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カナダのクレジットカード: カード利用の基礎

(情報更新、加筆/修正、体裁修正等を含む)

クレジットカードとの付き合い方

クレジットカードを無事に手に入れ、クレジットヒストリーを積み重ねるのためのツールが手に入りました。これでオンラインショッピングで買い物もできるし、その時点でのChequing口座の残高を気にせずに買い物もできてしまうようになりました。さぁこれが、「カード返済地獄の始まり」となるか、「健全なクレジットの構築の始まり」となるかは、あなた次第です (笑)。
パーソナルファイナンスの視点から言えば、クレジットの構築を意識する以前に、まずは健全な家計を維持するために、最優先で守られるべきいくつかのルールがあります。しっかりとその仕組みを理解し、カードと上手に付き合える術を身に着けましょう。

利用限度額

カードには必ず「利用限度額 (Credit Limit)」が設定されています。Secured cardの場合は比較的低い額が設定されているかもしれませんが、それ以外のカードでは、自分が普段の買い物で使うような額と比べてずいぶんと大きな額が設定されていることでしょう。これを「このカードで出来る買い物の最高額」という捉え方をしてしまっている場合は要注意です。この額は、銀行による審査の結果導き出された「あなたが返済する能力があるであろう『借金』の限界額」であるという意識をしっかりと持ちましょう。

最低支払い額

カードの支払いは月に一度。ひと月のサイクルの中で利用した額の合計が、新たな支払い額として請求されます。しかし、カナダのクレジットカードの月々の支払いは、実際の支払い額を自分でコントロールできるリボルビング払い。利用限度額と比べるととてつもなく低い「最低支払い額 (Minimum Payment)」が設定されていて、最低でもその額だけを支払っていれば、ペナルティもなく次の月の支払いに持ち越しすることが出来ます。
これを、カード利用のメリットだと捉えてしまっている場合は要注意です。「持ち越し = 雪だるま式の支払い額の増加」だという理解をしっかりと持ちましょう。

利息

最低支払い額だけを支払って「持ち越し」をした場合、その影響は単純な次月の支払い額の増加だけには留まりません。持ち越した分の請求額には当然利息が生じます。カードの支払い額の持ち越し分への利率 (Interest Rate) は大体 (年率) 20%前後、またはどんなに低くても15%以上が一般的です。この利息がどれだけトンデモなく高いものなのかということが感覚として想像できていない場合は要注意です。「持ち越し支払い額 x 利率% / 365日」で、一日毎に発生する追加支払い額を導き出してみましょう。

キャッシング

買い物によるカード利用に加えて、クレジットカードによって利用できるもうひとつのサービスに、「キャッシング (Cash Advances)」があります。クレジットカードをABM (ATM) にて使用し、まるで口座から「引き出す」かのような感覚で即時に現金を手に入れることが出来ます。もちろん実際は「引き出し」を行なっているわけではなく、単純に直接即時に借金をして現金を手にしているということを意味します。キャッシングで借りた額に対する利率は、通常の買い物利用の支払い額持ち越し分にかかる利率より、さらに3%から5%ほど高いのが一般的です。さらにキャッシングの場合は、ひと月の支払いサイクルとは全く関係なく、キャッシングをして現金を得た瞬間から利息が発生します。


以上のような基礎中の基礎を理解した上で、クレジットカードを使用する上で必ず守られるべきルールは以下の通り。
  • 毎月必ず全額返済をする (「持ち越し」は絶対にしない)
  • キャッシングは絶対に利用しない
ただただ、これだけのことです。

まとめ

クレジットカードとは、あくまで、「買い物した額を後にまとめて払うために、一時的に『借金』をすることができるツール」であるという強い理解が必要です。 それ以外の意味における「借金」、つまり、持ち越し分にかかる利息分、あるいはキャッシングそのものとキャッシング額にかかる利息分、それらはそもそも一切発生すらさせるべきではありません。毎月しっかりと全額支払いをすることを最優先事項と設定し、しっかりと実行をしていれば、高い利息と付き合う必要もなく、カード返済地獄などという状況に陥ることも絶対にありません。
そうして毎月しっかりと「借金をして、しっかりと返す」という実績を重ね続けることで、健全なクレジットヒストリーを構築することができるのです。