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カナダの銀行: 基礎知識

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

資金/資産を管理する上で、当然切っても切れないのが銀行です。日常生活を営む上で、生活資金、預貯金、投資他を含め、最も頻繁に接する機会が多い金融機関が銀行だと思います。では、パーソナルファイナンスという観点から、銀行をどう考えていくのが適当なのか、順を追って見てみましょう。

カナダの銀行の口座の種類

銀行により多様な違いはあれど、一般的にカナダの銀行では、Chequing Account / チェッキング アカウント (当座預金口座) と、Saving Account / セービング アカウント (普通預金口座)、そして日本の定期預金 --アメリカで言う CD (Certificate Deposit)-- に相当する、GIC (Guaranteed Investment Certificate) といったサービスが提供されています。その他数々の投資商品なども扱われていますが、日常の生活資金管理という視点に立って、まずこの3つの口座の種類をしっかり押さえておきましょう。

Chequing Account / チェッキング アカウント (当座預金口座)

「Cheque/Check」とはその名の通り「小切手」のことを指し、日本の感覚のまま「個人で当座預金だなんて!生活費の支払いにわざわざ小切手なんて!」と思うこともあるかもしれませんが、まずこの「言葉の感覚としては、『普通預金口座』の方が最初では?」という印象を改めましょう。日々の生活費をやりくりし、各種支払い等を行うのは、このチェッキングアカウントです。

北米では、アパートの家賃 (rent) や光熱費 (Utility bills) 等の支払い、習い事や教育機関への支払い等も、小切手によって行うことは極めて一般的です。最近では多くの機会においてオンラインでの支払いが可能になり、小切手による支払いの機会は減っている傾向にありますが、まだまだ小切手が活躍する機会 (小切手しか受け付けない機会) も多々あり、チェッキングアカウントから発行される小切手帳 (cheque book) を常に切らさず手元に置いておくことは必須です。

チェッキングアカウントでは通常利息は付きません。銀行によっては本当に微々たる利息が付く場合もありますが、そもそもチェッキングアカウントの用途は、生活費や各種支払い等の管理として捉えられるべきで、利息の有無や利率等で吟味することはナンセンスです。
通常、同じ銀行内でもいくつかの種類のチェッキングアカウントがあり、月々の手数料、Interac (インタラック) の手数料、最低預金額、Overdraft (残高がマイナスになってしまった場合の一時補填) の有無...等々、様々な要素を吟味し、自分の用途に合った口座を開くことができます。

Saving Account / セービング アカウント (普通預金口座)

「saving」とはそのままお金を「セーブ」するという意味。したがって、生活費や各種支払い等に使われない分の資金をこちらの口座に貯蓄し、大きな買い物の為、あるいは緊急時の為の資金を管理する、というのがセービングアカウントの一般的な利用法となります。

チェッキングアカウントと違い、こちらは利息が付きます。セービングアカウントに関しても通常、同じ銀行内でいくつかの種類の口座がありますが、基本的には預金額による利率の違いによってカテゴリー分けがされている程度で、チェッキングアカウントほどの選択要素はありません。

GIC (Guaranteed Investment Certificate)

GICとは、前述の通り「定期預金」に相当するものですが、その名が示す通り基本的には投資 (investment) 商品として考えられるべきものです (ただし当然元本保証の類)。ある程度のまとまった資金を、一定期間引き落とししないことを前提に、高い利率で預けることができます。預金金額と預金期間により利率が決められ、通常セービングアカウントよりもさらに高い利率が期待できます。

選択の要素としては、redeemable / non-redeemable あるいは cashable / non-cashable と言って、満期 (maturity) となる前でも引き落とすことができるオプションの有無や、利息分の支払い方法 (毎月か満期でか) の違いなどがあります。
当然、より大きな預金額を non-redeemable (満期まで引き出せない条件) でより長い期間預けるほど利率も高くなりますが、単純なリスクとして、急な資金が緊急に必要になった際には、ペナルティーを払って中途解約しなければいけないといったことがあります。したがって GIC は、セービングアカウントにある程度の緊急時資金が既にあることを前提に、1年から5年ほどのスパンで一切手を付ける予定の無いまとまった資金を預けるために利用するもの、といった理解が必要です。

オンライン特化銀行 (ネット銀行)

もう一点、パーソナルファイナンスを考えるうえで近年無視できない存在となっているものに、「オンライン特化銀行」とカテゴリ分けされるものあります。これは、主に大手銀行等を後ろ盾とした金融機関が、店舗を持たずにウェブサイトやアプリ上のみで運営する形態をとった銀行業務サービスで、通常の銀行と同じように、チェッキング/セービングアカウントや GIC 等の商品を扱います。俗に「Direct Banks (ダイレクトバンク)」や「Challenger Banks (チャレンジャーバンク)」とも呼ばれます。
一概には言えませんが、こういった機関で提供されるセービングアカウントやGICの利率は、一般店舗銀行の利率以上の場合が多々あります。つまり、日々のやりくりは一般店舗銀行のチェッキングアカウントで行い、それ以外の貯蓄に関しては、これらのオンライン特化銀行で主に行う、などといった利用ができるわけです。

近年、家計に関わる様々な作業をオンライン上で行う事がより一般的になり、場合によっては、オンライン特化銀行のみのサービスを利用することで全てが事足りてしまうというといった場合もあるでしょう。ただ、長期的にカナダでの生活基盤を築こうとしている場合などは、やはり一般店舗銀行 (カナダ6大銀行の一つ) に通常口座を持つことが推奨されます。
オンライン特化銀行への入金や引き出しは、別の一般店舗銀行に口座があることを前提に、その口座との間で資金のやり取りを行う様デザインされていることが一般的です。一般店舗銀行に口座を一切持たずにいきなりオンライン特化銀行のみで全ての資金を管理しようと試みるのは現実的でなく、あくまで余剰資金の預入先の選択枠のひとつとして利用するのが得策といえるでしょう。


カナダ6大銀行 (Big Six)


オンライン特化銀行