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カナダでの仕事: カナダ緊急対応手当: CERB (Canada Emergency Response Benefit)

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

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カナダ緊急対応手当
Canada Emergency Response Benefit (CERB) プログラムは
2020年9月26日をもって終了しました。

記録という意味で、ページ及び情報内容そのものはそのまま保存しておきます。
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新型コロナウィルスによる経済への影響への対応策の一つとして、連邦政府から発表された Canada Emergency Response Benefit (CERB) は、新型コロナウィルスによる直接的な影響により失職してしまった人や一時帰休となってしまった人々に対して、連邦政府から対象者に対して支援金を給付するプログラムです。
4週ごとに$2,000、最長で28週、合計最大$14,000の給付を受けることができます。

根本的な対象者の定義や支給額及びその仕組み等は明確となっているものの、緊急対策として実施されているプログラムであるが故に、CRAの公式サイト上でも、細かな文言やFAQ (よくある質問) 項目等々が頻繁に更新されている状況がみられます。したがって、本項ではいわゆるチュートリアル的にその申請方法などを解説するというアプローチではなく、このプログラムの全体像及びその目的等をしっかり掴むことによって、「自身が支援対象なのか?」、「どのような仕組みで、いくらの給付が受けられるのか?」..などの疑問点を自ら解決できるようにするアプローチをとっていきたいと思います。

はじめに

まずは、すべての関連情報に関しては、しっかりとCRAの公式のソースを確認するということを心掛けるようにしましょう。プログラムの概要及び申請へのガイダンスの起点ページとして、以下のページが存在します。
Apply for Canada Emergency Response Benefit (CERB) with CRA
https://www.canada.ca/en/revenue-agency/services/benefits/apply-for-cerb-with-cra.html
また、自身が受給資格があると確認できた上で、申請作業を行うにあたっては、CRA の My Account にログインしてオンライン上で行うことになります (電話による申請も可能)。そして、その My Account 上にて direct deposit の口座を既に登録済みか否かによって、受給のスピードが違います (direct deposit なら3日、チェック郵送なら10日)。
スムーズな申請作業と迅速な受給のためには、My Account の開設と direct deposit 口座の登録とを、しっかりと事前に済ましておくようにしましょう。( >> 生活: CRA / My Account)

受給資格

最も重要、かつ、少しわかりづらい「受給資格 (Eligibility)」に関してですが、まずはその原文が以下の通りとなります。
3月に条件の詳細が最初に発表されて以来、細かな文言が頻繁に更新されています。常に最新の情報を公式サイトにて確認するようお願いします。
(「最新更新日:2020年8月30日」となっている時点の該当ページ上の情報)

Who can apply
To be eligible, you must meet the following requirements:
  1. You did not apply for, nor receive, CERB or EI benefits from Service Canada for the same eligibility period
  2. You did not quit your job voluntarily
  3. You reside in Canada and are at least 15 years old
  4. You earned a minimum of $5,000 income in the last 12 months or in 2019 from one or more of the following sources:
    • employment income
    • self-employment income
    • provincial or federal benefits related to maternity or paternity leave
  5. One of the following:
    • Your work hours have been reduced because of COVID-19 (see last checkbox below for more details)
    • You have stopped or will stop working because of COVID 19
    • You are unable to work because of COVID-19, for example because you are taking care of someone
    • You have been paid EI regular or fishing benefits for at least one week of benefits since December 29, 2019 and have used up your entitlement to those benefits
  6. One of the following:
    • If you are applying for the first time: You have stopped or will stop working, or you are working reduced hours due to COVID-19, and you don't expect to earn over $1,000 in employment or self-employment income (before deductions) for at least 14 days in a row during the 4-week period.
    • If you are applying for a subsequent period: You are still not working, or you are working reduced hours due to COVID-19, and don't expect to earn over $1,000 in employment or self-employment income (before deductions), and you expect this to continue during the entire 4-week period.
最初の5項目に関しては、比較的簡単な現ステータスそのものに関する条件となります。
  1. 受給申請をする対象の期間において、CERB及びEI (Employment Insurance = 失業保険) を既に申請または既に受給していない
    >> つまりCERBとEIの重複受給/申請をしていない旨の確認
  2. 自主的に (自己都合により) に退職/失職したのではない
  3. カナダ国内に居住していて、15歳以上である
  4. 2019年の一年間または申請時以前の12ヵ月間において、以下の種類の所得の合計が$5,000以上である:
    • 雇用所得
    • 自営所得
    • 州または連邦政府給付の産休/育児休手当
  5. 以下のうちの一つ以上の条件を満たしている:
    • 新型コロナウィルスに関連する理由により、雇用時間が減少した
    • 新型コロナウィルスに関連する理由により、就労をすでに停止した、あるいは停止する予定である
    • 新型コロナウィルスに関連する理由により、就労ができない状態にある (例えば感染した人の看護を行っている)
    • 2019年12月29日以降少なくとも1週間の失業保険 (EI) の給付を受けていて、その受給権利を既に使い果たしている。
最後の6項目の条件が少しだけややこしい表現となっていますが、既にCRAが定義付けをしている、給付の「4-week period cycle (4週区切り期間)」を先に示してみると、随分とわかりやすくなるでしょう。
4週区切り期間期間
期間 12020年3月15日~2020年4月11日
期間 22020年4月12日~2020年5月9日
期間 32020年5月10日~2020年6月6日
期間 42020年6月7日~2020年7月4日
期間 52020年7月5日~2020年8月1日
期間 62020年8月2日~2020年8月29日
期間 72020年8月30日~2020年9月26日

