⑥Taxクレジット = ⑦確定税額

⑦確定税額 - ⑧支払い済み税額 = ⑨タックスリファンド or 追加徴収


(⑦確定税額より⑧支払い済み税額が多ければ、その分が⑨タックスリファンドとして還付され、逆に⑧支払い済み税額が⑦確定税額に達していなければ、⑨追加徴収となります)
上記すべての項目の額は、個々の環境により違いますので、当然最終的なタックスリファンドまたは追加徴収の額も一般化できるものではありません。

パーソナルファイナンスの観点から見た場合、ここでポイントとなるのは、赤字で書かれた項目が、すべて自分自身でコントロールできる (= 節税のために努力できる = タックスリファンド額を増やすために努力できる) 項目であるということです。

①総所得額を低く抑え、②控除額を多くすればするほど、③課税対象所得額が少なくなり、それを元に計算される⑤税額が少なくなります。そこからより多くの⑥Taxクレジットを申告することで、⑦確定税額をできる限り低く抑え、⑧支払い済み税額との差を最大限広げ、⑨タックスリファンドの額を最大限多くする、という仕組みとなるわけです。

次項では、上記各項目について個別に説明していきましょう。


カナダの税金: はじめに

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

税金を正しく理解し、常に税金を意識しながら自己資産を管理運用することは、パーソナルファイナンシングにおいて非常に重要なことです。カナダでは、アメリカなどの制度と同様に、給与所得者は自分自身で所得税のいわゆる確定申告 (タックスリターン/タックスファイリング) を行います。税金を正しく理解し、日頃から節税を意識した資産管理をすることは、非常に大切なことです。

タックスリターンとは

毎年年初めから4月頃にかけて、「タックスリターンはお済みですか?」といった文言の宣伝や広告をよく見かけ、H&R Blockなどの街の税務サービス会社は騒がしくなり、スーパーにはタックスファイリングのソフトウェアのパッケージが並ぶようになります。前年の所得明細が手元に揃い始め、締め切りの4月末日までにタックスファイリングを済ませようと、人々が動き回るこの時期が、いわゆるタックスシーズンとなります。

通常給与から天引きされている所得税額等は比較的多めに設定されているため、最終的に本来支払われるべき総税額よりも既に支払っている額が多くなります。タックスファイリングをすることにより、その差額が戻ってくることで「タックス『リターン』 (タックスリファンド)」となる訳です。もちろん何らかの理由で、最終的に支払われるべき総税額よりも、既に支払っている額が少ない場合は、タックスファイリングの結果、差額を支払わなければならなくなることもあります。

「得をするから」タックスファイリングをしよう!という間違い

タックスファイリングは、就労所得がある限り基本的には必ず行わなければいけません。たまに、主にワーキングホリデー資格所持者等に向けて「税金が戻ってくるので確定申告/タックスファイリングしてみよう!」といった類の文言を見かけることがありますが、正確ではありません。リファンド/支払いの金額にかかわらず、(税制上の) カナダ居住者扱いとなり、就労所得がある場合は、事実上タックスファイリングは必ず行わなければいけません。
リファンドがあるのにファイルをせずにそのまま永久帰国してしまった、という場合なら影響は比較的少ないかもしれませんが、例えば本来支払うべき差額があるのに、一切ファイルせずに過ごしているといった場合は、それはCRAに対して長年借金を踏み倒し続けているのと同様のことですので、多額のペナルティーと共に何らかの勧告通知 (audit) が突然来てもおかしくありません。リファンド/支払いの金額に関わらず、毎年必ずタックスファイリングを行うようにしましょう。

また、これは後の項目で詳しく触れますが、タックスリファンドに対し、「得をした」という捉え方することは大変な間違いです。タックスリファンドとは「本来支払う必要の無かったお金が、当然のごとく返ってきた」だけのこと、だと理解しましょう。例えばタックスリファンドで$4,000が返ってきたとして、それは前年一年間かけてCRAに対し少しずつ貸していたお金が、無利子で突然まとめて返金されたことを意味します (本来ならばその$4,000を最初から運用していれば、少なからず運用益を出せていたかもしれないのにもかかわらず!です)。

もちろんリファンドが多いに越したことはありませんが、それは突然の「予定外の収入」となるべきものではなく、仕組みを理解した上で戦略的に節税をした結果の想定内の余剰資金と捉えられるべきものです。一年に一度だけの計算によって導き出される数字としてではなく、常日頃の資金運用や家計においても、税金/節税を意識するよう心がけましょう。