申請をする際には、どの4週区切り期間に対しての受給を申請するかを、その都度指定することになります。
したがって、6の条件は...
  1. 以下のうちのいずれかの条件を満たしている:
    • 初めて申請する際は、
      申請する対象の (一つの) 4週区切り期間内において、新型コロナウィルスに関連する理由により、就労をすでに停止した/停止する予定、あるいは雇用時間が減少した状態であり、少なくとも連続14日間、$1,000 (税引き前) 以上の雇用所得または自営所得を得ることがないこと。
    • 一度目以降の申請の際は、
      申請する対象の (一つの) 4週区切り期間内において、新型コロナウィルスに関連する理由により失職/停職/雇用時間減少している状態に変更がなく、$1,000 (税引き前) 以上の雇用所得または自営所得を得ることがないこと。また、対象の4週区切り期間の最後までその状態が続いていること。
と読み取ることができます。
つまり、申請者は各4週区切り期間ごとに条件を満たしているかを考察し、それぞれ
  1. 初めて申請する際の条件を満たしている一つの4週区切り期間に対して、まず最初の申請を行う
  2. 一度目以降の申請の際の条件を満たしている限り、次の4週区切り期間に対し申請をする (最長7期間まで申請し続ける)
  3. 一度目以降の申請の際の条件を満たさなくなった時点で、次の4週区切り期間に対しての申請をやめる
という作業を行います。そしてその各4週区切り期間ごとに、$2,000毎の給付が行われる、という仕組みになっています。
注意: この仕組みにより、失職期間内でも給付対象とならない期間が発生することも当然のごとくありえます。

例1: 無所得状態の始まりが4週区切り期間の後半だった場合
例えば無所得状態の始まりが4月6日だった場合、「期間 1」に関しては、4月6日から4月11日が6日間だけであるため、初めて申請する際の条件の中の「少なくとも連続14日間..」の条件を満たさないため、給付対象とはなりません。条件を満たす「期間 2」に対して初めて申請をすることとなります。したがって4月6日から4月11日は結果的に援助のない期間ということになります。

例2: 新規の職や復職が決まった場合
新規の職や復職が決まり、対象の4週区切り期間内において$1,000以上の給与が発生する労働を開始した場合、その4週区切り期間は、一度目以降の申請の際の条件を満たさないこととなるため、給付対象とはなりません。例えば7月後半 (例えば7月27日 = 「期間 5」の最終日一週間前) に復職して、その週内で$1,000の給与に相当する労働を行った場合、(給与の〆日や給料日の日付に関わらず)「期間 5」は丸々給付対象の期間ではなくなります。同期間前半に失職期間があったとすると、結果的にその期間は援助のない期間ということになります。

例3: 最大の給付額 (最長の申請期間) に達した場合
上記の通り7つの4週区切り期間が定義され、プログラム自体は9月末まで続いています。しかし給付が受けられる最長期間は合計24週 (4週区切り期間 x 6) です。失職期間がそれ以上の場合は、当然援助のない期間が発生することになります。
*8月に発表された改定により、最大 (最長) の申請期間が7期間となりました。つまり条件を満たしている限り、定義された7つの4週区切り期間全てに対して申請することができることになるため、最大の給付額 (最長の申請期間) に達することによって条件を満たさなくなる..というケースは無くなりました。

給付額

上記の各4週区切り期間一つに対し、給付額が $2,000。最大 (最長) 7つの4週区切り期間 (=28週) で継続して受給することが可能で、結果的に最大 $14,000 の給付となります。

あくまで各期間ごとに丸々$2,000の給付が有りか無しか ($0) が評価されるため、それ以外の日割り/週割りなどでの給付は一切ありません。CRAのサイト上において、「$500 a week (週ごとに$500)」という文言が多々見られますが、これはあくまで「4週間で$2,000」を週換算にして表現しただけの文言です。繰り返しますが、給付額はあくまで、期間ごとに丸々$2,000か$0か、のみです。

申請手続き

CRAのMy Accountにログインし、CERBの項目から申請手続きを進めることができます。
CERB申請受付け期間中は、ログイン後のトップの「Overview」ページおいて、大々的に申請ページへの誘導がなされていますので、見逃すことはないでしょう。
注意: 申請しようとする期間内に復職または新規の職に就く可能性がある方 (またはそれに向けて努力している方) は、あえて急いで申請する必要はありません。 期間内に$1,000以上の収入が発生する就労を行った時点で受給資格を失うことになる訳ですから、不正受給を避ける為にも、期間後半になるまで待って、収入が無いことが確実になってから申請するのも一つの手です。

留意点

査定 / 監査
緊急支援策であるが故に、システムの立ち上げ及び申請受付と給付開始までが、かなりのスピード感をもって実行されました。したがって、必然的かつある意味では意図的に、不正チェックやレアケースへの対応等が後回しになっている感は否めません。申請時及び受給時において、受給条件を満たすことを証明する書類等の提出は一切必要ではありません。政府側は、基本的に「後で調べればいくらでもわかります。不正に受給した分は後でしっかり徴収します。そもそも虚偽の情報に基づく申請は犯罪ですよ。」という姿勢で今回のプログラムの運営を行っています。
間違っても、不正に給付を受けるよう企てるようなことはしないようにしましょう。

非課税ではない
CERBの給付金は、失った所得分を救済するという名目であるため、非課税ではありません。給付時にはそのまま$2,000が給付されますが、来年2021年に行う2020年分のタックスファイリング時には「所得」として申告する必要があります。受給者には合計給付金額などが記載されたT4Aフォームがおそらく来年初めに発行され、申告手続き自体は簡素なものになることが予想されますが、課税対象所得であるという点は、しっかりと記憶しておく必要があります。